マーケットは何かを恐れてる?
- 2021.01.17
- トレード予想
週末の金曜日、米国株式市場はいつもと違う雰囲気で満たされた。米国ダウは寄り付きから12月の小売売上高の予想外の落ち込みで、下落スタート。その後一気に売り物が出て、一時は▲$400の手前までの突っ込みとなった。この日は日経平均も弱かったが寄り付いた欧州市場もGDスタート後下値を追う展開になったことも、米国の突っ込みを深くした。
しかし例によって強靭な米国市場は、一気に$300を取り戻す戻り相場。バイデンの次期経済対策が200兆円の大型であることや、プラスだった米鉱工業生産、悪くないモルガンやシティの決算と、悲観しすぎとの買いが入ったからだろう。しかし昨夜はプラスに押し上げるような買いは続かなかった。そして大引けにかけては売りに押されて引けは▲$177の$30,814だった。
その間日経平均CFDは、ここ2カ月では見られない値動きを見せた。通常日経平均CFDは、ダウを上回るパフォーマンスとなっていた。たとえダウがザラ場で押しても、日経平均CFDはダウほどの押しを見せることはなかった。ここが11月以降のCFD取引ではなかった現象だと思った。
そして米国ダウは、引け後のCFDでさらに▲$89の下げとなって終了。引け後のCFDは上下ともに株価のギャップを示唆する。そのことを考慮すれば、ダウは▲$266を示唆していることになる。しかし日経平均CFDは、金曜ザラ場で▲¥179した後にCFDで▲¥280を追加したことになるのだ。つまり来週の寄り付きはこのままならば大きく窓を空けて寄り付くGDとなる可能性が高いこともあるが、▲¥179後にさらにダウよりも下げ幅が大きかったということになる。これは、この大統領選挙後の上昇相場ではほとんど記憶にない。
米国ダウの下落要因を、弱かった12月小売り売上高やウエルズ・ファーゴのコンセンサスに届かない決算、バイデンの次期景気対策の内容に対する懸念に言及することにはかなり違和感がある。これまで、新型コロナの感染急増も含めて無数のネガティブ・ファクターを無視し続けた相場が、政権交代を間近に控えて、それらの要因で売られたとは考え辛いのだ。不振の小売売上高は次期景気対策で相殺されそうだし、他のメガバンクの決算は悪くなかった。ならば調整入りなのか?という懸念もあるが、だとしても引け後のCFDの下げは余分だと思う。なぜなら調整ならばGDさせる意味はほとんどないからだ。
ここにきて、そんな小さなことにこだわっても、と言われるかもしれないが、いつだって大きな変化が出る予兆はごく僅かな動きなのだろう。そしてそこが、ある意味では短期投資の運命を左右する分岐点に往々にしてなるのだ。なので、僅かな変化であってもいつもと異なる動き方をした場合は、確率的には高いとは言えないまでも、見逃さすに準備すべきであると思う。
特に強靭な動きをしていた日経平均が、終日売られた後にさらに米国ダウよりも大きな下げになるということは、決して見逃してはいけないことだと思う。それが頭の隅にあれば、いつものように月曜の寄り付き前に日米のCFDが戻し傾向になっても、安易に買いには行かないで済む。
そうした週末の日米株式市場の動きを見せられると、やはり株式市場には何らかの懸念がくすぶっているような、そんな印象を受けるのだ。そして市場がそうした意識を持っているとするならば、やはり大統領選挙の混乱以外には考えられないと思う。それよりも、例えば大型の経済対策が発表されたにも関わらず、米国債10年物金利は逆行しているという事実、金や銀が弱い動きを続けている事実、そして極めて堅調だった原油も売られたという事実からしても、株式市場に先行してコモディティ市場は何かを意識していると思うのが自然だと思う。
そして最も気になるのは、現役大統領の言論封殺に加担したビッグテックがツイッターを筆頭に軒並み売られ始めている点である。さらに偏向報道を繰り返す主要メディアのために、投資家が偏った情報しか入手できなくなっているという意識も、このビッグテックの下げで芽生えているのではないか?と思う。いままで株式市場は、実体が極めて厳しい状況であるにも関わらず、大型の経済対策やワクチンによって経済はほどなく株価とのギャップを埋めると印象操作をされてきた。
しかし間もなく本決算の発表であり、各企業の今期予想に懐疑的になり始めているということもあるだろう。業績と株価のギャップを埋めるのは、株価下落になりそうだ、と考えることはごく自然なものである。好決算が期待できるビッグテックが売られるということが、他の株式に波及しないとは考えられない。ここにきてようやく株式市場は、今の株価水準について考え直そうとしているのかもしれない。
さらに20日に行われる予定の次期大統領宣誓就任式までに、トランプ大統領がどういう動きをするのか分からないという懸念も当然あり得る。大統領選挙後のドタバタは、6日の上下院合同会議で発生した国会議事堂への暴徒乱入事件で、一区切りついたという印象をメディアは国民に刷り込んだ。非はすべて暴動を扇動したトランプ大統領にあるとして、下院では弾劾決議まで可決して見せた。こうした民主党の所作が、徐々に投資家の不安を掻き立てていると思わざるを得ない。
ロシアゲート(オバマゲート)で事件をでっち上げ、弾劾を決議させたことに続き、今回メディアは史上初の2度弾劾された大統領と大いに反トランプキャンペーンを加速させた。しかし、徐々に2度目の弾劾も民主党のでっち上げであることが分かり始めている。6日の暴動に関しても、首謀者はアンティファとBLMであること、2名の警官が協力したこと、5名と言われる死者が確認できていないこと(1名の警官は病死であった)、そして暴動は事前に計画されていたこと、暴動当日CNN記者が暴徒の中にいたこと、撃たれたとされる女性に血のりを付ける行為が映像から確認されたこと等々湯水のごとく証拠がネット上にあふれた。つまり民主党はでっち上げで2度も共和党大統領を弾劾した悪意に満ちた政党であるということに、反論できなくなりつつある。
そしてトランプ陣営と軍の現時点での動きからして、トランプ大統領は何らかの行動に出る、または既に出ていると推測できる。しかし現大統領の動きを推測せねばならないことこそが、異常なのである。未確認の情報ではあるが、14日に叛乱法執行の大統領令に署名しているとするならば、また就任式前に戒厳令を発動するとするならば、当然株式市場は暴落するだろう。要は現状がその可能性を否定できなくなっていることを株式市場は織り込み始めているのかもしれない。
いずれにしても週明けのマーケット全般に細心の注意が必要だと思う。
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