日本株を読め!【6.17~21】日本市場正念場の週

日本株を読め!【6.17~21】日本市場正念場の週

6月14日(金)日経平均引値 ¥21,116(前週予想¥21,500)日経平均CFD ¥21,046

相場・地合い概況

米国市場はFRBの利下げ期待一点で現行の株価水準を維持しているように見える。米中交渉は中国の強硬な姿勢が際立ってきて、G20では米中会談は非常に怪しくなってきたし、それ以前に習近平が出席しないとの情報も出始めた。

決して好ましいことではないが、株式市場は相変わらずトランプ大統領次第というセンチメント重視展開が続いていて、様々なリスクの高まりを織り込まずに方向感のない揉み合いとなっているが、基本的な焦点はFOMCでの利下げだろう。

米中交渉一服

中国はレアアースによる対抗策を打ち出すこともなかったが、米国に対する強硬姿勢をますます強めている。5月はさらに輸入が減少し、国内経済の衰退が鮮明になってきた。

またファーウェイはアンドロイドの代わりに独自OSをリリースすると発表したが、スマホの販売数は激減し、窮地に立たされている。

同時に当局による中国国内でのネット規制は一段と強化され、事実上の海外情報の締め出しが行われている。

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地政学リスク

今週になって香港の抗議行動のエスカレートと安倍首相のイラン訪問に対する反発で、にわかに2つの地政学リスクが台頭した。

 香港情勢

「一国二制度」という香港統治の条件は、ここにきて「「逃亡犯条例の改正」をきっかけに撤回となりつつある状況で、改めて民主化運動が再燃した。700万人の香港の人口に対し、100万人以上が抗議行動をしているという、極めて大規模な抵抗に発展ていて、今後中国側がどのような手段にでてくるのか、極めて緊張した情勢となっている。

香港にはアジア最大と言われる金融センターがあるがゆえに、その特別な地位が保たれてきたわけだが、中国では上海が香港の規模を抜こうとしていて、当局は恐らくその機能を吸収する思惑がある。

そうなると、対中国貿易、および中国投資の拠点を失うことになり、現状の中国投資の多くを抑えられる懸念がある。

それを覚悟で米国はポンペイオ国務長官が香港の代表と協議をしていて、今回の抗議行動に米国が関与しているのは明白だ。

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 イラン情勢

安倍首相のイラン訪問は、結果的にイラン側の態度を硬化させることになった。

タンカー攻撃は明らかに安倍首相訪問に対する抗議行動である。

特に今回の日本企業の運営するケミカル貨物船への攻撃は、日米同盟からして十分にイランに対し武力行使を行う理由となりえる。5月のタンカー攻撃によってトランプ政権は、空母打撃部隊を派遣し1500人の増派を決めた。

その最中に起こった今回の攻撃は、米国とイランの武力衝突に発展する可能性は決して小さいものではない。

FRB利下げ期待

6月18日、19日に開催されるFOMCでの利下げ期待が市場で高まり、またトランプ大統領は一層の利下げ圧力をかけ続けているが、恐らく今回のFOMCでは利下げは行われずに様子見となるだろう。

現状世界のマーケットは明らかに債券バブルとなっていて、米国でも国債10年物金利が2.000%に急接近している状況。この状況でFRBが利下げを行えば、実質的な運用金利を下回り、債券市場は大きく変動する危険性がある。

FRBが重要視するのは株式市場ではなく、(現在バブル状態にある)債券市場の動向だろう。

米国ダウ日足チャート・テクニカル

米国ダウは既に利下げを織り込みつつある。投資家のポジションは19日のFOMCで利下げを期待した株価の位置。今週は出来高も細り気味で、リスクに目を瞑っての利下げ待ちということになる。

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市場の需給は良好で売り圧力はほとんどない状況。ここからFRB利下げが7月にずれ込んだ場合には、嫌気売りが出て$25,000程度まで調整する可能性は高い。仮に利下げが19日に発表されたら、史上最高値を越えてくる展開も十分に有り得る。

しかし問題は28日・29日のG20で米中会談が実現するか否か。もしも米中対立激化であれば、企業業績への影響懸念が台頭し、ハイイールド債やCLOが売られる可能性が濃厚。そうなると、流石に株式市場も一気におとされるだろう。

今後2週間にわたって株式市場は正念場を迎える。

日経平均日足チャート・テクニカル

片や日経平均は75日線を回復できずに揉み合いの展開。米国市場追従である限り、利下げがあれば好感される可能性が高いが、75日線を上回るのは厳しい状況と見る。

ちなみに外資の空売り状況は、13日、14日ともに48%と市場最高水準。金曜の引け具合から相当数のポジションは温存されていると思われる。

従って、メジャーSQを通過した日本市場では、出来高が盛り上がらなかったことも含めて、海外勢のポジションはFRB利下げの思惑がらみと考えられ、来週の相場では関連情報に敏感に反応してくると思われる。

個人的には今回の利下げはスルーされると考え、ハト派コメントでフォローしてくると考えている。

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来週の日米地合い予想

今週の値動きを見ても、日米株式市場はFRBの利上げ一本に焦点を絞っていることが分かる。6月の米国指数は予想ではさらに悪化すると言われていることから、利下げ期待が非常に高まった。

地政学リスクもあり、また米中対立のフェイズも新たな展開を見せる可能性もあるが、とにかく現在の株式市場は、「利下げ」しか見ていない。従って、株価予測はすなわち、利下げするか否か、の一点である。

 

個人的には、経済効果を考えると利下げすべき局面であることは間違いないと思うし、実際そうなれば株式市場は好感するだろう。

 

しかし、債券市場を考えると、ここで利下げプラス米中対立次第では先行きの利下げを想定させるようなコメントがでることで、債券市場のバブルは抑えが利かなくなる可能性が濃厚。そのリスクをFRBがとって来るとは思えない。

6月21日(金)日経平均予想

FRB利下げとなれば上昇だが、ここは二者択一の場面なので利下げ見送りとして

日経平均株価¥20,800 ドル円¥110.00

を予想する。

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