阿鼻叫喚!4月相場の地獄が待っている!?
- 2020.03.29
- 世界情勢
新型コロナウイルスの蔓延に対し、世界は全くの無力状態に陥っていて、こうした相場は今までに経験したことのない阿鼻叫喚相場になる可能性が日に日に強まってきていると思う。なぜならば、現状の世界経済は日々悪化し続けているからだ。
そうした状況に対し、現状はワクチン開発もままならず、部分的には効果がみられるものの、包括的に有効な薬品も見当たらないわけで、それは今回の新型コロナウイルスの蔓延を阻止できないという意味と同義となる。
人、物が全く動かない史上最悪の経済状況に対し、米国を筆頭とした各国が取った経済対策は、一時凌ぎでしかなく、しかも日々その効果が薄れてゆくという極めて厳しい現実が間の前に横たわっているのだ。
世界経済停止中
新型コロナが中国で発症、爆発的な感染がおこり、それが世界に伝搬してパンデミックが本格化している現状で、ほぼ世界経済は一部の衣食関連を除き、ほぼ停止に追い込まれている。世界のGDP総計は約8,000兆円と言われているが、通年で30%減となれば、実に地球上から2400兆円の富が失われることになる。
これは決して誇張した数字ではないばかりか、現状の新型コロナ蔓延が年内収束とならなければ、もしかしたら▲30%という数字は最善のものである可能性さえ浮上する。
そうなると、人類が何人餓死者が出るのか分からないほどの、人類史上最悪の事態となるかもしれない。ある程度資本の蓄積が進んだ先進国は、なんとか国民生活が維持できるかもしれないが、それでもほとんどすべてのファイナンスは継続することができずに破綻する可能性がある。
世界経済がたとえ▲5%でも、ゼロ金利時代の今、途方もない悪影響が出るだろう。
夏までに収束の兆しでも▲20%
現時点での最善のシナリオは、(北半球では)気温が上昇し湿度が増加する夏頃までには、ピークアウトするというものだ。しかし全世界的な広がりを見せている以上、南半球のオーストラリアや南米諸国、アフリカ諸国で猛威を振るう可能性が高く、赤道付近では爆発的な拡大はなくとも年間を通じて収束しない可能性もある。
そうなると、たとえ北半球の先進国である程度収束を見ても、世界経済の減速は▲20%というとんでもない数字は回避できないことになる。
そして有効なワクチン開発がどれだけ急いでも1年~1年半はかかるという事実からすると、今年の秋口からまた感染が増加し始め、現状よりもさらに多くの感染者が出ることになる。こうした傾向は、感染封じ込めに成功したSARSやMARSを除き、ほぼ不可能であると考えられるのは、感染者の極めて多いインフルエンザが物語っている。
GDPは約8,000兆円でも金融資産はその5倍~20倍
米国の新型コロナ対策を例にとれば、FRBは債券市場や株式市場の正常化を目指して、約235兆円をすでに投入しほぼゼロ金利政策に移行した。そして「今後必要ならば無制限に資金供給を行う」とコミットした。一方トランプ政権も、実体経済の救済策として225兆円の緊急対策予算を作成し、議会承認を経て実行に移す。
この二つの緊急対策は、リーマンショック時をはるかに上回る史上最高のものだが、金融対策は現在の金融市場の流動化をかろうじて維持するための金額でしかなく、とても天文学的な額に膨れ上がっている金融資産を今後も守れる可能性は極めて低い。
なぜなら、金融資産の裏付けは基本的に実体経済そのもにあるからだ。あらゆる証券は、実体経済の成長予測をもとに発行されている。そして債券そのものもまた経済成長を前提としたものであるが、すでにFRBはゼロ金利政策に突入し、理論的には資金が成長することを否定してしまった。
そうなると、いくらどれだけの資金を供給しようと、金融市場を支えることはほぼ不可能であると考えるべきなのだ。今の金融政策には、実体経済の▲20%、▲30%を乗り越えるものはありえない。天文学的に膨れ上がった金融資産を維持するなど、夢のまた夢の世界だ。
現状の経済システムが維持できなくなる
G20で世界の首脳は、今回の新型コロナ対策として総額550兆円の財政政策を緊急にて実行することに合意した。これはGDP総額8,000兆円の約6.9%に相当する額である。このことから、現時点で世界は今期のGDP予測は▲7%と考えているという意味に近い。
しかし、現実はこれらの緊急対策予算の大部分はファイナンスの棄損に補てんされ、数字通りの期待効果はほとんど得られないだろう。
現行の経済システムはファイナンスによる信用創造がエスカレートし過ぎているからだ。理論的には市中銀行でさえ、資金を供給(または預金を集め)され、それを貸し出せば、いくらでも信用創造ができる。企業の貸し出しを証券にして売りだせばさらにその2倍の信用創造ができる。
だからこそ実体経済の5倍~20倍といわれる金融資産が存在する。しかし、その根本はあくまでも実体経済に起因するわけだ。
だからこそ、今回の新型コロナ蔓延の早期終結ができなければ、現行の経済システムが維持できなくなり、崩壊する可能性は極めて高いのだ。
4月は世界経済の行方を冷静に考えるスタートになる
ほとんどの株式相場暴落局面と同様に、金融・財政政策のてこ入れによって、債券市場はある程度落ち着きを取り戻し、また株式市場は底値から大きくリバウンドした。そして目下の最大の関心事は、戻り高値がどのあたりになるか?ということだ。
そこで、4月相場では、企業業績の極めて厳しい実態が明らかになるだけでなく、4月時点での状況も加味されるわけで、そこに下げ止まりの兆候が見られなければ、一気にネガティブな市場状況に傾く可能性が高い。
ましてその時点で新型コロナ感染拡大が続き、主要国の大都市ロックアウトが増加するようであれば、再び債券不安に火がつきかねない。企業活動の正常化が見込めなけれな社債市場は大きく崩れることになり、また住宅・不動産も一気に売られる可能性も高くなる。
海外の不動産(特に米国)市場では、不動産の収益率が価格の大きな要因であるからだ。
株式市場の再暴落は4月中旬から?
米国市場の転機となりえる3月雇用統計は、予想以上に健闘する可能性もあるが、4月は絶望的なのは明らかだ。
問題はその間に債券市場に変調をきたすような事件・事故が発生することだ。その可能性は、4月になると一段と高まる。あのリーマンショックの時には、デリバティブを凍結し、AIGやGMを筆頭とする経営危機が次から次へと表面化し始めた。リーマン倒産から2~3ヵ月後である。
今回すでに航空業界が白旗を上げて、一端は救済される方向になっている。が、米国の自動車産業を筆頭にあらゆる企業は経営危機に陥るはずである。
したがって投資家の覚悟の一端として、この株式相場は再度暴落へと向かう可能性が極めて高いということを覚悟すべきである。
いま、従来の基準で「買い時」「10年に1度の買いチャンス」として押し目を逆張りなど絶対にしてはいけないと個人的には思っている。
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