2020年は売り年:日本株は買いでは勝てないと思う理由

2020年は売り年:日本株は買いでは勝てないと思う理由

昨年の夏過ぎからずっと感じてきたこと、それは「日本株がなぜ買われるのか?」というもの。確かに8月、9月の日経平均の上昇はズバリ「ショートカバー」だと意識できた。主力銘柄は本当に軒並みと言ってもいいほどに「売り長」となっていたから。特に内需株の売られっぷりはもう尋常じゃなかった。

なので、米中合意が近いという雰囲気と米国株の上昇というファクターが、「売り方を諦めさせた」と言う解釈。その前提となっていたのが、米国市場の強気のセンチメントだったような気がする。とにかく米国株の強さは尋常じゃなかったし、それはそのまま日本株にも波及したという感じになった。

そして、10月以降の海外勢の日本株買いに至っては、正直まったく理解の外という感じで、相場を張っていた。海外勢は日本株に何を期待して買ってるんだ?みたいな、根本的な理由を毎日探していたけれど、体調が悪化したこともあって、「相場は相場に聞け」みたいな半ば諦め気味の心境になってた。

しかし、この2019年相場というのは、どう考えても納得が行かないし理解もできないという感覚が、未だに抜けないね。ならば、2020年を迎えた今、もう一度考えてみようと思った。

正直、株式投資を始めて、かれこれ20年以上になるけれど、こんな相場は経験なかったように思うし、小型株全盛の時代も、ライブドアがインチキ経営をしている時も、師匠と出会って以降も、こんな相場は僅かな期間であってもなかったと思うんだ。

主力がファンダメンタルズを無視して買われる相場っていうのは、確かにあのバブル相場以来だと思う。けれどもあの時代は、株式投資なんかよりも不動産のほうがよほど儲かったし、儲けの桁が違ったという背景があった。要するに何もかもが投機の対象になった時代で、株はその投機対象の一つに過ぎなかっただけ。

ところが、今はどうか?と言えば、日本経済にいいところなど何一つないし、不動産も中国マネーが入っただけで、もうピークアウトしてる。ピークアウトと言えば輸出企業の業績も2018年に明らかに天井を打ってる。にもかかわらず、株式市場だけが上昇したという特異性だよ。それが何なのか、誰も上手く説明できていない。

金融緩和によるジャブジャブの金融相場だから、なんて説明をしてプロを名乗ってたりね。でも株なんてものは、大きなリスクを伴うギャンブル性の高い投資である以上、如何に海外勢とてまさかセンチメントだけで1兆円も2兆円も日本株を買ったりするはずがないし、何か理由があったのだろうけど。

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なぜ海外勢は日本株を買ったのか?

昨年末の「株修羅流株式相場展望2020」で、「海外勢のポジションミス」が原因だったと書いたけれど、確かに現象としてはそんな感じに見える相場だった。

昨年の海外勢の本格的な買い越しは10月中旬頃から開始されている。そうした投資行動を誘発したきっかけは恐らく9月18日、19日の日銀政策決定会合の影響が大きかったのではないか?と今は感じている。

前提として、米国(FRB)は利下げをするし、9月の関税引き上げは延期になり、米中交渉は合意に向かって動き始めてる。そうした状況下で日銀は従来の金融緩和路線を継続するという選択肢以外にとれないとばれた。現状は維持されてあとは10月1日からの消費税増税だけが懸念材料だったはず。

消費税増税前の目だった駆け込みもなく、軽減税率(対策)の効果もあって、日本経済は消費税増税の影響は軽微という観測が10月には結構流れた。となると米中合意によって最も影響(恩恵)を受けるのは日本の輸出企業という予測が、海外勢を買いに走らせたと言うことかもしれない。

少なくとも海外勢は、日本経済もまた底打ちとなって、2020年に向かって上昇すると見ていた。特に半導体や電子部品に関しては、売られ過ぎの水準訂正と言う意味もあり、積極的に買われた結果日経平均が上昇し、それに伴って主力全体が水準訂正されたという感じだ。

けれども肝心なことは、日経平均主力の業績は明らかに劣化し始めているし、消費増税は必ず悪影響が出る、ということはとりあえず蓋をしておこうという投資行動に見える点なのだ。現在の29年ぶり12月高値と言われる日経平均¥23,656というのは、米中合意に対する妙な期待感を煽ったトランプ政権による「楽観」がもたらした数字に他ならない。

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楽観の中で2020年相場は始まる

年末年始に2020年の株予想を目にする機会が今年は5日まで市場が動かないから、断然多いと思う。正月もせいぜい2日くらいまでは何とか過ごせるだろうけど、3日、4日、5日となると個人投資家は(他にやることはないし)相場の研究をするだろうからね。

