手綱を緩めてしまったトランプ、ビビったベッセント

手綱を緩めてしまったトランプ、ビビったベッセント

何もかも上手くいかなくて、結局のところDOGEの活動も、関税も、このままではマイナスの効果が大きすぎる結果になりそう・・・。とにかくマーケットは全面的にトランプ政権の政策にNOを突きつけてる。

今回のトランプ政策の司令塔はベッセント。ソロスファンド出身のウォール街を知り尽くしたヘッジファンドのトップという肩書も、いまのところ何もできていないに等しい。それどころか、実態は悪化する一方で、関税政策に関する妥協が近いと言うだけで期待感から株価は上昇している。

けれどインフレ懸念も同時に高まっていて、米国債10年金利は高水準からさらに上昇を伺う位置にある。打つ手がことごとく失敗にに終わって、トランプは最終手段としてFRBへの利下げ強制に出かねない事態になっている。そのことについて今日、明日で開催されるFOMCでは大いに紛糾するのではないかな。

実際に関税の影響で、米国内の小売業の棚から商品が消えつつあるし、残り少ない商品の価格はとんでもなく上昇しそうな気配。米国は需給のバランスが崩れると容赦なく商品価格を値上げするからね。ある意味市場原理そのままなんだよね。

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でも、FRBとしては、雇用が悪く無くて、インフレ期待が非常に高まってる状況で、果たして利下げ出来るのだろうか?っていうと、それをしたならFRBの存在意義を放棄するようなことになる。物価と雇用の安定を確保することがFRBの命題であるならば、政策変更にはそれなりの根拠や理由が必要なはず。で、その理由が大統領からの強い指示、ということになるとマーケットは混乱するだろう。

ベッセントは苦し紛れに「米国は世界資本にとって最優先の投資先」と言い出した。けれども米国が新興国経済と公平な競争が出来るのか?というと、余りに違い過ぎる賃金水準のために、絶対に不可能だ。米国内に投資すればいいのか?というと、それが成立するには米国内マーケットに限定される、ということになるんじゃないか?

しかもその理論が通用するとしても、だったら米国内の自動車産業はウハウハのはずだろう?ところが現実にはそうなっていないし、もしかしたら関税によって本当に苦境に立たされるのはGMやフォードなんじゃないの?

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そんなことよりも、米国内の消費はまさに今、急激に悪化しつつある。クレジットカードは20%の金利で限度額に到達し、またぞろBNPL(バイナウ・ペイレイター)が、それこそ爆発的に増加してる。そこに、関税による値上がりが直撃してるわけで、いま足元で起こっていることは米国経済の命取りになるよ。

ウォール街出身のベッセントが最優先の投資先、などとお気楽な事を言ってる場合じゃないんだよね。

トランプ政権としては結局この局面をどう乗り切るか?というと、今月から始まる大量米国債償還は、また短期国債でのロールオバーしかないほど追い詰められている。だからこそ、パウエル議長に対して利下げの催促をしてるんだよね。約1400兆円の米国債が、またしても来年、2年後、3年後に分散して積み上げられるだけ。

もうすぐ、この問題にスポットライトが当たるだろうけど、その時はスタグフレーション議論が本格化する。これから5月中には減税法案が下院を通過すると言う見通しらしいけど、これってますますインフレを助長するかもしれないよ。物がないのに減税したら、物価は急上昇すると考えるのが自然だからね。

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とにかく躓きの始まりは、米国債10年金利が上昇してトリプル安(ドル安、債券安、株安)になったときに、ビビッて手綱を緩めてしまったこと。多分、ビビったのはベッセントだと思う。トランプにはそこまでの感覚はなかった気がするんだけど、強硬姿勢を緩めたことで、一連の政策は意味を失ったと思う。米国三市場も日本市場も8連騰とか9連騰になって、インフレを助長する結果になってしまった。

強硬な関税政策でインフレにならない場合って、需要が極端に減少するしかない。確かに原油だけは価格が下がってきたけれど、物不足で価格が下がるというのはあり得ないこと。そこに減税だよ!

もう経済の理屈も理論も通用しない出鱈目な混乱が起きてる。極楽とんぼみたいに株価は楽観の中にあるけれど、マーケットさえも論理的な動きは一切無視したようなカオスに突入してる。

 

自らが強硬な政策を打ち出しておいてマーケットの値動きにビビるとは・・・。ビビった時点で負けが決まっちゃうというのが勝負なんじゃないかな。ベッセントの罪は深いと思うぞ!