米国7月小売売上高とFOMC議事要旨

米国7月小売売上高とFOMC議事要旨

今夜は米国7月小売売上高とさきほど7月のFOMC議事要旨が公開された。米国市場は小売売上高に関してはかなりネガティブな反応を示したものの、FOMC議事要旨には急速に戻りを試す展開に・・・。けれどもそれほど楽観できる内容ではないと思うんだが・・・。

21:30 (米) 7月 小売売上高 [前月比] 1.0%
(0.8%)
0.1% 0.0%
21:30 (米) 7月 小売売上高(除自動車) [前月比] 1.0%
(0.9%)
-0.1% 0.4%

まずは小売売上高。上記のような結果になったけれども、正直自動車が売れなかった。インフレの影響でいま住宅や自動車などの大きな買い物が手控えられるようになってきてる。今夜発表になったMBA住宅ローン申請件数も-2.3%と前回の+0.2%から大きく減少してるけれど(前週比)、もちろん小売売上高には含まれないけれど、要するにローン金利の高騰に嫌気が差してるということで、今後この傾向はますます強くなるんじゃないかと思う。

反面自動車を除いた小売売上高は0.4%と予想の-0.1%を上回っているのは、相変わらず米国人の消費中毒が一向に衰えていない証でもある。小売のターゲットなどもこれから業績は挽回するとしてるけれど、要するには米国は小売事業者も消費者もそういうマインドなんだろうと言うことだよね。

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でも考えてみると、米国の個人(家計)ファイナンスは限界に達していて、貯蓄率も最低水準を下回ってる状況がある。住宅ローン、自動車ローン、学資ローン、それにクレジットカードローンやクレジット与信などは、本当にとんでもない水準になっていて、日本人感覚からすれば、あり得ないレベルで生活してるんだよね。とにかく企業も個人も借金の上で成り立っているという構図。

もちろん借金は信用創造でもあるから悪いことではないにしても、賃金上昇がインフレに追いつかない状況が続いていて、これは可処分所得の減少を意味するわけで、だからこそ7月の雇用統計はとてもいい数字になった・・・。まだまだ年内利上げが続くわけで、はっきりしてるのは金利上昇が賃金上昇を吸収してしまう可能性が高いということ。つまり、インフレ分はこれから個人消費を直撃するということになるよね。

これが進むと、ローンに押しつぶされちゃって、破綻しかねないわけだよ。米国なんて信用社会なので、一度破綻すると信用回復には長い期間が掛かるから、いくら米国人が消費中毒といっても、借りられなくなったらそれも破綻するしね。

そういう意味で自動車株が持てない理由はここにあると思っていて、ガソリン価格が安くなっても金利上昇局面では自動車販売は厳しくなるよ。今回その傾向がはっきりと見えた感じがするしね。日米株価は上昇中だけども、楽観するのはまだまだ早すぎるんじゃないかなと思う。

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そしてFOMC議事要旨だけど・・・。だいたい議事要旨で株価が大きく反応すると言うこと自体不自然なことだと思っていて、「将来の利上げはデータ次第」とか「金融引き締めの影響はまだ感じられていないと判断」とあるのでね、これを良いように解釈すると、米国経済が強くて利上げの影響は限定的、と受け取るんだろうけど、俺なんかは、逆だろう?って思うけどね。

「サプライチェーンの問題解決には想定以上に時間がかかる可能性」と論議されてるけど、だって米国の7月失業率が過去最高水準の3.5%だからね。従来にない完全雇用状態なので、どうにもならないだろう?

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というか、FRBとしては利上げペースを恐らく9月は0.500pに戻しても大丈夫じゃないか?という(昨年同様の)腰が引けたスタンスが台頭してきてると思う。要するに、もうFRBというのは、積極的な金融政策が出来るような感じではないと思うのよ。そもそも「利上げをデータ次第」と言い放つところが腰抜けの証拠で、それって金融政策としてはまったく整合性が取れないもの。だって少なくとも1ヵ月前のデータ次第で半年先に影響が出るような利上げ幅を決めるわけで、もう無茶苦茶なことを言っているわけだよ。

そうでなくて金融当局の確固たるポリシーとして将来像を示して、そこに誘導するみたいなことが本筋のはず。これね、こういう発言が出ると言うことはFRBが全くインフレ予測、景気予測を放棄してるのと同じだよ。昨年、インフレは間もなく沈静化と再三言っていて、予想を外したことが相当効いてるんだろうけどね。だからもう予想はしません!という責任回避。政策って将来像を描かないと、本来何も出来ないから予測は必須で、予測を外したならば、予測精度を上げる方向を模索しないといけないのに、開き直っちゃってるよ!

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そうなると、もうダメだね。日米市場ともに、AI取引、HF(ハイ・フリクエンシー)取引で、カンカンに引っ張り上げられてるけど、こんな感じで大手投資銀行やヘッジファンドのやりたい放題がまかり通っているのも、金融当局の優柔不断がある意味原因でもあるからね。とにかく個人投資家が勝てなくなる時代はもうそこまで来てるのかもね。

ちなみに個人がいなくなったら、あいつらはつぶし合いを始めるのかな?(苦笑)

まぁまぁ、あまり楽観しない方がいいってことだよ。本当に何をしでかすか分からんから。あっという間に3、4日で上昇分を打ち消しちゃう、なんてことがあり得るから。まずはSPAC辺りが怪しいと睨んでるけど。だって中国企業の米国上場株とSPACって本質的には同じようなものじゃん!議決権も配当もないただの紙切れだから・・・。紙きれに多額の投資をしてるって、ヤバいに決まってる!ほんとヤバイよねぇ・・・。