週明けにも流石に財務省も日銀も、為替介入するしか選択の余地はない

週明けにも流石に財務省も日銀も、為替介入するしか選択の余地はない

本来金融政策を通じて物価の安定と雇用の確保を目指すべき中銀が、硬直化してしまって何もできない状況に陥ってしまうという、全く意味不明の袋小路に追い込まれたら、はっきり言って信用を無くす、舐められる、足元を見られる。今の日銀のことだ。

利上げをすると景気が腰折れるという人がいる。果たしてその理屈は正しいのだろうか?とずっと考えている。「せっかくデフレ脱却できそうなのに、ここで利上げなんかしたら金融緩和効果が剥落してデフレに逆戻り」と大声で叫ぶ。本当かいな?って思うよね。

実際ジャブジャブどころじゃない金融緩和を延々といままでやってきたのに、日本人の生活は楽になったか、所得が増えたか、というと全然そうなってない。日米金利差で円安になって、輸出企業や海外展開の多い企業は儲かる。けれど輸入企業、国内展開が中心の企業は、苦しくなるから当然値上げラッシュになる。

結果として日本経済って良くなってるの?というと、良いところは良いけれど、苦しいところはますます苦しい、という格差が生まれ、広がるばかりで、それらをひっくるめて全部足すと少しは景気が回復したように見えるだけかも。

Advertisement

日銀が金融緩和をしてきて株価が上昇した、というけれど、上昇した理由は結局は円の価値が下がったから、と言い換えることが出来るのではないか?って思う。企業の価値自体があまり変わらないのであるなら、円の価値が下がった分だけ株価は上がらないとおかしいから。

それを、評論家はすかさずすり替える。「日本企業の未来は明るい」「日本企業の技術力云々・・・」という理屈で、日本株は上昇するというわけだが、もし日経平均が巷間言われているように5万、10万、30万と上昇していくのであれば、その時には¥360/ドルくらいになっちゃうかも。世界的に見ればもう日本は経済的に後進国に近くなってるよ。

そもそも、主力企業の業績を支えているのは、2021年に¥105だったドル円レートが3年経った今、¥158を超えているという、50%も円安になった恩恵だけなのではないか?と思う。イノベーションが起こり、経済を活性化するような新たな産業が生まれたわけでもなんでもない。経営者が盆暗でも、為替差益がどんどん増える。その結果株価は上昇する。

けれども日本人が大好きなハワイ旅行に行ったら、現地の物価に愕然とするわけだ。キャリーバッグの中はカップ麺だらけ。現地で外食ばかりしてると大変だから、という理由らしい。現地でもはや食を楽しめない、宿泊はグレードをかなり落として、まるで国内のビジネスホテルに泊まるようなもの。そういう日本人の姿を現地の人々はどう見るだろうね。それよりも帰国して、いい思い出になったと感動する旅行者がどれほどいるのかね。

Advertisement

国外に出て見て、日本人は、かつては日本の良さを実感できたというし、まだまだそういう側面はたくさんあると思うけど、同時にかつては感じることがなかった「貧しさ」を実感すると思うよ。はじめは海外の物価が高いって思うだろうけど、徐々に日本が貧しいということに気付く。

では来日外国人はどうだろう?海外とは比較にもならないほどのサービスを信じられない価格で享受できる。食べ物は美味いし、日本人は親切だ。だから日本は素敵だ、と最初は思う。けれどこの状況が延々と続けば、次第に日本での態度が横柄になって来て日本人は貧乏だと見下すようになる。年間に4000万人も訪日客があればインバウンド消費で儲かるというけれど、どっこいそのための社会コストがどれほど増えているのか。日本の流儀に従わない観光客が増えれば増えるほど、社会コストは増加し、結局それを税金で賄うことになる。それだけではなくて日本人の生活そのものが制約を受けるのだ。

つまり、円安になるということは、名目上の株価は上昇するから、日本企業、日本経済が良くなったような錯覚に陥るけれど、実質的には全体的に日本人は貧しくなる一方なんだ、ということ。ますます世界の中では、G7の中でも、取り残される存在であるということを意識しないといけないんじゃないかと思う。

Advertisement

日本の生産性が驚くほど低下しているけれど、ドル換算して計算するとまさにその通りになる。日本ではいくら働いても先進国の中で1/3程度しか稼げない、となる。内外金利差が広がり過ぎると、円キャリーがどんどん増えて、日本人のためのゼロ金利、超金融緩和は、返って日本人を貧しくする。円安の急激な進行というのはそういうことを意味するわけだ。

だからこそ、財務省・日銀は円安是正に真剣に取り組まないといけない。実際7.5%の住宅ローンを経験してきた身としては、1%、2%の金利上昇など何でもないよ。変動相場制を維持するつもりなら、今の内外金利差はあり得ないんだよ。日本全体の経済を考え、国民生活を包括的に考えたら、日銀は利上げをしないわけにはいかないはずで、財政負担が増えるから、という理由で低金利政策を維持しようというのなら、植田総裁は学者でもなんでもなく、ただの財務省のポチと言われても仕方ないと思うけどね。

そうした状況を考えると、週明けにも流石に財務省も日銀も、為替介入するしか選択の余地はない。政策的に利上げが出来なくて、その上介入も逡巡するとなると、政治同様に金融当局も腐ってると思わざるを得ない。