過信しているFRBにインフレは止められない!?

過信しているFRBにインフレは止められない!?

米国で雇用統計が発表になった。けど・・・、

22:30 (米) 12月 非農業部門雇用者数変化 [前月比] 21.0万人
(24.9万人)
40.0万人 19.9万人
22:30 (米) 12月 失業率 4.2% 4.1% 3.9%
22:30 (米) 12月 平均時給 [前月比] 0.3%
(0.4%)
0.4% 0.6%
22:30 (米) 12月 平均時給 [前年同月比] 4.8%
(5.1%)
4.2% 4.7%

今の株式市場では、こういう統計に対して様々な解釈をされがちだけど、個人的には今回の数値はかなり痛いんじゃないか?と思うね。株式市場の今後の展開にとってもかなり、見かけ以上にネガティブに作用するんじゃないかな?内容はこの時期、致命的にダメダメだったと思う。

雇用時計に焦るFRB

まず、予想コンセンサスが40万人増のところ、蓋を開けてみると19.9万人と半分にも達していない。しかも失業率は4.1%予想で3.9%、しかも平均時給は前月比、前年比ともに大きく伸びた。これの意味するところは、ずばり労働力不足が決定的になったということ。勿論新型コロナの影響が大きいわけだけど、絶対的な労働力の確保が難しくなっていて、働く意欲もほとんど伸びていないから失業率が低下する。コロナ前に離職した人が労働市場に戻らないという図式だからね。

そうなればもちろん賃金は上昇してしまうし、その結果インフレはますます厳しい状況に至る可能性が非常に大きいという事。この数字がもし、11月の段階で見えていたら議事要旨はもっとタカ派的になっていたのではないか?と思わせるよね。

なので、今回の雇用統計は、3月テーパー終了と同時に一回目に利上げをする、と言うことを裏付ける格好になったと思う。しかも、大問題のQT(バランスシートの縮小)も、このままでは本当に6月の2回目の利上げと同時にGOされる可能性も非常に高まってしまったわけだよ。

Advertisement

じゃ、今の米国で1月に労働力が急増するかと言えば、今のオミクロン株の感染拡大状況からしてますます厳しくなってると考えるのが自然だね。3日117万人、4日80万人、5日62万人、そして6日78万人と、1日の感染者数は尋常な数値ではないし、症状が軽いと言ってもそれなりの期間休職することになるわけで、しかもその傾向が今後も続くとなると、このままではFRBにもインフレは制御不能であるとなってしまうし、株式市場の見方もまたそうなりかけてるはず・・・。

実際FRBは、ハト派だの、何だのともてはやされて、バカバカと気前よく資金を出し過ぎたことのたまりにたまったツケを払わされることになるんだろう。FOMC議事要旨で予想以上にタカ派の議論が行われていた、ということで相場は急落したけれど、悠長に株式市場に冷やしなんか入れてる場合じゃないんだよ。もう、FRBの金融政策は完全に後手後手に回っていて、今の段階でフォワードガイダンスくらいでは追いつけない状況になってるってことを、数字で証明したのが今夜の雇用統計ってことになったね。

さて、これで今頃FRBは焦りまくってると思う。先手を打って少なくとも去年はコロナ禍とはいえテーパーをすべきだったし、年末には1回目の利上げをしなきゃいけなかった。でもそれでも、手遅れ感があると思うけど、今の米国はバイデン政権が大いに財政のばら撒きをやっていて、同じ方向でFRBが金融政策をやり続けたことが、インフレに決定的に作用してる。だから金融当局は早期に引き締めに舵を切るべきだった・・・。今更ながらそういう意見が出てもおかしくないし、また市場が崩れそうになるとそういう意見がどんどん出てくるだろう。

Advertisement

相場の局面が大きく変わる!?

