楽観できないトランプ就任後の株式相場
- 2025.01.18
- トレード雑感
さて、いよいよトランプ大統領の就任式になる。同じことを何度も書いているけれど、個人的にはこのイベント、株式投資や債券投資にとってはそれだけ重要かつボラティリティの最大要素だと思っているのでね。いよいよサーカスのような相場が始まると覚悟していた方がよさそうだ。
このトランプ相場で最も重要だと思っていることは、株式市場や債券市場の資金が何処に向かうのか?ということ。その理由を書きます。
まず債券だけど、基本的には米国債金利の動きと捉えてますけど、今年は米国債金利、特に10年債金利は下がらないと思ってる。なぜならFRBが利下げフェーズに入ってからも10年債金利は下げるどころか上昇してるから。これが意味するところは、つまりインフレはこれ以上低下せずに反転上昇すると債券市場は解釈しているということ。FRBがFF金利を下に誘導した結果、インフレはこれ以上低下することを拒んでいるという状況ってことだよね。
じゃなぜFRBは利下げをしたのか?ということになるのだけれど、これは恐らく景気の動向というよりもある特定分野のテコ入れのためと思った方がよさそう。そのある特定分野とは言うまでもなく、商業用不動産融資で著しく経営が圧迫されている中小銀行のためだったのだろう。もう一つは米国短期債のロールオーバーのため。今米国では短期国債のロールオーバーの真っ最中だけど、これも出来れば中長期国債で借り換えを進めたかった。でも10年債金利を見る限り、その目論見は完全に失敗したと思うし、2年未満の短期国債はそのままロールオーバーせざるを得ないことが分かる。だから金利を下げたかったというわけだ。
でもその中小銀行だけど、10年債の金利が上昇したことでますます財務が悪化していることは言うまでもなくて、まずはこれがトランプ政権の最初の試練になるだろうと思うし、となると米国債からの資金流出も長期国債を中心に十分起こり得るだろうからね。その資金の再投資先が何処に向かうのだろう?ということが2025年相場の課題であることは間違いないと思う。
そして株式投資だけど。まず基本的なことは金利が高止まりする中で、米国の中堅以下の企業にとってはあまり好ましい状況でないことは確か。そしてGAFAMやダウ構成銘柄の大企業にとっても・・・、グローバルに事業を展開していても相手先経済に米国債金利の影響は如実に表れるから、やはり業績の伸びは鈍化すると思う。となると、米国三市場が最高値圏にあるということからしても、トランプ相場でここから上値追いが始まると考えることは、あまりにも楽観的過ぎる。
トランプが大統領に就任したから株式市場が急落した、などと大手メディアは騒ぎ立てるのかもしれないけれど、仮に株価が下がったとて、それはトランプのせいではないことだけは確か。というかよくぞここまで株価が急落せずに水準を保ったと言いたいし、そもそもそのことにトランプへの期待感が貢献していると思うくらい。
その意味では、今回の米国1Qの決算発表は非常に重要だと思うし、かなり2025年の相場を見通せるような感じになるかもしれない。
しかし、だとすれば、株式市場から流出した資金が何処に向かうかが重要で、基本的には米国の短期国債への資金シフトになるはずなんだけど、まさかトランプ政権下で中国へは向かわないだろうし、インドを中心とした新興国投資も限定的だと思うので、債券市場や株式市場は代替投資先を模索し始める相場が2025年前半の相場動向だと思う。
その意味で、可能性がかなり高いとするならば、仮想通貨と日本市場かもしれない。ただし日本市場にはあまり期待はしていないけど。
まずは仮想通貨だけど、相場の中で最初にトランプ政策に反応するのがこれだと思う。現状ではBTCは最高値水準に肉薄しているけど、米国発祥のリップルは日々高値更新を続けているという感じになっている。またイーサリアムも堅調な動きだし、イーロンマスク絡みのドージコインも高値圏を維持してる。
ブルームバーグの記事によれば「トランプ次期米大統領は暗号資産(仮想通貨)を政策の優先事項に位置付けるとともに、次期政権に業界関係者の意見を反映させるようにする大統領令の発表を計画している。」とされていて、「大統領令では暗号資産を国家的な急務ないし優先事項に指定する見通し。」ということだ。この大統領令が初日に署名されるか否かは分からないけれど、以前否定的だった仮想通貨を今回は政権の柱の一つにする。また「国家備蓄構想」も計画していると言われていて、そうなると仮想通貨は米国の国策であることになり、信用が一定程度担保されることになる。
次に日本株だけど、バリューエーション的には(米国株と比較して)割安ということもあるけれど、トランプの関税政策や移民政策、それに減税政策などによって、インフレが加速するような状況になれば、円安の恩恵を受けて日本株への投資が増える可能性がある。2025年の日本株は国内企業の大量自社株買いが予定されていて、そこに目を付けて海外資金が流入するというシナリオも考えられる。ただしトランプ就任以降のハイボラ相場を一通りこなしてからだと思っていて、またトランプ関税をどこまでかわせるかが重要なのは言うまでもない。3Q決算次第では4月からの株高ということになるのかもしれない。
今夜は就任前の期待感から米国三市場は大幅高で、特にSOXが3%に近い上昇をしていることから、週明けの日本市場は結構な上昇になるかもしれないが、お祭り気分で強気というのは、どうかと思うけどね。いずれにしても、米国株が暴落する可能性は否定できないけれど、そうなればなったで、日本株はもしかしたら買われるかもしれないと。もっとも暴落の規模や原因にもよるだろうけど。
ちなみに大統領就任式の20日の米国市場はマーティン・ルーサー・キング・デーで休場です。
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