プーチンの「核」のブラフ!?でもブラフでない可能性も?

プーチンの「核」のブラフ!?でもブラフでない可能性も?

今頃、ロシアとウクライナの停戦協議が行われつつあるのかな?というタイミングだけれど、こと、この戦争に限れば、停戦合意がなされるはずがない、と思う。これは停戦交渉と言うよりも、ロシア側の条件提示に対し、ウクライナがそれを飲むのか飲まないのか?という協議であって、いままでそれを飲めないからこそ、戦争になっているわけで・・・。

ゼレンスキー大統領は、意地を張るとか、頑な態度で犠牲者を増やすのか、という意見もあるけれど、戦争というのはそういう事ではないから難しいわけで、ウクライナの存続意義とかアイデンティティを守るとか、もっと言えば自分が大統領に選出されたのは、公約を国民の多くが望んだから、ということだから、何を最も重要視するかで判断が決まる。

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ここで、ウクライナがロシアの要求を飲み、停戦合意しても、こうした暴挙がまかり通り世界、ということは何も変わらないわけで、非常に難しい決断なのだと思う。それよりも、交渉の場に臨んで、ロシア側の提案をそもそも信じられるのか?ということがある。騙すことを何とも思っていないプーチンだから、自らの目的達成のためには、国家さえ蹂躙してしまう人物だからね。

協議の行方を見守るしかないけれど。

 

さて、この戦争が、ここまで至って、これが今後の世界にどういう影響を与えるか?と考えなければならないフェーズに突入していると思う。そういう意味では、ロシアの一部銀行をSWIFTから除外する、という決断を欧米はしたわけだが、「一部の銀行」というのがミソで、加盟している全銀行という事ではないから、大騒ぎするほどの影響は出ないかもしれない。

けれども、ロシアそのものを考えた時、例えば今後、ロシアと取引するのか、投資するのか、現在の取引残高、投資残高をどう考えるのか、という意思決定を企業や投資家、国家に迫る決定だということだよね。

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今の世界は、商売になればイケイケ、みたいな風潮でここまで来た。それが金融ジャブジャブの世界だ。ところが、金融の潮目は完全に転換した今、思い切り腰を引かないと、と考えるのが当たり前だろうと思う。そして明日からロシア売りが始まるのは明らかで、もちろん逆張りで買ってくる投資家もいるだろうし、混乱している今だからビジネス妙味があると考える企業もあるだろうけど、すでに世界は守りが主流になっているわけで・・・。

とにかく欧米のロシアSWIFT除外が中途半端な形だけに、明日の時点ではまだ制裁前なので、決済が殺到するだろう。その時に大きく影響するのが、ルーブルの為替相場(ドル換算レート)だよ。とにかく明日以降ルーブル安は止まらなくなる。ロシア中銀の介入なしではどうにもならないと思う。けど、ロシアのことだから、ルーブルを固定してしまうことも十分に考えられるから、それは短期的な暴落リスクを抑える効果はある。けれど、余計にロシア売りを加速する要素となってしまうので、あまり意味がない。

そこで一連の制裁にあるロシア国債取引停止だけどね。まず2021年末時点で残高約21兆円という統計があるけれど、そもそもこれが信用できるかどうか。そしてもちろんルーブル下落で現時点では約13~15兆円と考えられ、さらなるルーブルの下落によって額面では小さくなる。けれども債券というのは流動性を失った時点で価値は無に等しいからね。現時点で国債が流動性を失っている以上、その国の株価や債券が今まで通りの動きで取引される、ということはあり得ないと思う。

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もちろん原油や天然ガスという担保は豊富だから、強気で臨む投資家もいるだろうし、絶好の買い場と判断する向きもあるだろう。所謂逆張りというやつだけどね。もしも、今回の停戦協議である程度ロシア側も妥協の姿勢を見せて、合意するならば、逆張りは成功するかもしれないけれど・・・。

というわけで、明日からロシア売り本番になる。これで株価は大きく変動するだろうけど、問題は株価の動き以上に今後、世界金融にどういう影響が来るのか、ということ。そしてそれは(債券や株式の)現物の動きだけでなく、CDS、CDO、と言ったデリバティブがどういう影響を受けるのか、だよね。ロシアのCDS保証利率は週末の時点で8%台だったけど、これが一気に50%なんてこともあり得る。ルーブルは下落する、国債は流動性を失う、株価は下がる、となってその上保証料率が跳ね上がったら、極端なことを言えばロシアの価値は「ほぼゼロ」ということになる。そしてそれは将来的にロシア経済が破綻するという意味でもある。

それを果たしてマーケットが織り込めるのか?ということ。それもインフレがさらに加速する可能性含みで、FRBやECBは利上げを躊躇うわけには行かない、というこの時期にだ。

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何か大きな出来事が発生した場合、それを織り込むというのはつまり、将来を計算できるということ。ならば、今回のようなロシアの軍事力を背景とした覇権主義、国家侵略をマーケットはどう織り込む?という難題を突き付けられているわけで、この金融ジャブジャブの時代に、織り込めるのか?と。言うまでもなく、今は企業収益のみならず、企業債務、国家債務も未曾有の領域だからね。1%の金利変動で大きく株価が変動する時代・・・バブルの夢は終わってると思うけどね。

その上プーチンは、停戦協議の前に、しかも欧米の経済制裁に対抗して、「核」のブラフを持ち出した。自国の核抑止力部隊にたいして「特別厳戒態勢」を命じた。これは核ボタンの前に兵士が陣取り発射命令を待つ体勢、ということだ。