CPIショックの次はウクライナショックか!?

CPIショックの次はウクライナショックか!?

何とも意味深な発言・・・。英国のボリス・ジョンソン首相はウクライナ情勢について「ヨーロッパにおけるこの数十年で最大の安全保障危機にあって、これからの数日が最も危険な時でしょう」という認識を示したということ。あれっ!?ウクライナ情勢って先日6時間にも及ぶプーチンーマクロン会談で、プーチン大統領に軍事侵攻は思いとどまる、という発言を引き出したんじゃなかったっけ!?けれども、その後マクロン大統領もボリス・ジョンソン首相と同じような発言をしてる。ということは、マクロン大統領というかEU側の提示した譲歩案をプーチン大統領が蹴ったということかな?それともその妥結期限がこの数日後ということ?

これでボリス・ジョンソン首相はNATOの事務総長と会談の後、ウクライナの隣国であるポーランドへ行って首相と会談し、ポーランドに派兵された英国軍と会ったりしてる。有事の時の対応を話し合ってるという事だろうけどね。

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だいたいウクライナ侵攻に関しては、プーチン大統領は習近平に「五輪開催期間は動かないでください」とお願いされたというニュースが流れた。そしてプーチン大統領は西側諸国の首脳達がボイコットする開会式に出席したけれど、ここで中国側の用意したホテルでオミクロン感染が多発し、「こんなところに私を泊めるのか!」と言ってプーチン大統領は激怒、速攻で帰国したという曰くがある。第一、北京五輪は20日までだから、まだ10日間の開催期間が残ってるのに、ボリス・ジョンソン首相の発言は数日と・・・。

一方米国は、ロシアに対してウクライナ侵攻ならば厳しい経済制裁を課すと宣言してて、なおかつ日本海へ主力空母三隻、軽空母二隻を含む戦後例を見ない大部隊を展開中で、ロシアに睨みを効かせている最中。中国、ロシアは調子こいて北朝鮮にミサイルをバンバン打たせていたけれど、多分米国から警告があったのか、すっかりミサイル発射は影を潜めた。

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米国株式市場はやれ利上げだの景気後退懸念だのと言って相場が乱高下中だけど、世界情勢はそんなことは問題にならないほどに緊迫してるんだな、としみじみ感じる。昨夜の1月CPI7.5%(前年同月比)は、40年ぶりのインフレだと騒いでいるし、3月利上げは0.500pで決まり、みたいなことで相場は大きく下落してるけど、面白いもので株式市場ってそれ以上のことは全く織り込んでいないし、想定さえもしていないんだね。

でも、もしもロシアがウクライナに侵攻したなら・・・いきなり資源価格は暴騰するだろうし、それだけではなくて世界第4位の穀物大国であるウクライナだから、小麦、大豆などの穀物は暴騰しかねない。そうなると穀物大国の米国でもインフレは7.5%処の話じゃなくなってくる。けれども、そうした事態はいまのところ1ミリも織り込まれてはいないからね。

しかも米国の株式市場は、インフレによって米国企業や米国経済がダメージを受けるという解釈ではなくて、FRBが利上げをするからその悪影響を懸念してるという、何というか本末転倒の解釈で動いているのが気に入らないんだよ。そういう株式市場の在り方が、結局はウォール街のメガバンクやメガファンドによって支配されているという構図が、不自然極まりないと思うんだよね。

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ロシア経済はいま、窮地に立っている。地球温暖化防止を先進国主導でどんどん推進していて、特に欧州では先陣を切って化石燃料事業への金融規制を始めたり、エネ企業に対し様々な投資規制を掛けたりしてストップをかけまくっている。同時に米国でもそうした投資規制や融資規制が始まっていて、そうなってくると原油頼みのロシアとしては新規開発が出来なくて現行の生産予定数量の維持さえままならなくなってしまうし、実際にOPEC+の生産割当は維持できていない。

今のロシアにとって原油は生命線であるし、天然ガス供給も大きな財源で、エネ輸出がなければ経済は崩壊する。そこに持ってきて投資規制、融資規制となると採掘技術を西側企業に頼らざるを得ないロシアとしては、まるで寄ってたかってロシアを兵糧攻めにするつもりか!とプーチンが激怒する理由も分からないことではない。ロシアは多分ウクライナのNATO加盟という軍事的、安全保障的な見地で怒ってるのではなくて、裏にはそうした国情があるんじゃないかな。経済的にある程度潤っていたらわざわざ大金をはたいてウクライナに軍事侵攻などするはずがない。

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ここ十数年間、世界は金融資本主義に支配されてるよ。景気対策と称して各国中銀はマネーをこれでもか!と刷りまくり、供給しまくりで、おかしくなってくるとさらに上限なしにマネーを供給して解決しようとする。けれどもいよいよそうした金融緩和手法の限界らしきものが大きく立ちふさがった。それがインフレだ。そして延々と続いた金融緩和時代が今度こそピリオドを打つ時を迎えたんだよね。

そんなときにウクライナ侵攻が起きたりしたら・・・世界経済はなかなか厳しい状況に陥るのは必至だけどね。一応、改めて想定しておく必要があると思うので。