株で勝つための地合いの見方・考え方
- 2019.07.27
- 投資手法
株取引で負けてしまった時、「地合いが悪かったから仕方ない」「地合いに押されてしまった」という言い方をします。その意味を考えてみると、「自分の投資判断や銘柄選定は間違っていなかった」という弁解が垣間見れます。
しかし、本当にそういう結論で良いのでしょうか?
株式投資は、良好なファンダメンタルズの銘柄を選ぶことなのでしょうか?また人気があって取引活況な銘柄を見分けることなのでしょうか?
まぁ、どちらも間違っているとは思いませんが、企業業績が予想通りに伸びるためには良好な経済環境であることが重要だったり、人気があるからと言って将来の株価上昇を保証するものでもないわけです。
つまり、株式投資をする上で、各論だけで判断するのはちょっと違うような気がしませんか?
やはり市場に参加する大きな勢力が、どのような感じ方をしてどのようなセンチメントで相場に臨むのだろうということを無視しては、なかなか勝ちを収めることは難しいのではないでしょうか。
短期的には勝つことができても、アベレージが残せる?というと甚だ疑問です。
特に短期的な値動きを狙う場合には、「地合い」または「投資家のセンチメント」を無視することはできません。なぜなら市場においては大きな資金に個人投資家は抗いようもないからです。
短期投資では地合いが命
業績が良くて割安な銘柄。そんな銘柄を見つけることに個人投資家は全精力を費やすこともあるでしょう。確かに自分でも株式投資を始めてか20年間は、そのことに僅かな疑問も感じませんでした。
とにかく毎日何時間も費やして、個別銘柄をスクリーニングしたり四季報で探したりしてましたし、リストアップして株価ボードに並べて、数十時間の成果を見て「もう負ける気がしない」などと、悦に入ってました。
しかし、いつも勝ったり負けたり。時々大きく勝てることもありましたが、利食いの後にポジションを拡大して一気に落とされたり。結局は勝ちを積み上げることはできませんでした。
底値で買ってある程度長期に保有するという覚悟があれば別なのでしょうが、目先の利益を獲ることが株式投資と考えていたために、それはできませんでした。「1年で株価倍増になってもたったの2倍」というとんでもなく強欲な妄想を株式投資に抱いていたからです。
デイトレードではもちろん、数日間のスイングトレードでも、1ヵ月程度の短期投資であっても、株式市場の大口投資家のマインド=地合い、が値動きを左右しているという事実に私が気付いたのは何と、株式投資を始めて20年もの時が過ぎた頃でした。
情けない話ですが、地合いを注意深く意識することによって、数々の敗因が説明できましたし、時の経過とともに短期投資では地合いが命と考えるようになりました。
地合いの言葉の曖昧さ
株式投資にとって、特に短期投資にとって地合いは極めて重要だと考えますが、これを的確に表現して解説した評論家やアナリストは極々少数派なのだと思います。
某大手証券の用語集には以下のように掲載されていました。
地合いとは、ある銘柄や株式市場全体、相場の状態(値動き)のこと。取引が活発に行われていて、株価が上昇する傾向にあると「地合いが良い」といい、反対に、取引量が少なく、株価が下落傾向にあると「地合いが悪い」という言い方をします。ただし、地合いの良し悪しについては明確な基準があるわけではなく、投資家や市場関係者の感覚的なものなので、全ての人が同じ印象を抱くかというと必ずしもそうではありません。
何とも曖昧な説明であることは言うまでもないでしょう。一体何を言いたいのかさえ、要領を得ない解説です。
このように地合いとは、「投資家や市場関係者の感覚」であって明確な定義はないと、堂々と言ってのけています。つまり、株式投資にとって命ほど重要なもの、と考えることは間違っているのでしょうか?
単に感覚的なものなのでしょうか?
私はそうは思いません。むしろ株式投資において地合いが軽んじられてる風潮こそ、問題だとさえ思っています。
地合いとは大口投資家のマインド
地合いとは、一言で言うならば「市場に参加している大口投資家のマインドである」と思います。
株式市場の売買は売り手と買い手の合意にもとずくオークション形式です。従って株価を決定するのは、売りと買いの資金量や数も含めた勢力差です。
株式市場全体が上昇する、とか下落するという状況は、包括的な売りと買いの差によって決まるわけですが、その場合重要なのが大口投資家の投資行動であることは明白なのです。
大口投資家が、どう考えているか、売ろうか、買おうか、という投資行動そのものが地合いを形成する要因ですね。
日本市場における地合いは前日の米国市場で決まる
そこで日本市場の事情を考えてみると、現状では日々のプレーヤーの6割~8割が海外勢(海外の大口投資家)であるということです。そして日本市場は米国市場とほぼ連動して動くことも分かりきった事実であることからして、日本市場に特別で大きな要因が発生しない限り、前夜の米国市場の大口投資家のマインド(=センチメント)が、日本市場の地合いになるわけです。
相場に一定方向の方向感がもたらされた場合、他の投資家(含む個人投資家)も、その動きに追従するわけですから、日本市場の現状を見る限り、こう判断することが極めて重要なのだと思います。
そして多くの投資家が買うなり、売るなりするとなれば全体はその方向に動くわけです。
こうした状況をみて、地合いの善し悪しを判断するのは後付けの解説であって、実際の投資行動では役に立ちません。
日本市場を分析しても勝てるとは限らない
「地合いの良し悪しについては明確な基準があるわけではなく、投資家や市場関係者の感覚的なものなので、全ての人が同じ印象を抱くかというと必ずしもそうではありません。」
確かに「地合いの良し悪しに明確な基準はない」と言えるのかもしれませんが、現在の相場状況をみてある程度の想定をすることは非常に重要な事のはずです。
そして、現状を考えれば、「米国市場の地合いを日本市場が引き継ぐ」と考えて正解であると確信します。
日本市場の個別要因は確かに大事で、もちろん狭義には市場に影響を与えることは確かですが、市場全体の地合いは、海外プレーヤーが圧倒的である以上、基本的には彼らの投資マインドが日本市場の地合いを形成すると考えるべきです。
まとめ
地合いとは曖昧な感覚的表現であると表現してしまうことには大きな抵抗感があります。地合いは、現在の株式投資、特に短期投資においては重要なファクターであるという点からしても、今以上に明確に意識すべきです。
現時点での日本市場の地合いとは、米国市場のセンチメントであると言えます。個別のファクター以上に株価に影響する面は否定できないことから、地合いを意識した投資を心がけることで、勝率は大幅に改善します。
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