個人投資家は、小型株を弄ってたならば、2019年の秋以降は大いに利益が出ただろうから、来年も・・・などと皮算用してるはず(苦笑)。たとえ日経平均が多少下落しても、小型株は結構動くだろうから、結局楽観したまま相場を弄ることになる。

いや、小型株だけではなくて主力もまた、「押し目は買い」という2019年後半相場の成功体験が継続してしまうから、下げたら買いを入れるだろう。

けれどもそこは「29年ぶりの高値圏」である。

天井で買って勝てるほど株は甘くないと思うし、特に小型株の下げ足の速さも思いださないといけない状況であることは確か。狂ったような12月のIPO数に比べ、1月はないんじゃないかな。IPOは12月上場が証券会社が最も楽出来るわけで、ここからは(一部の銘柄を除いて)下げる一方だってことも忘れがちになる。

新年になって、相場の様相がガラリと変わることなんか、いくらでもあり得る話で、これ以上株式投資を楽観するのは極めて危険なんじゃないかと思うけれど。

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海外勢は間違いに気づく?

そこで、何を見込み違いをしているのか、海外勢は10月第一週から7週連続買い越して、その後も売りは僅かで年内は買い基調で推移した。

しかし恐らく12月3週、4週は売り越しているだろう。とすれば、年初相場も買いは余り期待できないはずで、結局のところ11月から12月上旬まで続いた揉み合いのレンジに戻ってくると考えるほうが自然だろう。

すでに米中合意は材料とは成りえず、ドル円は円高方向を目指し始めているからだ。

だが、海外勢が買い越していた11月~12月前半相場は何故か揉み合いになっていた。買い越しを開始した10月第一週から11月第一週まで簡単に日経平均¥2,000も上昇させたにもかかわらず、日経平均¥23,500からは上昇しなくなった。この頭打ちをどう見るか何だろうと思う。

米国市場の大幅高を受けて12月13日には、窓空け陽線となり¥600高となって¥24,000を突破したのは、12日の米国市場の$220高を受けてのもの。その時にドル円が前日の¥108.559から¥109.298となった影響もあるだろう。しかし、以降ドル円は¥109.659まで円安が進んだにも関わらず、日経平均は下落したと言うことも、絶対に無視できない。

年末の日本経済は10月消費のとんでもない落ち込みが話題になったりしたが、日本経済の状況と米中合意の内容を照らして考えれば、海外勢も流石に「判断の誤り」に気付いて冷静に判断するだろうと思う。

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株価上昇の材料が見当たらない

楽観論を振りかざすアナリストや評論家の根拠は何かな?と言えば、おそらく何もないんだろう。雰囲気とか楽観とか、そういうことでしか相場を語れない人々。

先日あるファンドマネの発言を耳にした。

「今年は私は失敗しました。結局2019年相場は、年初に買って何もしないのが正解でした。」

とコメントしていたのを聞いて唖然とした。日経平均が29年ぶりの高値になったから、その結果を正解とするのか?とね。ファンドマネならば、将来の状況を予測して投資を行うのが仕事で、その結果上手く出来なくてもそれはそれで仕事でしょう。そういう人が結果を正解とするっていうのは、どういうことなのか?

2019年の株高を予想した人は称賛され、失敗したひとは非難される、なんて言うのはチャンチャラおかしいことですよ。博打打ちならば、負けは非難される。けれども投資を生業にしてるなら、状況判断やファクトを積み上げて予想しているはずで、それを「全部失敗でした」と言われたら、そんなファンドに資金を預けることはとてもできないでしょ。

まともなファンドマネならば、29年ぶり高値なんか予想出来なくて当然の、ファンダメンタルズだった。

と言うように、株価の予想は本当に難しいし、的中させることなど不可能なのかもしれない。けれども、投資をするのなら、株を投資と捉えるならば、需給はテクニカルで、株価の先行きはファンダメンタルズで判断するしか方法はあり得ない。

「所詮株は博打のようなもの」と考えるならば、どうでもいいことなんだが、自分はそうは考えない。なので、たとえ勝てなくてもそこは筋を通すべきと思うんだね。

その意味からすると、2020年相場は、とりあえず日本市場にとっては完全に材料不足、というか買う理由が何一つ見当たらないと。その中で個別にどういう内容なのかで動く。けれども全体相場としては、2020年は2019年と比較が無意味なほど弱いと思ってます。

今の日本株の週足を見ると、トリプルトップを形成してる。そして、個人的には2018年高値の日経平均¥24,448は越せないだろうと思ってます。いろいろ投資の方法を変えようかと模索してましたが、今年の相場はまず売り目線でしかないというのが結論なので、売りで大きなリスクが取れると思ってる

キツネにつままれたような2019年相場は終わりです。2020年は2019年と対称形の相場になるかも。

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