金融ジャブジャブ相場の終焉が近い!?
- 2021.11.23
- 放言
昨夜の米国市場はバイデン大統領がパウエル議長続投を決め、さらにブレイナード理事を副議長に指名したことで、FRBの金融緩和政策はハト派路線で継続するという安心感で三市場ともに大幅上昇したわけだが、案の定インフレが抑制できない可能性が台頭して結果的に売られることになった。
ダウは$300ほどの上げ幅を溶かし、同時にインフレ懸念から上昇した米国債10年物金利が上昇したことを嫌気して、16211pまで上昇した後、15854pまで357pもの下落を喫し、▲202pのほぼ安値引けとなってしまった。
先週金曜の欧州新型コロナ急拡大報道(ドイツ保健相が国家緊急事態とコメントした)によって突如急落したことに続いて、昨夜の急落は、今の米国市場のセンチメントを如実に物語っていると思われる。
ハッキリ言って株式市場の暴落に対するシグナルと言うことなのではないか?と個人的には考えているよ。恐らく米国の投資家は例外なくじっくりと株式市場の状況を確認しつつ、手放すタイミングを計っていると思う。それは、ダウのチャートを見れば一目瞭然で、$35,000を割り込むようならば一気に暴落モードに突入する可能性も大いにあるのではないか?
もちろん暴落のトリガーは他にもある。まず第一が新型コロナ感染拡大であり、急増を続ける欧州はもとより拡大傾向が鮮明になりつつある米国での感染拡大はインフレと連動する。次に原油価格問題だ。バイデン大統領はCOP26の最中、OPECプラスに対し増産を要請し拒否された。ならばとばかりに主要国に強調して国家備蓄放出を要請し、日本も米国と歩調をあわせ初の国家備蓄放出を決めてしまった。
確かにこの間WTI原油は約$10ほど下げたけれど、日米の国家備蓄放出でどこまで価格を抑えられるかは甚だ疑問である。OPECプラスにとって原油は命綱であるが、先進諸国が地球環境問題を取り上げて再生可能エネルギーへの転換を唱えEV戦略を明確に打ち出して、OPECプラスに圧力をかけた。こうした流れの中で原油価格は揺れ動いたし、財政破綻の瀬戸際まで追いつめられたわけで、この時期先進国に同調しても何のメリットもないOPECプラスは生産量を調整するのは当たり前のことだろう。早速、各国の国家備蓄放出に対し生産調整はしないと宣言した。
そして中国リスクは一向に収束の気配はなく近い将来に不動産ディベの破綻がデリバティブを通じて株式市場を混乱させるのは明らかだ。
要するに、いままでの上昇相場の中で、FRBへの絶大な信頼感とともに金融ジャブジャブ相場に踊り、ネガティブファクターを無視し続けてきた株式市場は、インフレという抗えない敵に直面している。そして、すでにFRBへの信頼感は大いに揺らいでいるわけで、暴落が始まると無視してきた懸念を巻き込んで、厳しい局面に晒されることになるのではないか?
恐らくパウエル議長、ブレイナード副議長のハト派コンビ、そしてバイデン政権で大型財政出動を推進するイエレン財務長官は、インフレをソフトランディングさせるタイミングを逸している。もしかしたら2008年のリーマンショックの翌年から13年間続いた金融ジャブジャブ相場は、終焉を迎えるかもしれないと思っている。
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