トランプ剣が峰!信用収縮が米国債に及ぶときが最大の危機!
- 2025.04.12
- トレード雑感

4.590p・・・昨日付けた米国債10年金利の高値だった。その後カウンター取引が出て引け値は4.497pとそれでも高水準のまま。これが今後5.000pを超えるような上昇になってくると、というかジワジワそういう水準になるプロセスを経ると仮定すれば、今回の一連のトランプ政策は失敗する可能性が高くなるんじゃないかな。
この時期に米国債10年金利の上昇に火が付くということは、まず大量の米国短期債のロールオーバーに暗雲が立ち込める。そうなるとますます投資家は米国債に対する信認が揺らぐことになり、ドルキャッシュを持つこと自体がリスクになってくる。つまりは米国売が加速するということ。
これはトランプ政権の目指した目標とは正反対の方向であって、米国を強くする、再生する、どころか弱体化することになるよ。しかもこういう上昇の仕方をすると、リスクオフで債券シフトした資金は全滅する。昨夜だって4.386pから急激に4.590pまで上昇したわけで、これにまつわる債券商品はボロボロになっちゃった。そういう投資家達がこれからロスカットに動かざるを得ないとなれば、来週は一段と5.000pに接近するかも。
ここで債券投資家が傷ついてしまうとそれこそ、これからのロールオーバーも怪しくなってくるし、GW辺りまでに無視できない破綻劇も出てくるかもしれない。とにかく株式市場はまだしも、債券市場は断末魔一歩手前、みたいなところに追い込まれてる。
こんな状況の中で、ベッセントは来日して日本側と交渉するらしいけど、米国にとってはもはや頼りになるのは日本だけと言った状況だから、当然米国債の追加引き受けや、ドル円の円高容認を関税と交換で迫ってくるだろうし、石破政権や財務省はこれに応じないわけには行かない。日本株は関税と円高の二者択一みたいな状況になって、結局円高を飲まざるを得なくなるんじゃないかな。
でも、日本以外はそうな行かない。中国はもちろんだけど、EUも交渉は非常に難しいと思うし、ベッセントは日本以外は行かないだろうし交渉もしないんじゃないかな。トランプ政権は関税も欲しいし、米国債も何とかしたい、けれどFRBには頭を下げたくないってこと。どの道、FRBは緊急利下げみたいなことをせざるを得なくなると考えていると思う。米国債がヤバイという認識はパウエル議長もしっかりと持ってるのでね。
でも問題は、いまの債券市場でそうした手法が通用するのか?ってこと。0.250p利下げしても効果があるのか?って言うことだよ。利下げしたとしても、すぐには痛みは癒えないから、大きく環境が変化しない限りは無理だろう。
ということで、とにかく今の時点で最も注視しなくてはいけないのが米国債10年金利の動向だね。
さて今回の下落で株式市場、債券市場、それに為替も相当な損失が出た。個人投資家レベルでも、ヤラレタ人はしばらくは立ち直れないだろうけど、それどころじゃない投資家が、米国にはワンサカいる。大手銀行はみな決算も好調で、難を逃れた格好だけど、実際の市場でのプライマリーな運用者じゃないからね。
例えばNASDAQが20%暴落すると約900兆円の時価総額が失われると言われてる。金融商品は現物株だけではなく関連の金融商品は山ほどある。なので、恐らくNASDAQがこれだけ下げると時価総額喪失分の数倍は波及して損失が出ていると考えるべき。じゃ株式三市場のトータルでは?と言われても分からないし銘柄も重複上場しているので何とも言えないけれど、でも2倍くらいにはなるだろうしね。
でもこれは株式市場の話だけで、一番問題の債券市場にも言及しないといけない。保有し続けている米国債はそれほど金利変動が大きいわけではないので、昨年レベルの損失水準に戻ったと言えるけど、債券の金融商品が相当に傷ついたことは確か。価格変動の少ない債券の運用はハイレバで行われるのが一般的なので、それこそボロボロだろうね。
ちなみに他人ごとではないGPIFの運用損失は、米国株と日本株でだいたい20兆円~30兆円は遣られてる計算になるしね。これってGPIFの運用総額(約258兆円)からしても決して小さくはないというかもの凄く大きな金額だということだ。
そうなってくると、これだけの損失を出してるということは、いまは資金的にも心理的にも大暴落のスタートラインに立ってるという事にならないか?このタイミングで、何か大きな動きがあると、というか、著名投資家は誰も買っていないことを考えると、まだまだ下があるとほとんどの投資家が思ってるってこと。バフェットだって全然買ってないしね。
個人的にはまだまだ想定している投げ売りが始まったようには見えないしね。円キャリーの投げも出ていない感じするし。日本の場合、社会全体の危機感も全くないしね。ブリッジ・ウォーターのレイ・ダリオなんかは、「一生に一度の大暴落」と表現してるけど、確信があるんだろうねぇ・・・。ある意味ポジ・トークだろうけど、エッジファンドの親玉としては確たる証拠もバッチリを把握してると思うよ。一般的には表面化することのない金融界の内情だろうけどね。
大局的にはバブルに沸いた金融相場の終着点を目指すんだ。金融収縮の恐ろしさってやつ。これだけ拝金主義が全世界を覆い尽くしていたわけで、資産や財産が減るということに対して、無防備になってるからね。
悲劇は重なるように起きるものだよ。
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