株・日本市場・9月相場がここまで強い理由
- 2019.09.18
- トレード雑感
とにかくこの9相場は強い!はっきり言って危険なほど強いと思う。
目先、中東情勢が非常に厳しい状況で、なおかつ日に日に中国経済は悪化の一途をたどっているし、韓国の状況も日本経済にとっては看過できない状況。さらに言えば、FOMCでは中東情勢も踏まえて年内2回(0.250×2)の利下げになりそうだというのに、ドル円は逆行安してる。
正直、こんなことがあり得るのか?と思ってしまう。
生きている「政策の変わり目」
「金融政策の変わり目が相場の変わり目」というのは師匠の言だけど、いやいやながらFRBは7月末に利下げを行って、さらにいやいやながら今週は利下げする予定。これを見ると、結果的にFRBは「能動的に金融政策を転換したに等しい状況」になったわけで・・・。
金融政策の変わり目
7月のFOMCで0.250p、そして今日(9月18日)再度0.250pの利下げに踏み切り、さらに年内もう一度の利下げを示唆する可能性がある。
米中貿易戦争で中国経済の悪化が明確になり、米国も年内にすべての関税が発動されたら悪影響が顕著化する可能性がある。これはFRBが利下げするために十分な根拠に成りえる。
加えて退任に際し、ECBのドラギ総裁は強引にマイナス金利を深堀し、量的緩和の再開を決めた。こうなってくるとますますFRBは為替問題を意識背せざるを得ないため、利下げしやすくなったと言える。
外交(トランプ政策)の変わり目
基本的に敵対するイランや北朝鮮、そして中国以上に、株式市場のほうが先にトランプ大統領の「外交的な弱腰」を見きったような雰囲気がある。2020年の大統領選挙を控え、メディアは一斉にトランプ不利を報道したこともかなりトランプ大統領の心理面に影響したことは確か。
しかし、対イラン政策で、タンカー攻撃を受けさらに米国のドローンが撃墜された時、イラン本土の軍事施設に対する報復を作戦遂行後の攻撃直前(30分前)に「人命に対する配慮」と言って中止命令を出したことや、なんとタリバン幹部とキャンプデービットで会談をしようとしたこと、北朝鮮の弾道ミサイル連射を容認したこと、そして今月の国連総会でイランのロウハニ大統領と会談し、経済制裁の一部を解除しようと目論んだことなど、明らかに大統領選を意識した弱腰外交と株式市場は受け取ったと思う。
トランプ大統領は軍事介入はできない!なので外交的に危機的な状況に陥っても、軍事衝突はないと市場は考えている。
今回のイランによるサウジ石油施設攻撃に関しても、数日以内に対応を決めると言うけれど、株式市場は米国の軍事介入を織り込もうとはしていない。
日本市場の需給
海外投資家は、日本市場を醒めた目で見ていたはずだ。日本株がここまで売り込まれてきた背景は、「世界が金融緩和基調であるにも関わらず消費税増税で逆行している」ことが、クレージーだという海外投資家の基本的な評価に、米中貿易戦争による中国経済衰退の影響、日韓関係の影響を織り込んできた。
その結果日本市場の需給は、史上最大の裁定売り残となって現れ、個別銘柄の信用取り組みも売り長銘柄続発というとんでもない需給になってしまった。
ところが、米国の金融政策やトランプ大統領の弱腰、そして海外の金融緩和基調を背景に、買い戻し機運が徐々に高まってしまった。
なので、日本市場の場合リスクはそのままに、需給主導の買い戻しが優勢になり、そこに短期資金の巻き戻しが乗った状況になっている。
日本市場初体験?
こうした史上最高の裁定売り残からの巻き戻し相場というのは、恐らく日本市場としては初体験なんじゃないか?
記憶にある限り過去20年程では、まったくなかったと思うし、それだけにどういう株価の動きになるのかが、予想がつかないわけだが、少なくとも相場全体の需給は一朝一夕で解れるわけではないから、まだまだ上がある可能性が高い。
日銀政策決定会合
FOMCが今日(日本時間19日午前3時)に利下げを発表し、続けて19日お昼に日銀が金融政策決定会合で、何らかの政策発表をすることは決定的だろう。
欧州のようにマイナス金利を深堀するのか、はたまた国債の買い入れ額を増やすのか、国債金利を操作するのか、いずれにしても手段はお茶を濁す程度しか残されていないのだろうが、日米ダブルで金融緩和方向を示したとなれば、目先は買われることになるだろうね。
どこまで戻るのか?
仮に日米金融当局がダブルで金融緩和となれば、相場はぶっ飛び可能性が極めて高くなる。ならば、どこまで戻るのか?というと海外勢が満足するまで、という言うしかない。
まずは売り残解消から入るだろうし、それに伴って買いを入れてくるだろうから、上昇に拍車がかかるはず。リスクと言えば今週末に米国がイランへの軍事的制裁に踏み切る可能性はあると思うけど、トランプのことだから、国連総会で安倍首相とロウハニ大統領の会談(9月下旬)の前には行動しないと考えるべき。
あとは来週から香港で、キャリー・ラムがデモ隊と対話すると言っているが、10月1日の中国建国70周年に鎮圧できるのか?人民解放軍の投入があるかどうか?という視点もある。
いずれにしても株式市場がグタグタするのは10月かもしれない。
今からでも乗れる?
結論から言えば、まだ十分に乗れる相場だと思う。特に勝負するなら日米の金融政策が出揃う前か、直後なんだろう。ただし難しい銘柄も当然ある。
まず最も難しいのはメガバンク。マイナス金利深堀なら買うのは嫌らしいし、口座管理手数料の導入ならば買いが入るかもしれない。けど、そうなると銀行業務ってどうなの?みたいなそんな感じになってくる。それを市場がどう評価するかってことだろう。
あとは原油関連、化学関連も結構嫌らしい。イラン原油への影響は思いのほか早く解決するらしいし、今日あたり売られるのかもしれない。
なので、勝負するとしたら信用の取り組みをにらみながら優良株、で十分だろうし。値幅が欲しいなら人気のある中小型がいいかも。
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