リスクオフの週:日本株を読め!【2.25~2.28】

リスクオフの週:日本株を読め!【2.25~2.28】

2月21日(金)日経平均株価 ¥23,386(前週予想¥23,000) 日経平均CFD¥23,214

日米相場概況

いよいよ世界は新型コロナによる景気悪化懸念を本格的に意識し始めた。米国でもCDC(米国疾病対策センター)が「いずれ米国内でも感染拡大の可能性が高い」として、各州の保険局や関係機関に対策の準備を指示した。

新型コロナの厄介な点は、無症状の潜伏期間が長いことに尽きる。それがゆえに誰がいつ感染しているのかが分からないわけで、その間に行動を制限することができないということ。結果的に感染後の病状は重くないと言われているが、感染力が極めて強いことも問題となっていて、さらに検査方法(遺伝子検査)に時間と多数の技術者を必要とすること、検査キットの精度が低いこと、が原因で感染者の特定が困難という問題もある。

公衆衛生に不十分の中国の状況をそのままあてはめて考えることは日米では必要はないとされるが、日本はともかく米国では都市部にホームレスが激増していることや、保険が使えない人が4~6割いることなどから、一旦感染拡大となれば、極めて収集が困難という事情もある。

現在日本では、感染拡大前夜という感じで全国的に感染者が報告されているが、日本とて感染検査は1日数百名が限界とされ、安倍政権の1日3000名のキャパはほぼ不可能と言われている。つまり、新型コロナは、インフルエンザと同等の位置付をするしか方法がない。

日米ともに、その割り切りができるかどうかが、騒動収束への分岐点でもある。

米国市場は新型コロナ警戒感第二フェーズ

米国市場は1月31日の▲$603以来、新型コロナ懸念の第二フェーズに突入したと思われる。流石に米国内でも感染者が30名以上となって、心理的な不安感が増してきていると思われる。

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その原因は、中国当局が実態に関して真実の情報を公表しないことが非常に大きい。ホワイトハウスも今回の新型コロナに関する中国の隠蔽体質に激怒していて、未だに新型コロナウイルスの性質や感染方法、致死率等々不明な部分が多すぎることが、投資家心理を悪化させている。加えて感染防止策や治療法が確立していないことも、不安を増幅させている。

長期金利低下でリスクオフ鮮明

しかしながら米国の国内事情に対する不安以上に、日本やアジア地域への感染拡大懸念の方が大きく、また中国を含めた感染状況を考慮すれば、経済に対する悪影響は予想以上に大きいのは確実で、それが米国経済への影響も無視できなくなっているということで、資金は米国債10年物やドルそのものといった、安全資産になだれ込んだ。そしてリスク資産である株式は敬遠される傾向と成りつつある。

日本は経済失速必至

「有事の円買い」ということで、安全資産としてドルも買われるが、円も買われるので、ドル円レートとしては従来は円高方向に動くというのが常であった。しかし、海外投資家から見た日本経済への信頼は、10-12月期GDP▲6.3%(年率換算)という政府発表で一転したと思う。

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少なくともこれが、消費税導入の反動とはいえ、新型コロナの影響をモロに受ける1-3月期以降を考慮すると、現時点では日本経済の完全デフレ回帰と失速は確実であって、「円は安全資産ではない」という判断に変わった。

もちろん景気対策への催促相場ではあるものの、本予算さえけまらない状況で新たな対策の議論など出来ず、さりとて日銀に金融緩和を期待しても日本経済はさらに悪化する可能性もあるという見方から、円売り、株売りという「日本売り」に傾きつつある。

つまり安倍政権の愚策(消費税増税)と無策(新型コロナ対策と追加の景気対策)がもたらした、人災という側面も否定できない状況だ。

米国ダウ日足チャート・テクニカル(MACD分析)

まずは今回、個人的に常に使っているテクニカル分析であるMACDで米国ダウの日足チャートを見てみる。MACDでは単純化した長短移動平均の傾きを中心に相場の強弱を読み、GC、DCをトレンド転換ポイントとし、さらに売買圧力をイニシャライズ化して、相場を分かり易く表示してくれる。

株式チャート指標には様々なものがあるが、個人的には、このMACDを信頼している、というか相場には余りにも変数や因数が多すぎて、どこかを目標にしなければ判断ができないからである。そして、これをもとに地合い(ファンダメンタルズ)を自分なりに分析して組み合わせてポジションを建てるという手法である。

