日米協議で円高不可避!短期的には¥130/$が目安か?

日米協議で円高不可避!短期的には¥130/$が目安か?

案の定、先日の日米協議の場では当然のことながら「為替」に関する言及があったのだが、赤沢は「なかった」ととぼけ捲っていた。しかし為替に関する協議は日米間の事務レベルでは相当に進んでいて、来週は加藤財務相が渡米するという。ということは事務レベルでの調整が終わり閣僚級の交渉になるということ。

加藤財務相とベッセント財務長官での直接のやり取りになるということは、その場では忌憚のない要求が付きつけられると見るべき(既に打診されている?)。短期的な為替目標は¥130/$あたりか。

米国がなぜ、日本との関税交渉を最優先させるか、は考えてみれば当たり前で、日本が同盟国として最も受け入れる可能性が高い。そして70か国以上と言われる関税交渉において、いよいよ米国は関税率をカードにして、本命のドル安誘導への合意を取り付ける腹だ。

やっと見えてきたトランプ政権の本筋の狙い・・・。ここで一気にドル安誘導して、貿易赤字の解消、輸出の黒字化、を狙ってくる。そして、正直米国内景気を冷やしまくって長期国債・超長期国債の金利低下を狙いに来る。

ということは、株式市場は底打ちしたのではなく、下落途中のリバウンドであって、ここからさらなる下値模索が始まると見るべきじゃないか?

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いままでトランプ政権は、ベッセント財務長官主導で、無謀とも思える関税の引き上げで株式市場を暴落させ、長期金利(米国債10年金利)を下落させようとした。しかしこの政策は世界各国の反感を買うとともに、世界最高の安全資産である米国債を、まるでリスク資産であるかの様にしてしまった。

予想ではリスク市場の資金が米国債買いに向かうと思っていたが、近々始まる米国債大量償還を意識してか、逆に米国債の信用不安という形になって、金利は逆行して上昇してしまった。つまりは、関税によるインフレ懸念の増大ということだ。

これに対してFRBパウエル議長は、インフレ抑制を最優先とし、雇用を確保するとして、トランプ大統領からの再三の利下げ要求をはねのけている。そうしたFRBの姿勢に激怒したトランプ大統領はパウエル議長の解任を持ち出すに至った。

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余りに強引なやり方で、マーケットをコントロールしようとするトランプ政権に対し、米国内では民主党系の反対運動が盛り上がり、また世界中が米国に対し反感を持つ中、トランプ政権は「ウクライナ戦争からの離脱」を示唆している。これはウクライナに対する支援と言うだけでなくNATOからの離脱をも示唆しているわけで、NATO加盟国の感情はすこぶる悪化した。

またイランとの核開発をめぐる協議も暗礁に乗り上げていて、イランは同胞のイエメン・フーシへの米軍の度重なる攻撃に対し大きな反感を持って臨んでる。

そんな中で、今度はドル安誘導を関税を武器にして迫るという交渉を始めようとしているのだ。

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今の投資環境は、大きなリスクを抱えたまま小康状態になっていると、個人的には考えていて、特に株式市場の動きに関しては安易に底打ち論を持ち出すべきではないと思う。とにかくこれまで、トランプ政権は失敗しているのだ。思惑とは裏腹な結果となって、焦っていると言ってもいいと思う。

なので、近いうちに必ず逆転を期した政策を打ち出してくると思う。それが第二のプラザ合意というようには行かないと思うが・・・。