新型肺炎という新たな懸念:日本株を読め!【1.27~1.31】

新型肺炎という新たな懸念:日本株を読め!【1.27~1.31】

1月24日(金)日経平均株価¥23,827(前週予想¥23,700) 日経平均CFD ¥23,632

日米市場現状

週末の日米株式市場は新型肺炎一色になった。現時点では中国での感染者は1000人を超え死者41人、感染後の致死率は3~4%という数字が発表されている(25日11:00現在)。また昨夜米国ザラバ中に米国での2人目の感染者が出たとのニュースで一段下げ、なお3人目はほぼ確実と民主党下院議員が発言して、もう一段の下げとなったり、フランスでは3人目の感染者が確認されたというニュースもでた。

中国では武漢市を隔離する政策が取られ、現地の日本人約500名は移動できず収束を待つ体勢だが、すでに感染者は中国全土やベトナム等周辺のアジア諸国にも蔓延していて、隔離政策がどこまで有効なのかは未知数。

そもそも中国当局は昨年12月8日に最初の感染者が出たことを(当然のように)隠蔽したし、WHOに強烈な圧力を賭けて、緊急事態宣言を(現時点で)保留とした。緊急事態宣言になると人の移動や物資の移動が制限され、また輸出入も制限韓国を受けることになる。さらに春節で数億人の中国国民の移動があり、それを制限したくないという当局の思惑がある。

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そして日本への中国人旅行者は年間1000万人弱と増え続けていて、春節では約40万人の旅行者が訪日する。従って、今後日本でも感染者数は増加することは間違いなく、またさらに中国人入国者の多い米国では、当然のことながら大きな懸念とみなされている。

しかも、中国国内では医療体制や情報収集体制の不備から、正確な数字が把握できていないところが非常に問題で、現状がどのような状況であるのか、WHOも情報不足で把握できていない。従ってある程度、状況が表面化する来週いっぱいは、株式市場は軟調な揉み合い相場が続くと思われる。

米国ダウ日足チャート・テクニカル

先週も書いたことで重複するけれど、米国の上昇相場は1ヵ月半~2ヵ月の周期で短期調整局面を迎えている。そして今回も正確にそのスパンで調整局面となっていることは、偶然にしては余りにもでき過ぎている。

しかし、米国市場とて、このまま史上最高値を更新し続けるわけにもいかず、どこかで調整局面入りするというのは、大多数の投資家の共通した感覚であったことも事実で、現実には米国に対して全く脅威とはなっていないなかでの調整に大いに違和感も感じるところ。

テクニカルでは、比較的大きめな陰線(▲$170)となったことでパラボリックで売りサインが点灯した。こうした形になると一旦は25日線を割り込むような調整になるだろうし、今後のニュース次第では、軟調な株価の動きが続く可能性も十分にある。

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米中合意第一弾は調印されたものの、今回の新型肺炎騒動はその経済効果を帳消しにする可能性もあるし、また場合によってはこれをきっかけにファンダメンタルズ相場に回帰する可能性も出てきた。米国債10年物金利は1.686pまで低下し、WTI原油は$54台になって、市場の形としてはリスクオフとなっている。

日経平均日足チャート・テクニカル

日経平均の日足チャートは金曜大引け時点では、強気を維持したままだった。しかし微妙だが、25日線の傾きは下方転換していて、さらにほぼ5日線・25日線のデッドクロスは確実な状況になっている。

日経平均の方向感を分からなくしたのは、22日(水)のGS(ゴールドマン・サックス)が売りポジションを閉じたことによって大きく陽線を作ったこと。しかし、翌23日(木)には上昇を打ち消してしまい、結局この陽線は「綾戻し」となった可能性がでてきたことによる。

見ようによっては目先の天井打ち(ダブルトップ)と判断できるかたちになったこと、そして陽線の翌日に陰線で25日線を割り込んだ時点で、日本市場には陽線のシコリが残ってしまい、その影響は金曜前場まで残った。後場には買い戻す動きになったけれど、週末のポジション調整の域を出ず、結局ダブルトップが明確になった週末となっていた。

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そして昨夜の米国市場の寄り天に繋がってゆく。

米国市場が高寄りした理由も明確で、欧州市場が大幅に上昇していたことによる。欧州では今回の新型肺炎を対岸の火事と決めつけて、またラガルドECB総裁の新たな政策期待もでてのこと。しかし、それが仇になって米国市場は寄り付きから$450の下落を演じてしまった。

それを受けての日経平均CFDは現物大引けから▲¥194となった。

CME日経先物日足チャート

昨夜の米国市場の動きを受けて日経平均CFDが売られ、米国ダウ同様にパラボリック売りサインが点灯している。目先、75日線までの調整は覚悟しなくてはいけない形になっていて、調整が短期で終わるのか、軟調相場入りするのかは、今後の新型肺炎の動向次第となりそう。

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加えていよいよ来週からは3Q決算が本格化する。まずこの地合いでは、悪材料出尽くしでの上昇は期待しづらくなっていて、主力銘柄と言えど決算の持ち越しは一段と怖いものになった。要注意だろう。

ドル円5年チャート

日本株にもっとも影響を与えるドル円相場だが、とりあえず目先はリスクオフということで円買いが進行しつつある。今後の日経平均はまさにドル円次第となるだろうから、上記の5年チャートの上値レジストは有効となった可能性が一段と高まっている。

仮に新型肺炎リスクが拡大となれば、この時期企業の円買い需要が旺盛になることもあいまって急激に円高に拍車がかかる展開もあり得る。今後のドル円相場はそのことを意識してくるはずで、それが日本株目先天井の根拠でもあったわけだ。

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1月31日(金)日経平均予想

結局のところ、来週の日本市場は、新型肺炎を意識してどこまでドル円が円高に進むか、にかかっていると言うことだろう。悪材料として新型肺炎を意識すると言うより、悪材料によってどれだけ円買いが進むかと言うことが、株価を決める。円高となれば、日本市場は海外勢の換金売りが集中するかもしれない。日本市場は流動性市場であって、真っ先にリスクヘッジ売りを浴びる。

日経225先物3月現の大きな買いポジションは、なんと野村とみずほのみ。アムロ以外はニュートラルに構えている。仮にこの形ならば、野村、みずほの手仕舞いに便乗して売り叩かれる可能性が濃厚となっている。なので、この週末の新型肺炎関連のニュースの出方で、週初は厳しい売りを浴びる可能性が高いと見る。

従って週末の日経平均株価とドル円れーとを

日経平均株価 ¥23,200 ドル円 ¥108.50

を予想する。

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