2025年の日米経済と株式市場の大筋を考える
- 2024.12.29
- 放言
多分、米国市場は1月に崩れると思う。暴落するとは思わないけれど、相応に。トランプ大統領の政策とインフレ懸念がシンクロする形で新たな懸念が株式市場に巣食い始めるんじゃないかな。米国の債務上限問題も結局はこのタイミングでは先送りするしかなく、トランプ政権は従来通りの財政出動を余儀なくされると思う。そしてトランプの、年明け、就任、そしてそれから2025年の前半くらいまでの、関税の引き上げ発言がある程度の落ち着きを見せるまで、インフレはこれ以上収まるどころか再燃するような傾向になってしまう。
関税の引き上げは米国経済に、特に消費にダメージを与えるわけで、そうなってくると米国の国内経済を支えるのは「減税」というキーワードだけになる。2024年の米国雇用を支えたのは政府雇用の増加であって、これも大幅なカットがトランプ大統領の公約であり、移民の強制送還もまた、雇用に大きなマイナス要因となる。
確かに米国のドラッグ漬けは多少の完全は見られるかもしれないけれど、低賃金・重労働の引き受け手である移民を排除すると、代替雇用の確保が重要だけれど、今の米国人にそうした雇用に応じる層は極めて限定的だと思う。もはや、米国人は重労働などしないだろうし、低賃金では生活を維持できやしないのね。
分断が進む米国の分断とは政治的分断よりも経済的な格差による分断の方がはるかに強い。けれども移民政策によって人口を拡大することで維持してきた米国経済なのだから、労働力不足は致命的になってくる。輸入を押さえて国内企業を盛り上げるという「メイク・アメリカ・グレート・アゲイン」は、労働力不足によって腰折れる可能性が非常に高いと思うし、結果として賃金水準は上昇せざるを得ないから、それがインフレ再燃に直結する。
恐らくトランプの改革は、米国の社会変革でもあるので、そんなことが1年や2年で軌道に乗るとは思えないわけで、米国経済は相応に落ち込むことになるのではないか?と思う。理想は理想として、現実の変化には必ず痛みを伴う。まして社会変革的な政策は、米国経済を少なからず混乱させると思うからね。
ただ、その混乱の中に、商業用不動産の債務問題はバーストするだろうけど、インフレになってしまい不動産価格はなかなか下がらない、というかむしろ家賃が下がらなければ収益性を前提とする米国不動産価格は、インフレによってむしろ上昇する可能性もあり得る。そうなってしまうと不動産の流動性は完全に失われてしまうので、ある程度の上昇の後に暴落することになりかねないとは思うが・・・。
それでも、そうした数々の米国経済のマイナス要因が結局株式相場は、財政出動の増加と金融緩和を催促し、最終的なバブル相場に火が付くことも十分にあり得るのがいまの金融相場である、ということも念頭に置きべき。実際その例はドイツDAX市場で観られるわけで、金融相場になると不況=株安という公式が成り立つとは限らないところが怖い。思い返せば日本のバブル時に企業の収益性はほとんど上昇してはいなかったにもかかわらず、所有不動産の含み益という未実現利益で株価は爆発した。
なのでトランプ政権が、政府債務の上限問題を高水準で設定する法案を通したり、FRBがあらたな金融緩和策を始めざるを得ない状況に陥ったときには、それがトリガーになって強烈なバブル相場になってしまうかもしれない。
2025年はこうした米国経済の流れを注意深く観察しながら、さらに日本株にとって重要なドル円水準を意識して相場を張る必要がある。そして最も重要なのは、言うまでもなく米国債10年金利、そして日本国債10年金利の変化だと思う。米国債10年金利は将来のインフレ懸念によって変化し、金利上昇は明らかにネガティブ要因、そして日本国債の10年金利の変化は、日銀の態度次第。
けど、金融正常化といって日銀が利上げをすれば、明らかに消費は落ち込む。主力大企業の春闘の状況で判断という日銀はちょっと、というかかなりイカレテる。なぜなら中小企業の賃金上昇は全く追いつかず、日本経済全体では利上げは必ず消費を減らす完全にネガティブ要因だから。そうした状況の中で財務省は増税ばかりしようとするわけで、だからこそ、「財務省は亡国の要因」以外の何物でもないといつも書いている。
トランプの政策は、言ってみれば大手金融資本や大手メディア、軍需産業と言った米国経済を支配する所謂ディープステートに対し、大きな抑止力になるもの。だが今の米国金融市場はディープステートの存在そのものが支える構造にあるのであって、大きな変革は痛みを伴うということ。けれどもトランプ自身、結局はインフレを望んでいる節もある。そのための大幅な法人税・所得税減税なのだから。
一方日本の2025年の課題は、国民が(世論によって)いかに財務省の方向性を変えられるかにかかっているはずなのだが・・・党勢拡大した立憲や、自民党内のポチ達を駆逐するか、それによって財務省の狂気に歯止めを掛けない限り、ますます格差社会が助長されるしかない気がする。
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