冷静に現状を見つめ直す必要あり:日本株を読め!【9.2~9.6】
- 2019.09.01
- トレード予想
8月30日(金)日経平均引値 ¥20,704(前週予想¥19,600)日経平均CFD ¥20,683
相場地合概況
世界経済の先行き不安から、米国債の長短金利逆イールドが顕著となって、大きく下落した先先週末に対し、反発して始まった米国市場だが、例によってトランプ大統領や政権要人から29日に交渉を行うという発表があって、リバウンドを強めた一週間となった。
いつものパターン
株価が下落すると必ずトランプ大統領からポジティブな発言が出る。それによって短期筋が反応し相場を押し上げて鞘を抜くといういつものパターンが出現。
しかし、米中貿易戦争は楽観できる状態ではなく、状況は何一つ変わっていないのに、事務レベルの電話会談というネタを引っ張り出して来て、ツイートするというトランプ大統領のお粗末さ。
しかし、それでも反応してしまう、株式市場の性みたいなものを感じた一週間だった。
緊張する香港問題
そんな中にあって、いよいよ緊張の度合いを増してきた香港問題。週末にデモのリーダーと言われる黄之鋒氏と周庭氏(ともに22歳お若者)が逮捕され、週末の集会およびデモ申請が却下される状況いなり緊張が走ったものの、大きな衝突には発展しなかった。
しかし、9月11日に香港で開催予定の一帯一路サミットに向かって、いよいよ決戦の時が近いという雰囲気がヒシヒシ。中国当局は、戒厳令を敷いてもサミットを成功させたいだろうし、デモ隊は一点に狙いを定める意味で、31日、1日を回避した。
もちろん、香港問題もまた米国の中国包囲網の一環であることは間違いない。
結局予定通り関税賦課
株式市場が調子よく戻りを演じたところで、結局米中交渉に何の進展もなく、9月1日から15%に引き上げられた関税が適用されることに。
毎度のことながら、トランプ大統領の独り芝居に翻弄される株式市場と言った状況に変わりはない。
来週は大きくGDして始まる可能性が高くなった。
米国ダウ日足チャート・テクニカル
約1ヵ月間のダウの揉み合いは、大きなボラを伴った非常に厳しいものだった。しかし、なぜか中国の劉鶴副首相が登場し、米中貿易交渉を前向きに、と発言したりしてダウは窓空けて上昇。揉み合いレンジを上抜ける動きになって週末を迎えた。
しかし、大引け後、極めて冷静に「1日から関税適用」という告知が官報に掲載され、これで米中両国のすべての製品に関税適用という最悪に近い事態が確定した。
それを受けて、恐らく来週は再度下値を試す動きになる公算が大。
米国ダウもこの揉み合いを抜けられず、逆に下抜けするような動きになると、非常に厳しくなってくる。
日経平均日足チャート・テクニカル
米国ダウと比較して日経平均が極めて低調なのは、為替(円高)が絡んでいることや、消費税増税後の国内景気が重石となっていることが要因。先週のこの戻りはテクニカルでは「非常に強い出来高を伴った上昇」と見え、来週の相場への期待が膨らんだ矢先に、予定通りの関税適用となって、梯子を外されてしまった。
日経平均はもみ合いレンジを上抜けたわけではないが、25日線を越えられなければ、厳しい展開にならざるを得ない。
個人的には結局、米国市場の上昇はフェイクだった、と考えているが・・・。
来週の日米地合予想
来週は予定通り賦課された米中関税を織り込みに行く相場に成らざるを得ないし、世界中のリスクオフ傾向は変わらないだろう。中国PMIも悪化し、徐々に米中貿易戦争の影響が顕著になってきている。
そんな中で、香港問題の展開は要注意だろうし、最も警戒すべきはトランプ大統領のFRB批判だと思う。この局面では世界の株式市場の浮沈を握っているのは、FRBであることは間違いなく、人民元安を止めてドル高誘導したいというトランプ大統領は、パウエル議長の解任をほのめかすかもしれない。
9月6日(金)日経平均予想
来週の展開ではこのまま上値を追うことは無理筋で、結局はレンジ相場に戻る展開を予想。従って来週の株式市場は・・・
日経平均株価 ¥20,200 ドル円 ¥105.00
を予想する。
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