ムーディーズが米国債格下げ!大量国債償還が関税政策全否定!

ムーディーズが米国債格下げ!大量国債償還が関税政策全否定!

やはり出た!大荒れのトランプ相場だが、株式市場はいち早くトランプの関税緩和を好感して戻り相場を形成しイケイケムードが漂っているけれど、債券市場や為替市場は大荒れのまま、だということを株式投資家達はあまり意識してこなかった。けれども、この戻り相場に合っても絶対に無視できないし、むしろ最も重要な部分場のだということを、今後は思い知ることになるかもしれない。

米国格付け会社ムーディーズは、この一連のトランプ政権の強硬な関税政策やその後の経緯、そして15日の米国債償還を見て、このタイミングでフィッチ・レーティングスやスタンダード&プアーズに続いて米国債の格下げを発表した。

ムーディーズ、米国債を「Aaa→Aa1」に格下げ

ムーディーズが米国債を最上級から1段階引き下げたことで、主要格付け3社ともに米国債は最上級を失ったことになる。これで3社が最上級としている主要国国債は、ドイツ、オーストラリア、スイス、シンガポール、ノルウェー、スェーデン、デンマーク、オランダ、となった。

この米国債の格下げの理由は言うまでもなく、「アメリカの財政赤字の拡大と債務返済コストの増加が主な要因」である。そして重要なことは、5月、6月の約1400兆円の米国債大量償還はまだ始まったばかりだということ。それも15日の償還は金利高を反映して、一層財政支出を拡大させる結果に終わっている。これを格付け会社は見逃すはずもなく、今後はS&Pやフィッチはさらなる格下げに動く可能性が濃厚という懸念が濃厚になった。

この発表を受け手て米国株式三指数は大引け後の取引で急落している。そして関税交渉を囃したこのタイミングで様々なネガティブニュースが出てきた。

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ミシガン大学消費者信頼感指数の悪化

消費者マインド指数は予想53.4に対し50.8に大幅悪化。5ー10年先のインフレ期待は4.6%で1991年以来の高水準。1年先のインフレ期待は7.3%で1981年以来の高水準となって、金利の上昇を示唆した。

トランプ大統領、各国に「米での事業費用」提示へ

トランプ政権は約150あまりのすべてのディール希望の国々と交渉などをしていられないから一方的に「事業費用」という形で関税を強制すると宣言した。今は、中国や英国、日本やEUとの関税交渉で手いっぱいなのだろうけど、これはあまりにも雑な対応だ。

ここで重要なのは中国とは関税交渉で合意したのではなくて単純に交渉時間を取るために90日間145%関税の適用を延期したに過ぎないという点。この先どうなるか全くわからないのだ。

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トランプ減税法案、下院で否決

共和党の中から4名の造反議員が出ての否決みたいだったらしいが、この4名はある意味賢明だったと思う。問題は、この状況で大幅減税に反対して無かったその他の共和党議員の存在だと思うけどね。

こんな状況で大幅減税となると、確かに国民にとっては有難いことで、トランプの支持率回復や来年の中間選挙にはプラスになる、という計算なんだろうけど、いやいや、インフレ再燃でそれどころではなくなりかねないし。でもやはりちょっと頓珍漢なところがあって、反対しているのはメディケイド予算をもっと削れ!なんだって。

やっぱり、ダメダメだな。

政府系ファンド創設計画を当面棚上げ

トランプ大統領は分かってる。「まずは債務返済を優先すべき」と中東訪問中に発言してるからね。一連の強硬な関税政策は完全に裏目に出てしまったということを自覚してるんだと思う。頭の中にあるのは、1400兆円ロールオーバーの懸念だろうし、それをどう解決すればいのかの答えを模索してるんだと思う。

けど、減税の躓きも政府系ファンド棚上げも、株式市場にとっては非常にネガティブなこと。来週22日には次の米国債償還が待ってるし、当然今の金利状況では悪化するしかない。状況は最悪へと突き進みつつある。

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ロシア、ウクライナの5地域の割譲要求

ウクライナとロシアのイスタンブールでの停戦交渉は決別した。プーチンはウクライナ全土とは言わないが・・・として少なくともロシア系住民の多い5地域の割譲は譲らないだろうし、ウクライナのみならずNATO加盟国は、この要求を絶対に飲まないようゼレンスキーに圧力をかけてると思う。

この件では最も強硬にゼレンスキーに圧力をかけてるのはイギリスとドイツで、スターマー首相の態度は米国の代弁でもあるからね。メルツ首相は、言うまでもなくドイツ軍の軍拡を推進してる。今となっては寝ぼけた憲法上の制約で専守防衛を掲げてる国家は、世界広しと言えど日本だけになってしまった。

ウクライナは長期化の様相で、またイスラエルもハマス殲滅作戦に来週中にも出ると宣言してる。戦争は終わらないね。

 

というわけで、そろそろ、ネガティブなニュースが堰を切ったように出始めた週末。特に米国債の格下げは、此の先の米国債償還問題と相まって、来週以降株式市場は何処まで懸念を抱くのか?という相場になると思う。トランプ関税問題はそう簡単には決着のつく話ではないと思うし、経済にとっては非常にメガティブな状況をもたらすだろうしね。

個人的には想像よりも早く、株式市場の下落の第二幕が明けるのかな?と思ってます。