日本の政局不安は米国にとっても危機的である!?

日本の政局不安は米国にとっても危機的である!?

遂に総選挙の投票日を迎えたけれど、後は投票率の問題でどうなるかが決まる。ここで投票率が下がるようでは、この国の政治の乱れは、国民の政治的無関心が原因と言われても仕方ない。でも、高齢化が棄権を増大させてるし、人口ピラミッドの推移も選挙戦略にとって重要かなと思ったりもするし、一概に無関心で片付けるわけにも行かないはずだけどね。選挙システム、投票システムを考え直さないと民主主義はダメになっちゃうそう・・・。

さて、日本は選挙が最大の焦点になっているけれど、そうこうしている間に、米国マーケットが何やら大分キナ臭い状況になってきた。言うまでもなく米国長期金利の上昇だけどね。10年以上の国債金利と言うのは、FRBの設定するFFレートの影響はほとんどないというか、やはり将来的な米国経済の状況やら金利を織り込んでゆくわけで、前回インフレで上昇したときと比べると、今回は明らかに理由が違う。

今回の上昇がキナ臭いと思うのは、10年国債金利ーゴールドービットコインが連動するように上昇を始めているからなんだよね。先々週にこの件に関しては記事を書いたけれど、とにかくFRBの金融政策とは逆目になっているところが、キナ臭いんだよ。FRBは金利を下げたくてウズウズしてる、というかとにかく年明けの短期国債のロールオーバーで米国財務省は何とか利払いを削りたいわけで、恐らく最低でも年内1%程度の利下げは最低線だったんじゃないかと思う。

米国財務省は、コロナ後に大量に記載した短期国債を長期国債に振り替えるつもりだった。ところが10年以上の米国債の買い手に目途が立たず、イエレンは相当に苦しい立場に追い込まれてる。この債券市場の舵取りを失敗すると、株が急落するどころの話ではなくなってくるので、何としても切り抜けないといけない。

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もしもこの借り換えスキームをしくじると、嫌でも10年債金利は上昇し、なかなか落ちてこないという事態になってしまう。なぜならこの話は米国政府債務に対する不安感を伴うから。それでもゴールドやビットコインが上昇しなければ一過性で終わる可能性が高いけれど、今のような上昇が継続するとなると、どこかの時点でドル安に転換する可能性がある。輸入大国の米国がドル安に転換したなら、完全にインフレが再燃することになる。

それと同時に中小金融機関やノンバンクが破綻し、債務でパンパンになった米国は一気に金融危機となる可能性がある。個人的には債務危機で株式市場が暴落するボーダーは、ドル安転換点は、恐らく米国債10年金利が5.000pに達したときと見てるけど。それがいつ頃になるかは分からないけれど、年明け2月頃が直近では最も危険と思うんだ。けれどそれに先立って株式市場は軟調な展開になるはずで、年末にかけて厳しい局面を迎えると思ってます。

それでもFRBは9月0.500p利下げに続いて、11月、12月と連続で利下げをしてくると思うんだよ。何とか短期国債の金利を下げないとトランプでもカマラでもどちらになっても、米国債務不安は払しょくできないどころか、ますますエスカレートすることになる。いま、米国債は短期ものしか売れないからロールオーバーでもまた短期債での借り換えになる可能性が高いから。

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今回の衆議院選挙でも、保守系の政党は「30年間所得が上がらない」とか「税金を下げます」とか言っている。逆にリベラル化した自民党は増税を隠さないし、立憲などは堂々と増税すると言っている。そうした主張を耳にする度に、日本がどうして経済成長を出来なくなってしまったのか?を考えさせられる。

そのリアルな答えばつまりは、日本の富が米国に吸い上げられてるから、ということ。保守もリベラルも日米同盟を否定する政党はない。安全保障の観点から日米同盟は最重要と位置付けているわけ。もちろん安全保障の意味は大きいとは思うけど、日米同盟の実態は常に経済的に米国を支えるという意味でもある。

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岸田政権はバイデン政権と莫大なウクライナ支援を確約させられ、石破政権はその岸田政権の約束を継承することが絶対条件で、事あるごとに米国債を大量に引き受けている。現時点で唯一米国債長期ものを引き受けるのは日本のみなんだよね。

この日米の経済構造が、日本が成長できない最大かつ唯一の理由なんだ。でも、今回の選挙でもこのことを主張している政党は皆無。なぜなら日米同盟に亀裂が入ることを恐れているから。ついに憲法改正が出来なくて、自主防衛が物理的に出来なくなってる日本にとって、日米同盟が唯一の防衛手段だという認識は持っている。

今すぐ、直ちにこうした日米関係を見直せるはずもないとは思うけれど、安易に「日本を強く豊かに」とか言ってもらっても信頼性は感じないし、「増税しなければ」と言うのも納得できるはずがない。なので個人的には今回の選挙と言えども失望感は拭えないのだ。

 

そういう意味も含めて、米国の債務問題は避けては通れないところまで来ていると思うし、今回日本の政権が不安定化すれば、それは日本にとっての危機でもあるけれど、本筋は米国にとっての危機でもあるということ。そしてそうなれば、嫌でも米国投資家もやり過ごせなくなると思うけどね。