今夜は雇用時計を受けて米国債10年物金利も堪らずに1.778P(1時現在)まで急上昇してるし、インフレ警戒感からWTI原油は急落し始めている。これらは非常に真っ当な、かつ常識的な動きにようやくなってきたという事だよ。ドル円だけが日米金利差拡大にかかわらず円高に流れてるけど、これも少ししたら反転するだろうしね。

さて、まさか雇用統計がこんな数字になるとは、俺でさえも考えなかったし、予想も出来なかった。なので持ち越しポジションを建てられずに週末を迎えているわけだけど、当然のことながら米国株式市場に(インフレに対する)危機感があるならば、恐らく落差の大きな急落にこれから向かうだろうし、それに伴って日経平均CFDも▲¥240(1時4分現在)まで垂れてきている。けど、まだまだこれからだね。

しかしこれで来週の相場局面はガラリと変わることになる。もはや米国市場はインフレ待ったなしの状態に突入してしまったし、金融当局がやれることは株式市場の急落を恐れることなく金融を引き締めるしかない。それもフォワードガイダンスを上回る、サプライズを伴ったものにしないと効果がないだろう。なのでそう予想するような株式市場の動きに来週から突入するはずだ。

Advertisement

最も難しい株式市場

そしてもう多少の犠牲は覚悟で、金融を引き締めるしか、遅れを挽回するしかFRBには道がなくなった以上、株式市場はこのことを大きく、しかも迅速に織り込まないといけないし、グズグズしている時間的な余裕はない。大手ファンドや投資銀行のポジションは、今週以上にさらに厳しい変動になるかもしれないね。

だから、この時期の買いポジのホールドは危険だと、感じていたんだよね。もちろん逆もあり得たわけで売りポジも危険には変わりはなかったけれど、いずれにしても金曜後場のマッタリした戻りを「リバウンド狙い」で買いついた個人投資家は大きな後悔をすることになるかも。今の相場は、本当に何がどう変化するのか分からない難しい相場だということだよね。

こんな時は下落の底当てゲームは絶対にしてはいけないと思う。ザラ場のセンチメントの変化で株価は、市場全体は動くけれど、その動きはあくまでもセンチメントであって経済要因を分析した冷静な動きではないという事。そしてその動きが間違っていたとなると「騙し」とか言うけれど、大抵の場合ショートカバーなのだということを想像しながら醒めた目でザラ場を見ていないといけないよね。

かく言う俺は短期に徹しようということ、持ち越さない、と決めていたので売り玉を買い戻したけれど、これって実需じゃないわけだからね。結果論だけどあのまま買い戻さずにポジションを持ち越したら火曜は大きく勝てたかもしれない。でも今夜と月曜の2晩に耐える自信もなかたしね。全く後悔はしていない。

Advertisement

嫌な予感

さて、これからいよいよ「金融政策の変わり目が相場の変わり目」を実感する季節がやってくるだろう。FRBは株式市場を暴落させることなく、金融危機を招かぬように市場をコントロールする自信があるらしい。けれどもそれは恐らくFRBの過信だと思う。

新型コロナも世界が躍起になって対策しても、ほとんど通用していない状況・・・、ワクチンを作っても決定打にならず経口薬もどこまで通用するか未知数で、この図式そのものが金融政策にも当てはまるんじゃないかと思う。新型コロナの役割をインフレだ。けどこの二つは密接な関係性があるのは間違いないわけで、解決するには両方を退治しなければならないというとんでもない難題を突き付けられるだろう。

これはねぇ・・・非常に嫌な予感がするよね。

先ほど日米金利差拡大で円安に戻る、と書いたけれど、もしかしたらインフレ高伸懸念やテーパリングによってドル安にならざるを得ないと考えるドル売りが始まるかもしれないわけで、今の状況はその前触れかもしれないという事。QT(金融縮小)とはドル売りだからね。

う~ん、実に嫌な予感がするなぁ・・・。

もしかしたらこのままズルズルとノンストップで株価が下がってゆく!?そしてある地点でドスンと来る。そこから阿鼻叫喚が始まったりしてね。金融ジャブジャブのツケは途方もなく大きいからねぇ・・・。

(PS.米国ダウがいきなりのプラ転急上昇し始めた!失業率3.9%に改善したことを好感!?そんな馬鹿な・・・労働参加率が低下しただけだろう?苦笑)