【短期投資】買いだけでは勝てない不都合な真実

【短期投資】買いだけでは勝てない不都合な真実

短期投資でなかなか勝てない、どうしてもプラスにならない、という個人投資家が多いと思われます。それにはいくつか理由が存在しますが、基本的に株価は5勝5敗(前日比)であるわけで、ロング(買い)/ショート(空売り)が不可欠な投資戦略だからです。

まずは、勝つためにはそれを前提に株式投資を考える必要があるのです。

つまり勝つためには、勝てる場合のみ投資をするか、ロング(買い)/ショート(空売り)で投資をするしかありません。個人投資家は、前者の場合が多く後者は少数派ですが、日々の株式市場に参加しているプロのプレーヤーはほぼ全員がロング(買い)/ショート(空売り)の投資戦略で臨んでいます。

その結果、多くの個人投資家が「負けている」という真実があります。

株式市場は常に「買い」と「売り」が行き交っている

当たり前のことですが、株式市場では常に「買い手」と「売り手」が存在し、相互の合意のもとに株価は形成されています。その結果買い圧力が強ければ株価は上昇し、売り圧力が強ければ株価は下落するというボラティリティが生じるわけですね。

しかし、市場においては通常の売買の他に株価の変動幅を高める(ボラティリティ増大)ために資金レバレッジをかける信用取引が導入され、さらに下落局面でも利益が出るシステムとして「空売り」が認められています。

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「売り」は利益確定だけじゃない

株価が上昇すると、徐々に利益確定売りの圧力は高まっていきます。しかし同時に株価下落を狙った空売りも入り始め、買い圧力を上回ります。そこが株価の転換ポイントになるわけですが、その後は「売り=利益確定+空売り」となります。

「買い」だけで利益を得ようとする個人投資家の中にはこのことを意識していない人も多いですね。

空売り比率とは「売り」に占める「空売りの割合」

 

株式市場の動向を見る指標として市場の空売り比率が発表されています。しかし、個人投資家の中にはその意味を少々曲解している場合もあるので改めて書くと「該当日の売りおける空売りの比率」というのが正しい意味です。

 

ということは、株価のある時点では「買い=新規買い+空売りの買い戻し」と均衡するわけですが、タイムラグが生じます。つまり株価の天井付近では急激に売り圧力が強まり、底値付近では急激に買い圧力が強まる、ということでこの時間差を獲るというのが短期投資の基本なのですね。

しかし、現在の株式市場では、関係者(アナリスト、評論家、メディア等)、大口投資家、海外投資家は常に個人投資家に対して買い煽るような雰囲気を作り出しています。

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「買い」の理由は示しても「空売り」の理由は決して示さない

評論家やアナリストは、基本的に買いの理由を挙げます。相場が急落していても、「いつ下げ止まるか」「どのくらで買いになるか」を盛んに言いだします。しかし、売られる前に「空売りの理由」をしっかりと提示する人はほとんど見当たりません。

つまり株式投資は基本的に「買い目線」で語られることが多いため、個人投資家の目線も「買い寄り」になるわけです。

「空売り」は心理作戦

多くの個人投資家が買い目線で参加していて、自らのポジションに不安を感じている状況であれば、まず不安心理を刺激するような報道が出てくるのが常です。そして強気に傾いている市場のセンチメントを一気に巻き返すと、市場は「利益確定モード」「投げモード」になります。そういう心理作戦を外資は仕掛けてきます。

「空売り」は仕掛け

センチメントが怪しくなってきた頃、外資は先物を叩きに来ます。もちろん、叩くには容易周到に準備をして、世界のセンチメントが弱気に傾くという予想のもとに仕掛けてきます。すると、個人投資家のマインドは日中の急落に反応してしまい、弱気が伝搬してゆくのですね。

「空売り」はプロの収益源

こうした流れは外資による大々的な仕掛けの場合もあれば、理由は後付けで需給を壊しに来ることもあります。そしてセンチメントの悪化を利用して株価の下落を狙うことが、プロの収益源なのです。

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運用主体の格差を放置

 

個人投資家は、証券会社を通じて株式の売買を行います。その場合は、東証のシステム(アローヘッド)と仲買の証券会社のシステムを繋ぎ、そこにプロバイダを経由した個人投資家の注文データが送られるわけで、実際には東証と個人投資家の間には証券会社のシステムとネットプロバイダのシステムが介在しています。幾つものゲートウェイを経由せねばならず、発注速度はかなり遅いと言わざるを得ません。

東証の現在のシステムアローヘッドは2010年から導入されていますが、以来飛躍的に処理能力をアップしてきました。その理由は海外勢の高速取引に対応するためです。

すでに海外勢は全世界市場での24時間取引が主流で、近年ではAIシステムによる高速取引になっています。そのため東証は東証内にコロケーション(東証システムに直結)を許可し海外勢の高速取引に便宜を図っています。

ということは、運用主体によって通信速度に大きな差ができている、と言うのが現状です。通信速度は売買速度であって、個人投資家がこうした部分で海外投資家に対抗しようとするのはほぼ不可能であって、結局のところ個人のシステムトレードが上手くいかない原因は、物理格差(通信速度)を克服できないという点にも大きな原因があるのです。

株式市場は資金運用の場ではない?

現在の株式市場は以前と比較してセンチメントの変化による変動が大きくなり、より投機色の強いものとなりつつあります。リーマンショック以来の金融緩和によって大量の資金供給を受けた市場は、金融相場的な色合いが濃くなっています。そのために、企業のファンダメンタルズを重視した資金運用は、短期投資では難易度が高くなっていると言えます。

時代とともに市場の性質が変化してしまう

ロングレンジで狙う投資では資金運用が可能ですが、現在は世界経済の連動性が高く株式市場も同様に連動しながら動きます。そうした傾向は、ネットが普及する以前には見られなかったことで、株式市場は国ごとにまちまちの動きをしていました。

また、2009年以降、金融相場の色合いが濃くなり、米国市場が象徴するようなファンダメンタルズを軽視した株価上昇が見られるようになり、現在では非常に投機的と言えるのではないでしょうか?

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個別株で資金運用できるのはごく少数

指数とは裏腹に、個別株の動きは、投資資金が豊富な現在においては、従来の尺度では測れない動きか方をします。ですから「割安だから買い」「事業の将来性で買い」という投資の基本的視点が軽視されています。

その結果、業績よりも需給を重視しがち。そのような個別銘柄の動きは、資金運用が出来るとは言いにくいのが現実だと思います。

運用のリターンを確約しないリスク投資

株式投資は銀行預金や債券のようにリターンを確約するのもではありません。したがって想像以上にリスクが高い投資です。なおかつ金融相場で投機的な動きをするとなると、安易に予想できるものでもありません。

ハイリスク・ハイリターンと言われますが、ハイリスクであって、ロスする場合が大きいわけです。そうした株式市場のあり方を、アナリストや評論家は十分に説明・解説しなければなりません。

まとめ

現在の株式市場は非常に投機的であり、人為的にボラティリティを高めて利ザヤを稼ぐという短期スタイルになっています。そこで、従来のような考え方で株式投資を行っても失敗する例が非常に多くなっていると思います。

 

また、特に短期投資では、プロのディーラーや短期筋、海外ヘッジファンド等がロング/ショートで取引をしている以上、個人投資家も常に下落を意識してショート(空売り)を身につけなければ論理的に勝てません。それが、プロ(アナリスト・評論家・メディア、プレーヤー)にとっての不都合な真実なのです。彼らは利益の)約7割を空売りで叩きだしているからです。

 

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