日本の米国からの真の独立は遠い・・・
- 2024.09.16
- 放言
休日の今日も自民党の総裁選の話題一色で、TVも新聞もネットメディアでさえ、中立的な視点で報道しよう、論評しようという姿勢は皆無で、それぞれの考え方や利益に従って勝手気ままに単純にまき散らしているだけ、と言う感じだよね。
それでも、多少は保守派とリベラルの対立構造は見られる。あまりに今回の総裁候補のレベルが低すぎて、今の日本に必要な本質的な議論など望むべくもないし、そもそもそんな議論は自民党の党員や議員には響かないのでやりはしない。
9人の候補者のうち保守的と見られているのは、高市早苗と小林鷹之だけで、後は良し悪しを考えないリベラル組というのが世評だけど、意外に茂木敏充とか加藤勝信は保守的なのかもしれないと思ったりもするし、小林鷹之は保守面した当て馬だろうって思ってるけど。
そういう意味では、自民党には少数派と言えども保守的な一派はまだまだ多く、高市早苗にそれなりの支持は集まるだろうと思うし、決選投票になると選挙で勝てる人について行くだろうから、小泉進次郎か石破茂のどちらかを破って決選投票となれば、日本初の女性総理ということで俄然高市に勝機は出てくる。
けれども問題は、高市早苗を筆頭に保守派と言われる党員や議員がほぼほぼ例外なく安倍信者であるという事なんだよね。議員だけでなく、保守派と言われる言論人・有名人の多くは親安倍なのだ。これが困ったことで、暗殺なんかされてしまったから、余計に神格化されるというか偶像化されてしまって、安倍晋三こそが保守の砦であって、アベノミクスがあったからデフレ脱却も出来て、というように常に安倍礼賛な議論や発言が、稚拙に見えて仕方ない。
でも安倍晋三と言う政治家は本当に保守だったのか?と考えさせられることが政策の中にしばしばあったし、安倍家・岸家・佐藤家と統一教会との繋がりや、騒動になった森友学園問題や加計学園問題もスッキリしない出来事だったし、消費税を2度も増税したことは、アベノミクスという経済政策の趣旨に真っ向対立した政策だったと思うしね。雇用問題でも、非正規を増やし女性の労働力を増やしたから成功したと言っていたけれど、ほぼほぼ政権の期間中に実質賃金は下がり続けたしね。
そして最も重要なことは、絶対多数を国会の議席で占めながら憲法改正の発議をしなかったこと。トランプが大統領選挙に勝つ前から面談し、日米関係を結果として最善なレベルにまで引き上げたという実績さえ、トランプと安倍の間で20回以上も交わされたとされる日本の独立要請をやんわりと断り続けたことも、真の保守主義者としてはいかがなものか、と感じざるを得ない。
そもそも祖父の岸伸介は東条内閣の閣僚であったが、戦況劣勢と見るや東条に反旗を翻し、戦後A級戦犯に問われるも、GHQやCIA、国防総省に寝返ることで、巣鴨プリズンから無罪放免され、その後のCIAのエージェントとなり、米国による日本支配の日本側代表という地位を確立し、莫大な資金援助を受けて首相に上り詰めた人物だ。そして養子に出された弟の佐藤栄作が首相を受け継ぐと、この知的レベルの低い政治家は、アイゼンハワー米大統領、ニクソン次期大統領からの軍隊と核保有と伴った日本の独立要請を断って、勝手に非核三原則という奴隷宣言を打ち出した。これで、日本の米国従属化は決定的になり、以来延々と今日まで、米軍基地を国内に残したままのキューバ同様の植民地的な地位に甘んじているわけだ。
こうした家系で育った安倍晋三だから、「戦後レジュームからの脱却」を掲げ首相に就任したときには、そうした家系的な背景、戦後の歴史を反省し、日本を真の独立国へと導くような雰囲気を醸し出したから、個人的にも期待は少なからずあった。何せ戦後レジュームを確立したのは自らの祖父だったのだから、それを否定するというのは大変なことだと感じたからだ。
大胆にも「戦後レジュームからの脱却」宣言した安倍晋三は当然、佐藤栄作の独立拒否も知っていただろうし、そういう意味では首相に返り咲いた安倍晋三がトランプと信頼関係を強調し、日米安保の強化を言い出したことに不自然さは感じなかったけれど、後にトランプ大統領から20回以上、会談のたびに「核保有を伴う自主独立」を要請されていたことを、断り続けたことが明るみに出たときに、安倍晋三は「戦後レジュームの継承」が本意であるとわかった。
安倍晋三が保守主義者であるならば、そして戦後レジュームから脱却した真の独立国と日本をならしめようとしたならば、一度は佐藤栄作が拒否した日本の独立化を受け入れただろうと思う。もちろん、日本人には改憲や自衛隊の軍隊化、そして核保有に対し、拒絶反応があることも分かる。しかし、政治家として、首相としてこのまま延々と米国の属国の地位に甘んじるようなことは、出来なかったはずなのだ。たとえ政権が倒れようとも、祖父兄弟がしでかしたことを懸命に修正しよう、正そうとすべきだったのではないか。
もちろん米国には時の大統領よりも強大な権力を持った、調査機関や軍、そして軍事産業、石油資本、金融資本からなる所謂ディープステートの存在があって、今でも世界の政治を強引にコントロールしようとする。今までにこうした勢力に抵抗し、失墜させられた政治家は田中角栄を筆頭に中川一郎、中川昭一、安倍晋三と言うことになるけれど、中川親子は不審死であり安倍晋三は暗殺だった。そして先日トランプも銃撃にあったばかりだ。
安倍晋三とドナルド・トランプが次期首相・大統領に返り咲けば、今度こそ日本の再軍備、核保有が現実化するというディープステート側の恐れ。いままで米軍に真っ向から戦いを挑んだ有色人種は日本人だけであり、あの第二次大戦での米軍の恐怖が、二発の原爆投下に繋がったわけで・・・。それほど日本民族は米国人にとっては恐怖の存在で、二度と立ち上がれないようにするというのが、まさに「戦後レジューム」だったわけだ。
こうした背景を分かっている自民党候補者が何人いるのだろうと思う。岸田はレームダックになりながらも、莫大なウクライナ支援を次期首相に引き継ぐよう米国から厳命されている。恐らく今回の自民党総裁候補者のだれが当選したところでこの構図は変わらないのだろう。いまでも、そして将来も日本は米国の属国であり続ける。
もしも日本の真の独立を目指す人を保守派とするのならば、残念ながらそのような候補者は見当たらない。美味しい政策を並べてみても、日本人の心には響かないよ。
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