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ダウのチャートに当てはめてみても、ほぼほぼ騙しのない有効性がうかがい知れる。

もちろんMACDでは2月18日にダウはDCとなり小反発の後、2日連続で下落した。なので、材料株は別にしても主力個別株では売り以外の選択肢はない。

タイミングとしては、米国の場合政策に極めて過敏に反応すると思うが、FRBが緊急対策を取る兆候は現時点では見られず、売られるという判断をしている。

日経平均日足チャート・テクニカル(MACD分析)

日経平均の日足チャートは米国ダウよりも難しい形状だ。米国同様に17日にMACDではDCとなったが、翌日から円安が進行し始めて株価下落と相反する要素があったためだ。従って当初は円安に反応する動きが強く出たものの、夜間セクションの先物で完全に否定されると、¥112.00というドル円水準にもかかわらず、21日は下落となった。

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日経平均の場合でも、MACDは非常に有効である。これを見れば今年に入って買い局面よりも売り局面のほうが時間的に長いのが分かる。また、MACDの買い局面での山も次第に低く推移している。これは、株価が上昇する局面であっても買い圧力が時間とともに減少してきていることを意味しているので、中期的にはあまり強い相場とは言えない。

来週水曜には、日経平均はからり高い確率で25日線ー75日線のDCとなる見込みで、MACDの傾きがきつくなる場面があるだろうと予想している。

CME日経先物日足チャート

CME日経平均先物は、21日(金)の時点でDCが確定した。日経平均は月曜の米国市場が急反発しない限り、火曜には窓を開けて寄り付き、その後下値を探る展開に成りそうなので、現物市場でも水曜にはDC追従の動きになるだろう。

日足のテクニカルでは。今年2度目の75日線割れの状況。前回は、米国市場の急騰に追従してドル円が円安になり、日経平均が買われる展開になった。しかし今回は、円安に追従出来ないことは既に明らかなので、そのことがどれだけ日本株を押すのかは未知数だが、いずれにしても軟調な展開は避けられないだろう。



TOPIX日足チャート(MACD分析)

日本株を読む上で、日経平均よりもTOPIXの下落が先行したことが非常に重要だと思う。日本株全体の指標とも言えるTOPIXではドル円との連動性が薄くなる。従って、日本売りとなれば先行して下げるのは当然だが、ここにきて日経平均の下げた局面で買いもだいぶ入っている。

つまり先行して下げたTOPIXには押し目買いが入っていて、仮に「日本売り」が本格化するのであれば、TOPIXが下値のレジストラインを突きぬけるはずだ。と言うことはつまり、2月3日の下値を突きぬけるか否かが、非常に重要になってくるといおうことだろう。

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ドル円長期トレンド

急激に円売りドル買い圧力がかかり、僅か2日で¥112.00を突破して見せたドル円レート。しかし、過去を見れば「上値のトレンドラインを抜けると次の節目までの円安」と言うことを繰り返してきたのが分かる。①では¥110.50を抜いた後、鉄板の抵抗線である¥114.00に到達した。下落後②で再度抜き返すと¥112.0でダブルトップを形成し、そこがレジストラインとなった。③では旧トレンドラインをブレイクすると新トレンドラインまで到達。そして今回、新トレンドラインを抜くとレジストラインの¥112.00に到達している。

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仮に今回この¥112.00を突破すれば、ここは素直に頑強・鉄板の¥114.00まで到達する可能性があると見る。しかし、¥112.00は微妙な線で、米国式が下落をするとドル売り転換の可能性も出てくるため、円は¥112.00で頭打ちとなる確率が結構出てきている。

仮に¥111.00~¥112.00をキープしていると、ブレイクの可能性も高まるので、予断はできない。

2月28日(金)日経平均予想

週末のスタンスは敢えて3連休を持ち越してでも、下落する方向でポジションを取った。その理由は書いてきたのでここでは改めて書くことはしないが、かなり確実な線であると思っている。そして何度か書いた「小型株に要注意」は、週明け火曜以降に具体化すると思われる。

今回は自らの投資手法を公開したわけだが・・・今年前半の局面では買いにしろ売りにしろ、MACDはかなり有効な投資指標となるはずで、よければ参考にしてほしいと思った。

以上の観点から、2月28日(金)の日経平均株価、並びにドル円は・・・

日経平均株価 ¥22,800 ドル円¥111.50

を予想する。