これまでの決算で感じたことを徒然

これまでの決算で感じたことを徒然

決算発表は残すところ3日間となったけれど、今までのところ日本株を押し上げる要因が見当たらない。期待の半導体関連がこの程度の今期予想しか出てこない、となると、此の先は厳しい局面になるとしか想像できない。主力各社の決算はどれも頭打ち感が色濃く出ていると思うし、まずもって小型株は救いようがない。どれもこれもが上場ゴールで、何をやってるのかさっぱり分からない。こんな状況で、日本株が独歩高、なんて良く言えたものだと思う。

結局、日本企業の決算は円安依存が大きすぎるんだよ。このことは何度も書いているけれど、正直東証は企業価値よりも株価を上げろ!といろいろやってきて、確かに自社株買いをさせれば株価は上昇するだろうけど、それって企業価値を高めることとは全然関係ないね。決算発表と同時に自社株買いを発表して、優等生です、みたいな・・・。

そもそも、企業が何故キャッシュを潤沢に留保するようになったか、と言えば、いざという時にはやはりキャッシュしか頼るものがないっていう教訓からだと思うんだよ。けれど、そういう経営者はいまだに守りの経営しか出来なくて、しかも円安で守りの経営が本当に楽だから、いい人生を送れるんだろう。

けれども、キャッシュリッチになればなるほど、投資するのが怖くなるって聞いたことがあるけれど、本当にその通りだなと。東証に言われてはい分かりましたじゃ、なんか乳離れできないガキのような感じじゃないか?というか、バブル崩壊以来、余りに経営環境が厳し過ぎて、いまの経営者は完全に牙を抜かれちゃったんだね。日本企業が本当に復活するには、今のジジイ連中が退かない限り、どうにもならないんじゃないか、という気がするよ。

Advertisement

せっかく中国がコケてくれて絶好のチャンス到来なはずなのに、アグレッシブな経営転換が出来ないんじゃ、此の先も無理だろ!とにかく日本製鉄くらいの構造改革と経営戦略の転換をやらないとダメだろ。橋本英二社長は凄いよね。けれども本来凄い社長が何人も何十人も出てこなければいけないんだよ。経団連なんかにいて政治家と一緒に訪中なんかしてるようじゃ、使い物にならんぜ。いまやまともな鋼材がつくれないUSスティールを丸ごと吸収しちゃって、クオリティを上げちゃえば中国・インドに負けないという戦略は正しいというか、それしかないという感じに見えるんだろうね。

でも、それでも、USスティールを買収したら日本製鉄は恐らく此の先、どこかの時点でコケル。USスティールは米国にとって「腐っても鯛」なんだよ。それを属国の企業が買収して傘下に収めるというのは、いつか来た道だね。三菱地所が不動産バブルに踊って、NYのロックフェラーセンターを買っちゃったとか、世界中の名画を買ったり、ワイキキビーチのホテルを全部買っちゃったり・・・。それで日本はバブル崩壊して貧乏国になった歴史を全然考えてない。バブルの傷も言えて、株価がバブル越えを果たしたら、「のど元過ぎれば熱さ忘れる」ってやつで、同じ過ちを繰り返す。

日本製鉄の橋本社長は剛腕で凄いと思うけど、此の先延々と円安が続くとは思わない方がいいと思う。円高になれば、日本製鉄の優位性は一変ですっ飛ぶわけで・・・。その意味では賭けに出たというか、だからこそのUSスティールなんだろうけど、そんな買収しても良いことないよ。

Advertisement

結局日本企業が、内部留保ばかりジャブジャブになって・・・というのは、はっきり言えば経営者が無能だからその資金をどう使ったらいいのか、分からないのよ。だから馬鹿みたいに東証から自社株買いをしろ、言われたらハイ分りましたってなる。社員の賃金を上げろ、と言われたら、春闘満額回答しました、ってお茶を濁す。でも、裏では日産のように相変わらず下請け苛めを続けてる・・・。日産なんて糞のような会社になり果てたね。ホンダと合併するしか生き残りの道はないね。

そんな日産のような企業ばかりなのよ。今回の決算でトヨタは多少そういうことの組織改革をやるかもしれないけれど、トヨタがもう無茶苦茶なカンバンというのを導入してから30年間、下請け苛めの歴史だからね。市民生活にも大いに迷惑をかけてきた。そんなの愛知県の豊田市に行けばすぐに分る。企業城下町と言えば聞こえはいいけれど、トヨタの社員でない限り決して住み良い街とは言えないよ。

とにかく日本経済が変わるんだ、バブル崩壊の後遺症を克服し、デフレから脱却して経済成長路線に回帰するというのなら、大企業の企業体質を変えることが最も重要なんだと思うよ。馬鹿みたいに何でも値切り倒して下請け企業を使うとか、コストダウンをすれば成績が上がる労働査定とか、苛めてナンボの世界を変えていかないとダメに決まってる。政治家は大企業の法人税を優遇しさえすれば、企業誘致が出来るし、株価も騰がるから万々歳みたいなことばかりやってるけど、そんなの嘘っぱちですよ。

法人税が高くても儲かる市場の在るところに企業はきます。法人税が格安でも需要のないところに敢えて企業が進出するのか?ってことだよ。まるで新興国に投資するような感じでTSMCやらMICROSOFTが日本に進出するけれど、彼らにしてみたら新興国投資そのものだね。熊本県はTSMC第三工場の誘致をこれから懸命にやると発表してるけど、10年、20年したら地下水汚染と水不足で大変なことになってると思う。半導体工場なんて相当に厳格に建てないと環境を破壊しまくるし、そもそもTSMCが日本に工場を建てた理由は、第一に水、第二に安い人件費、第三に高額な補助金ってこと。台湾なんか地盤沈下と水質汚染で大変なことになってるって知ってるのかね?

どうせ熊本の県知事なんてアホなので何も考えてないだろう。高騰する人件費で迷惑するのは熊本県民だっての。県知事レベルの政治家って本当にクソだね。

Advertisement

 

決算発表を見る限り、各企業ともに、どうしていいのか分からないという行き詰まり感がありありとうかがえる。前期は円安で相当にメリットがあったから出た数字だろうけど、今期予測ははっきり言ってボロボロ。物価上昇が3%になるというのに、増収増益企業でもせいぜい物価上昇分の利益って、ゼロ成長かよ!と言いたいよね。

それに恐ろしいのは、株式市場が買い転換から売り転換したときですよ。円安だからね。海外投資家はあくまでもドル建てで考える。だから本格的に米国市場が怪しくなってきたとか、日銀が利上げを考えてると判断したときには、日本株が売られまくりますよ。

その可能性は十分にあるだろうし、日本企業の決算を見てここから買えるか買えないか判断してると思う。買えないなら一旦下げてからと思っても不思議じゃない。

(アイキャッチは血気盛んな経営者の一人であるSBI北尾社長)