今後の世界は中国の覇権主義とどう対峙してゆくのか?

今後の世界は中国の覇権主義とどう対峙してゆくのか?

トランプ大統領も、そしてポンペオ国務長官もクドローNEC委員長も中国を名指しで批判し始めた。もちろんトランプ大統領は自らの在任中に、自慢の経済をメタメタにされた揚句ベトナム戦争以上の死者を出したというわけで、大いに米国民の批判にさらされている。そして支持率も低下したままで、このまま今秋の大統領選に臨めば、民主党バイデンに負けるという調査がメディアを賑わせている。危機感は相当なものだろう。

米国の世論

「米国民の8割が今回の新型コロナウイルスの責任は中国にある」と考えている。大統領再選にはこの世論を上手く使う以外にないというのも現実で、おそらくトランプ政権は今後中国に対し厳しい経済制裁を課すはずだ。昨年米中対立の最中に、米国議会は対中国政策においてさまざまな法律を通していて、その多くが実行されてはいないが、トランプ大統領の署名を待つばかりの状況にある。米国の対中経済制裁はいくらでもできる状態にあるのだ。

しかし、米国は過去にベトナム戦争、イラク戦争という「米国の言いがかり」と「でっち上げ」で他国への介入と戦争を繰り返してきた暗黒の歴史がある。ケネディ時代から社会主義化を阻止しようとして介入を続けたベトナム戦争では、ケネディ暗殺後ジョンソン大統領時代にトンキン湾事件をでっち上げ軍事介入をエスカレートさせた。その結果北ベトナムの頑強な抵抗によって多くの米兵の犠牲を出し、国内世論が反戦で盛り上がった結果、ニクソン大統領時代に撤退を余儀なくされた。

またイラク戦争では、サダム・フセインが「化学兵器を使用する危険がある」ということを理由にブッシュ(子ブッシュ)大統領は、国連決議を経ずにイラクへ侵攻し圧倒的な武力でフセイン政権を転覆させた。後の検証ではフセイン政権は「化学兵器や大量殺りく兵器」を所有していなかったということが表面化し、すべて米国のイラク侵攻のでっち上げであることが分かり、ブッシュ大統領は大いに批判された。

しかし、常に米国世論は時の政権の軍事的行動を支持していたのも事実で、ベトナム戦争は自由と資本主義を守るという「反共」の象徴であって、イラク戦争は9.11同時多発テロ後の報復という意味合いが強かった。

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トランプ大統領の切り札

だからトランプ大統領が、今回の新型コロナウイルスに対して中国の責任を追求し、中国を制裁することで国民の支持を得ようというのならでっち上げは通用しないし、是非とも確固たる証拠が欲しい。それがこの記事の内容なのだろう。

この確保した石正麗(せきせいれい)という研究員は、かつて武漢病毒研究所P4研究室でSARSウイルスの研究を行っていた中心人物とされていて、彼女が証拠となりうる膨大な書類を持ち出して米国に亡命したとなると、中国は完全に窮地に立たされる。

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中国は記事にもした通り、この莫大な予算とフランスの協力で作ったP4研究室を跡形もなく解体してしまい、完全に証拠隠滅を図っているつもりだが・・・

今回の新型コロナに関しては、米国でさえ「自然発生的なもので人工的ウイルスではない」とコメントする政府関係者や学者もいたりして、中国の影響が米国政権といえど深く浸透していることを物語る。もちろん日本では、国会議員の多くが中国にたっぷりと鼻薬を嗅がされているわけで、中国批判は一向に高まらない。

自然発生的であっても、ウイルス研究のプロセスで作られたのはほぼ間違いなく、しかもそれが武漢病毒研究所から外部に流出した可能性、そして武漢疾病予防センターからコウモリを介して流出した可能性も全く否定できない。

そして中国は、これら一連の事実を完全に隠蔽しようとした。その結果、新型コロナの蔓延を食い止めることができず、全世界で350万人以上の感染、247000人の死者を出すという大惨事を招いた。もちろん収束の目途は全く立っておらず、現在進行形にある。

こうした事態を踏まえれば、現代において今回の新型コロナウイルスは前代未聞の国家犯罪であるというのは、ほぼ明白だと思う。中国共産党、人民解放軍、というとんでもない組織を潰さない限り、今後もこうした事態は容易に起りえる。

この期に及んでも中国は侵略行為と領土拡張を止めることはないのが、何よりの証拠だ。

しかるに中国は、今回ばかりは米国の、そして全世界の制裁を免れることはできないだろう。少なくとも米国は、トランプ大統領の置かれている立場から見ても、厳しい経済制裁を課すはずだし、さらに踏み込んだ措置も十分にあり得ると考えるべきだ。

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怖いのは経済への影響が予測できないこと

新型コロナによる経済への影響が徐々に明らかになりつつある。IMFは世界のGDPの5%以上が棄損するという試算を示しているが、開発途上国よりも先進国のほうが被害甚大で、その結果新興国投資への影響も試算不可能な状況になりつつある。

恐らく世界経済のリセッションは2020年4月-6月期で鮮明になり、さらに2020年後半にかけて悪化すると思われる。そしてその低迷は有効なワクチンが開発され、先進国レベルで投与可能となるまで抜け出すことはできないと覚悟すべき。

問題はそれまでに、ある程度経済を維持できるかどうか、個人消費を支えることができるかどうかにかかっているということ。その間企業や個人のバランスシートは悪化を続けるわけで、回復はワクチンによる抗体を獲得できて以降になる。それでもバランスシートが棄損しているため、そして各国が新型コロナ対策で極めて膨大な金融緩和に踏み切った後なので、確実にインフレが先行する状況になり、そうなるとバランスシートの回復は遅々として進まなくなることもあり得る。

本質的に世界経済は、第二次大戦後の復興をイメージする必要があるかもしれない。

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世界は中国の覇権主義を拒否すべき

新型コロナは中国で発症した。しかも人為操作によって発生した新型のコロナウイルスであることもほぼ確実であることを十分に承知しているにも関わらず中国当局は、感染の封じ込めが可能な段階での情報の開示を行わず、春節での人の移動を制限せずに(感染が明らかなのにもかかわらず)世界中に蔓延させた。

中国は、武漢病毒研究所P4研究室で起ったことや、すでに11月の時点で武漢疾病予防センター周辺の感染拡大を承知の上で、(春節で)感染者を世界中に送り出したということは、極めて意図的かつ重大なな国家の陰謀であり、戦争行為に等しいと思う。

こうした国家が、今の時代になってこの地球上に存在し、超大国として経済活動を行っていること自体、さらには途上国援助の名の下に領土拡張主義を隠そうともしなくなっているという事実に目をそむけるべきではないことは明らかだ。

中国共産党は2049年までに世界の経済的、軍事的覇権を確立することを目標にしている。いわば世界支配ということだ。こうした覇権主義を民主主義は食い止めることができるのか?が試されているのが今回の新型コロナでの対応だと思う。

中国共産党と人民解放軍は、21世紀の世界の悪の枢軸だ。

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