FRB利下げ:トランプ大統領は「根性無し!」と批判

FRB利下げ:トランプ大統領は「根性無し!」と批判

米連邦公開市場委員会(FOMC)は17、18両日開いた定例会合を終え、フェデラルファンド(FF)金利の誘導目標レンジを1.75-2%に設定、従来から0.25ポイント引き下げた。利下げはこれで2会合連続。

今後の追加緩和の必要性を巡っては当局者の間で意見が割れた。貿易や世界の成長を巡る不確実性と、堅調を維持する国内経済との間で難しい判断を迫られている状況が示された。(Bloombergより引用)

FFレート25bp利下げに失望

製造業を除く米国経済は順調に推移していて、物価、雇用ともに安定していることから、「予防的な利下げ」に対して、否定的な意見を唱える地区連銀メンバーが居るのが不思議。

国内経済しか見ていないのか、荒れ狂ってる短期金利への影響を配慮してるのかは分からないけど。

しかしFRB(パウエル議長)はトランプ大統領の金融緩和要求に対してこれまでに資産縮小は中止したものの、2度の25bpの利下げで応えた事になるが、今後徐々に忍び寄ってくる関税引き上げに伴う米国内経済への影響を防止できるかは甚だ疑問で、FOMC声明でも今後の具体的な道筋は示さなかったね。

ドル高が止まらない?

トランプ大統領は米中貿易戦争による効果が、為替によって相殺されていると主張している。その要因が米国金利高であると指摘しているが、現実には金利の影響は米国内金融に対する悪影響となって現れ、ドル高是正をもたらさない可能性が濃厚になって来ている。

そもそも、現在のドル高は、各国中銀のマネタリーベースの政策的な差である可能性が極めて高い。つまり、世界の中銀ではFRBだけが資産の縮小に動いた結果、米国のマネタリーベースが減少し、ドル高・ドル不足を招いているんじゃないか?

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なのでトランプ大統領が望む効果を得るためには、FRBの量的緩和再開のほうが利下げよりもずっと重要かつ効果的であると言うことになる。

それをやらないから、結局FFレート引き下げにも関わらず、米国短期国債の金利は2年、3年、5年ものともに上昇で反応するという始末で、金利操作に伴う債券市場への影響がますます顕著化する可能性もあるんじゃないかな。

17日のドル調達レポ市場では、ドル不足が顕著化し、金利が乱高下する事態となった。しかし、FRBは量的緩和への言及を一切行わなかった。

今回のFOMC前のドル調達金利、短期金利の変調は、今後も大きなリスクとして尾を引きそうな気配だ。

中国は社会融資総量増大

中国は昨年末の株価急落局面で、不良資産整理の道筋を放棄し、再度大幅な金融緩和に踏み切った。このような状況であっても2018年は2017年ベースで約10%のマネタリーベースを拡大していたわけだが、2019年に入り再度マネタリーベースや社会融資総量の大幅拡大によって、見せかけの景気回復を演出してしまった。

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その結果人民元安を招き、これを米国は「為替操作国認定」したわけだが・・・。

輸出に関しては米中対立の影響をある程度緩和する効果があったが、国内物価上昇やドル建て債務の膨張というさらなる経済危機に見舞われていて、自らの首を絞める結果になってるところが、危ないよね。

しかも、豚コレラ蔓延で中華に必須の豚肉が暴騰してる。だから急きょ100万トンの農作物を米国から入れなきゃならなくなったと言う面白い結末だ。

けれどもただでさえ、不動産は廃墟だらけで、その上まだ不動産やって、使いもしない鉄鋼を作りまくって、全部デッドストックというのが、果たして経済といえるのだろうか?

ECBは量的緩和決定

ECBドラギ総裁は11月で退任するとともに、新総裁にIMF専務理事のラガルド氏の就任が承認された。つまり、ドラギ総裁は、ブレグジットの悪影響、対米貿易摩擦等に対する対策として、大幅な量的緩和の道筋を作って退任するということだが、ラガルドは緊縮派だから・・・。

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けれど決定してしまったものは、当面維持されるだろうから、これによってドルユーロでのドル高は止まらなくなる可能性が出てきた。

折しも、ドイツ銀行問題は、ブレグジットの影響で様々な問題(違法行為等)が指摘される可能性が濃厚で、場合によってはEUの金融危機に張ってする可能性もる。

なので、「予防的金融緩和と言うのであれば、ECB程度の対応は必要である」とトランプ大統領は言いたいのだろう。

そのかわり「根性無し!」とツイート!笑えるねぇ。

株式市場は強し!

FOMCのこうした結末を迎えて、一時米国ダウは政策内容に嫌気して「材料出尽くし」の動きになった。しかし、底からが今の相場の強い部分で、大引けでは何とブラス引け。これは凄いというか、ほとんど理由が分からない展開だ。

一方、為替が円安に持ち上がってしまって、日経平均CFDは跳ねあがった。なぜ、円安になるのか?も良くわからないけど、恐らく今日の日銀金融政策決定会合での金融緩和を織り込んでの動きだと、想像するしかない。

FRBが量的緩和に手を付けなかったからね。

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