FRBパウエル議長が勝負に出た!緊急利下げ0.5p

FRBパウエル議長が勝負に出た!緊急利下げ0.5p

今夜(日本時間4日0時)FRBパウエル議長が突然大勝負に出た。これは市場には観測があったものの、G7の電話会談が不調に終わり、協調利下げが行われなかった夜に、完全にサプライズのタイミングで▲0.5pの利下げを敢行し、AIは一斉に反応した。

個人的には今夜のこの動きの想定はほぼゼロ。寝耳に水の利下げで、ちょっとビビったけれど、もうポジションもどうにもならないしただ傍観するのみで、腹を括っている。

上記はFRBの突然の利上げから約30分後の米国ダウ日足チャート。このローソクの上髭が、利下げを好感したAIの反応ということで、下髭は23時30分から0時までのマイナスを表している。

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FRBがこのタイミングでサプライズな▲0.5p利下げを敢行した理由は、恐らくパウエル議長自身の口でこの後1時から会見があると言うことだが、これは今回の新型コロナ暴落に対して、FRBが勝負を挑んだ!みたいなことだろうと理解している。同時に今回の勝負は、間違えるととんでもないことになりかねないのではないか?という大いなる危惧を感じる。

まず、再三にわたって書いてきたように、今回の新型コロナ暴落は、実体経済のファンダメンタルズの劣化を織り込むという性質がある。そして、株式市場はこうした暴落となっているものの、債券市場は非常に安定してる。ということはつまり、リーマンショック時のような金融破綻が暴落の理由ではないということだ。

ならば、本来なら今回の暴落は、世界経済のファンダメンタルズの劣化を株式市場が織り込みさえすれば、株価は下がるにしても、それ以上の悪影響はとりあえず考える必要のないもの。だからこそG7電話会談でも、各国中銀が協調利下げの必要を躊躇ったわけだ。

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むしろ、世界の主要国が協調利下げに踏み出せば、悪性なインフレが一層新型コロナ蔓延による悪化を加速させることになりかねない。そうなれば、逆にこの株価暴落が一時的な経済の悪化では済まない状態を引き起こしかねない。

ところが、FRBが抜き打ち的、かつ大幅な▲0.5pの利下げを単独で行ったことは、マーケットがその理由を快く思わない可能性があるのではないか?つまり、この低金利の段階での▲0.5pをマーケットが効果は期待できないと判断してしまうと、さすがにFRBの政策余地は残されていない、言わば日銀同様のレームダック状態となりかねない怖さがある。

FRBは金融政策はいまの段階でも変わらず有効に機能すると判断している。なので、利下げすればそれだけの効果は期待できると考えている。確かに、企業の借り入れ負担が軽減され、ロールオーバーもやり易くなるだろう。しかし、企業業績がそれによって大きく向上することは、まったく期待できる状況ではないし、銀行の貸出残高も増えるわけではないだろう。

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確かに金利負担が軽減すれば、リスク資産に対する資金需要は増えるのかもしれないが、同時に円キャリーの魅力も剥落しかねない。すでに市場には日米中銀のジャブジャブマネーが溢れかえっているのだ。

そうした懸念もある中で、しかも米国ダウが△$1,290という史上最高の値幅で戻った直後の利下げは、マーケットの反応如何では失敗に終わる可能性が高いわけで、まさにFRBパウエル議長の一か八かの勝負なのではないか?

さて、これで今回の新型コロナ暴落と今後の展開に関して、まったく予想通りのFRBとファンダメンタルズの綱引きが突如として始まってしまった。それが(個人的には)勝負を賭けて売りポジションを建てた当夜ということで、これはもう引くに引けない勝負の様相となってきた。

今回、パウエル議長は一世一代の勇み足をやらかしたのではないか?

バブル礼賛のトランプ大統領が、事あるごとにFRBに対し金融緩和(利下げ)を要求し続けていたが、今回も政権からは相当な圧力が加わったということで、仮にその圧力にパウエル議長が屈した結果の利下げだとすれば・・・。

いま、リーマン後のQE相場は、はっきりと終焉を迎えつつあるのかもしれない。

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