昨年10月以降の海外勢買い越しの理由が分かった!
- 2020.01.07
- トレード雑感
今年の相場を占う上で重要なファクターは、昨年10月以降の海外勢による日本株の大幅買い越しだった。その理由を2日のブログで書いたけれど、どうやら頓珍漢だったということが分かってきた。
このなかで「なぜ海外勢は日本株を買ったか?」というチャプターのなかで、
消費税増税前の目だった駆け込みもなく、軽減税率(対策)の効果もあって、日本経済は消費税増税の影響は軽微という観測が10月には結構流れた。となると米中合意によって最も影響(恩恵)を受けるのは日本の輸出企業という予測が、海外勢を買いに走らせたと言うことかもしれない。
と書いたけれど、これではどうしても、海外勢が状況を誤った、としか取れない。そして、なおかつ金融相場のような状況に成っていることの説明も付いていない。
まったくお恥ずかしい限りだが、こんなことで、昨日あ辺り大きな売りを仕掛けているんだから(自分に)呆れる。
株価上昇は本当の金融相場
海外勢は昨年の10月に入り日本株売りをピタリと止めた。その理由は、ズバリ9月のレポ金利急上昇にあった。それまでにも都度、米国のみならず世界での「ドル不足」が話題に上っていたけれど、現実に金融機関がドル決済のためのドルをレポ市場で調達しようとしたら、米国のモルガンにドルの手持ちが希薄で、金利が急騰。
民間銀行のFRBの当座にドル準備金がないのではないか?
ドルは完全に不足状態にあるのでは?
という雰囲気になってドル不足の実態を晒す結果となったわけだよ。本当にドル準備金が少なかったのか、または予想外の大口のドル買いによって逼迫したのかは定かではないにしても、少なくともモルガンはドルを満足に供給できなかったことは確かだった。
こうなると、米国外の金融機関のドル調達ができなくなるという懸念が台頭し、短期市場は大混乱になったときに、FRBは機動的にしかも大量のドル供給を即日開始した。
供給規模は約11兆円で、それでも金利は高水準で推移しているために断続的に追加供給し、さらには毎月同等規模のドル供給を実施と発表した。
FRBはこれをQE(量的緩和)ではない、と否定したが株式市場は「実質的なQE」と受け取ったわけだよ。
トランプ大統領要求に迎合?
言うまでもなくトランプ大統領は、FRBに対して「利下げ」を強く要求している。その理由は、米中貿易戦争で関税引き上げ効果が相殺されてしまうこと、そして米国の製造業がドル高のために業績悪化が深刻であること、だ。
前者はともかく、大統領選挙イヤーである2020年、何としても共和党の支持基盤である米国の製造業従事者(白人系ブルーカラー層)の票を守らなければならないわけで、「利下げができないのなら、大量のドル供給によってドル安誘導する」という戦略も見え隠れする。
もちろん、金融緩和の方向は、日本、欧州も同調していることであって、仮に米国がドル供給をしなかったならば、ドル高は青天井になっただろう。レポ市場の金利上昇対策とは言え、当座にドルを供給するという手法は、日本や欧州とまったく変わりはない。
つまり、知らず知らずのうちに、世界中が新たなQE(量的緩和)フェーズに突入していた、ということなのだ。
円高は避けられない
短期的にドル円(為替)レートはどう動くのかは分からないが、少なくとも円は¥110を超える可能性はほぼなくなったと同時に、今後¥105、¥100という水準の可能性は現実のものとなってきていると判断できる。それも、日銀が追加緩和をできなければ、ほぼ確実にドル円は巻き返しフェーズになるだろう。
このところ、消費税増税後の日本経済は、危機的なまでに消費が落ち込んでいて、米中貿易戦争の傷跡もまだまだ深い状況。これで、ドル円が¥105、¥100と円高方向に動けば、日本株にとっては致命的となる。
これで、このところの自動車株の下げ方もようやく理由が分かったということだ。実際、ザラバで7270SUBARUがとめどもなく売られ、7203トヨタが75日線にタッチし、ホンダが75日線を割り込む動きになっているのは、世界での自動車販売のマイナスもさることながら、大きく円高を予想しての売りであることに合点がいった。
日本株の下落はイラン情勢ではない!?
年明けの株式市場は、米国のイラン革命防衛隊司令官ソレイマニをピンポイントで殺害したことで、中東情勢に対する懸念がたかまって急落した。
個人的にもいろいろ調べて、「中東情勢の悪化は必至」ということで、売りポジションを建てて、勝負しようと言う気になったわけだが、イランは、果たして米国に対し報復する力が残っているのだろうか?という疑問もある。
少なくとも革命防衛隊は、直接米軍に対し攻撃を仕掛けたこともなければ、常にシーア派の武装組織に対する資金や武器供与を通じて間接的に焚きつけているだけ。その理由は、直接的な対立に自信がないからに他ならない。現にイランの政治勢力は穏健派路線をとりつつあり、イラン軍はまったく動いていないし、軍や政府はもはやイスラム教指導者ハメネイの手足ではない。
ハメネイが動かせるのは革命防衛隊だけであって、その中でも対米工作できるのはソレイマニだけだった。その策士をピンポイントで殺されたと言うことは、考え方を変えればイスラム指導者の求心力が衰えるだけのことではないのか?
仮に、そうした推測が成り立つならば、今回のソレイマニ殺害命令はトランプ大統領の大ファインプレーとなる。そもそもイランに各地の武装組織を支援する余裕などなくて、経済はボロボロなのだから。
投資戦略が変わる!
何か懸念が増大すればするほどに、QEの継続が長引くことになる。そして、中東情勢はむしろ安定するかもしれないという予想が当たるとするなら、この急落で強気の投資家の判断は正しいと言うことになる。
強気と言えば、ザラバでコメントした日立、野村、ソニー、キャノン、三井物産などは、こうした背景から深押しは買い、の逆張りだったのかもしれない。
となると、少なくとも中期的には円高は避けられないし、特に1月、2月の円買い需要の多い時期に自動車株は買い辛いのは事実。内需株にしても、円高にんるから、と無差別に買いついても消費税増税の影響を加味しなければ銘柄選びは簡単じゃない。
ならば原油は?ということになるが、今夜の米国市場を見ている限り、早くも米国の投資家は米国とイランの戦争状態はあり得ず、また対立がエスカレートする確立も低いと判断したのだろうと思う。よほどのことがない限り、日立、野村、ソニーの強気はありなのだと思う。
金融緩和相場継続か!?
今の株式市場は、各国中銀の金融政策を見る限り、明らかに(結果的に)QE相場であって、金融相場であることははっきりとした。
と言うことは当面の相場で「売りでは勝てない」ということになる。もちろん、売るべき銘柄はあるだろうし、ドル円に弱いセクターを買うべきではないことは明白だが、そうなると、人気の集中しそうな日立、ソニーあたり、そして業績回復期待の高い野村は、買いの銘柄なのかもしれない。
あとはタイミングをみて売り長のアドバンテストやTDKは、買いで十分に取れるかもしれない。けれど細谷化工や石川製作所、アビオニクス、東京計器は手出し無用かも(笑)
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