日本株を読め！【6.3～7】目先底値確認後リバウンドの週

相場・地合い概況

米国のファーウェイに対する政策措置を嫌気して改めて半導体・電子部品への影響が懸念され、戻るに戻れない状況のなか、中国が対抗策としてレアアースの禁輸を示唆したことで、米中対立は先鋭化という市場の認識の中、突然のメキシコ関税措置がトランプ大統領からツイートされて、市場は動揺しました。

厳しい下げとなった日米市場は短期デッドクロスとなり、目先の底を突き抜けた非常厳しい状況に陥り週末を迎えています。

突然のメキシコ関税

トランプ大統領は5月30日に、「６月10日からメキシコの全輸入品に対し5％の関税をかける」とツイートし、週末の株式市場に激震が走りました。

株修羅本家（Kabusyura-Honnke）

センチメント急激悪化！呪われた令和相場はリーマンショック級へ？　

https://kabusyurahonnke.com/post-1600

日米ともに株式市場のトレンドは完全に「下降」へと変わった気がする。それは何度か書いてきてるけど、両市場ともに底抜けしたことで決定的になった。日経平均が▲￥341したその晩に今度は米国ダウが▲$354。そして日経平均CFDは連れ安でさらに▲￥161して完全に流れが決まったと思う。６月底値説が危うい状況になってきた。トレンド転換の起点となったトランプツイートトランプ大統領は自身の政策や状況をツイッターで発信することで、国民に対し分かりやすい政治を行っている。それは大いに評価できる点で、しかも月に100通以上の発信を...

メキシコと言えば、米国内の製造業に対し部品供給の拠点であり、自動車メーカーは多くの製造工程を低賃金のメキシコで行っている重要拠点です。

また日本の自動車産業や機械産業も米国内の生産において、メキシコからの部品供給に依存しています。そのために、日本の自動車関連下請けメーカーの工場の多くはメキシコにあるため、日米ともに株式市場は影響の大きさを織り込み急落しました。

中国対抗策示唆

5月相場の争点であった米中対立は日々先鋭化し、遂にはブルームバーグが「中国が対抗策としてレアアースの禁輸を検討している」と報道し、株式市場は多くの懸念を抱える結果となりました。

株修羅本家（Kabusyura-Honnke）

新冷戦：レアアースで米国に反撃する中国

https://kabusyurahonnke.com/post-1468

世界の二大経済大国である米国と中国の経済対立が日々先鋭化してきています。2018年10月のペンス副大統領の歴史的対中批判演説によって決定的になった米中貿易戦争ですが、5月初旬の交渉妥結の土壇場で中国が合意内容を取り消し、7日にトランプ大統領が妥結なしを宣言して本格化しました。新冷戦の始まりです。米国のファーウェイ制裁米国は5月15日にIEEPA（国際緊急経済権限法）に基づいてトランプ大統領が「国家非常事態宣言」を行い、外国企業の通信機器の使用を禁じる大統領令に署名、ファーウェイを完全に締め出しました。同時に...

さらに中国で活動する米国籍法人に対する制裁も計画されているという情報もあり、株式市場は懸念を織り込みきれない状況になっています。

米国ダウ日足チャート・テクニカル

米国ダウの下値のレジストラインは3月11日の$25,208、そして５月13日の$25,222を結んだラインということですが、29日にGDして割り込んだことで、日足チャートは非常に足色の悪い形となりました。

25日線・75日線の移動平均がデッドクロスしたことで、来週は下値を決めに行く週という位置づけになります。

需給的には$2500以上の玉が膨大なシコリになるために、底値を見てからのリバウンドは限定的にならざるを得ない状況で、非常に厳しい状況になっています。

日経平均日足チャート・テクニカル

一方の日経平均も値動きはほぼ米国ダウと相似形と言えます。とりあえず目先のレジストラインと言えるのは2月８日の￥20,315ですが、その水準はPBR1.03程度であって、日経平均の最安値と目されています。

今後、それを割り込み￥20,000割れの水準になると「日本経済は壊滅」という大袈裟な表現を30日の記事に使いました。日経平均がそこまで下げて戻れないほどの状況になるとすると、現状の日本経済のファンダメンタルズからして「デフレ突入」が明らかになるような状況と言えて、そういう表現を使ったわけです。

株修羅本家（Kabusyura-Honnke）

GDPの不都合な真実：日経平均二万円割れで日本経済は壊滅

https://kabusyurahonnke.com/post-1471

5月20日発表の1－3月期国内GDP1次速報値は、名目成長率3.3％（年率換算）、実質成長率2.1％（年率換算）となっています。この発表に麻生財務大臣は「2四半期プラスで決して悪くはない」とコメント。それに先立って日銀の黒田総裁は5月17日、「外的なショックに対する我が国経済の頑健性は着実に強まってきている」とコメントし「チャイナショック時よりもなお高い水準を維持している」と付け加えています。GDP統計の信頼性が揺らぐGDPは国内で創出された「付加価値の合計」ですから、現行の景気の善し悪しを計る指数としては、かなり遅...

来週の日経平均はGDスタートがほぼ確定していますが、底を見てからどの程度リバウンドできるかが焦点になると思います。

来週の日米市場地合い予想

米国内では今回のトランプ大統領の「メキシコからの輸入全品に5％の関税をかける」との発言に対し、産業界、金融業界から猛反発が起こっています。

引き上げ、を匂わせていてプレッシャーを与えることでメキシコに移民の取り締まりを迫っていますので、少なくとも数週間は解除されない見通しです。

また中国は６月1日付けで600億ドル相当の米国製品の輸入に対し、報復関税を発動しました。仮にレアアースが本格的にテーマとなるならば、メキシコ関税と合わせて、米国産業は痛烈な打撃となります。

さらに中国は「信頼不可企業リスト」を作成し、ファーウェイ制裁に対抗しようとしています。

従って、早期決着が望み薄の来週は、厳しい株価動向が想定されます。

さらに、日経平均は、円高の影響もあり、米国以上に厳しい値動きになる可能性が高いと思われます。当面の底値を来週は見ると思いますが、どの程度リバウンドできるかによって今後の相場の行方が決まるはずです。

リバウンドで￥500～￥1000戻せない場合は、トレンドは変わりそうにありません。

注）現状の地合いはロング/ショート戦略以外に勝ち目がないですね。

株修羅本家（Kabusyura-Honnke）

 

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