株価変動に対するメンタルの弱さは致命的?
- 2019.04.18
- 投資手法

個人投資家が株式投資をするうえで、株価変動に対するメンタルの弱さは致命的な負け要因になる可能性は否定できません。そして大多数の投資家は、自身のメンタルの弱さを感じているからこそ、「恐らく個人投資家の9割は負け組じゃないか」と言うのでしょう。
実際のところ、9割の個人投資家が負けているかどうかは証券会社にしかわかりませんが、そう感じるということは投資家が「投資成績はメンタルに左右される」ことを実感している証拠です。
メンタルが弱いのは実は投資家全員?
現実の問題として個人投資家が株式投資をするということは、大半が大切な自己資金をリスクに晒して運用しようとする行為ですから、株価の動向にナーバスになるのは当たり前です。
それでも勝っていれば強気にもなれるでしょうけど、常に勝てるわけでもない以上、含み損になったり損失を確定したりすれば、弱気になって当然なのです。
仮に許容範囲を超える含み損になった場合など、強いメンタルを維持することは不可能だと思います。だからこそ、投資家としての苦悩が生じるわけですね。
そうしたことは、個人投資家だけでなく株式投資に係わる人全員が例外なく感じてることだと思いますし、「特別な人」になろうとすること自体無理があります。
株価の変動こそが投資家のメンタルの投影?

株価の変動は様々な要因を投資家がどう受け止めるかによって生じるものです。言いかえれば株価の変動こそが投資家のメンタルなのですね。
ある銘柄でなんだか良さそうなIR情報が出ました。その情報をいろいろ考えてみて将来その企業の業績を引き上げるもの、と判断すれば買い向かうかもしれません。また、人気が出て株価が上がるだろうと想像して買う向かう場合もあります。
そうした時の投資家のメンタルは、下落リスクや財務的な評価等を無視しても一気に強気に傾くわけです。株価が上昇し、それを見た他の投資家が買ってさらに上昇し、という株価上昇の回転になります。
反対に業績見通しの下方修正を発表したりすれば、その銘柄に対する懸念が増幅され、投資家は一気に弱気に傾きます。我先にと投げ売り、株価は想定以上の水準まで急落してしまいます。
そんな時の投資家のメンタルは驚くほど弱気に傾いてしまうわけですね。
つまり、株価の変動とは投資家のメンタルの変化による需給の傾きと表現することができます。
カネと思うな、スコアと思え

私が師匠と呼べる方に株式投資の基本を教えていただいていた頃の話ですが、株価の上下に一喜一憂する私に向かって師匠は、「一旦投資した資金はカネと思って見ていると平常心ではいられないから、ゲームの点数(スコア)と思ってみてください」と言いました。
パソコンに表示される評価益や評価損の金額を、単なる数字と思って見る習慣を身につけたなら、落ち着いて株価の変動を見ていられるという意味ですね。
以来私は努めてスコアとして見ようと努力しました。しかし、結論から言えばいまだにスコアとして見れるほどの理性は身に付いてはいません。パソコン上の数字であろうと、現金であろうと、¥マークのついた数字は同じ「カネ」なのです。
メンタルを維持するための方法としては、ある意味理に適ってはいるとは思いますが、結局それは願掛のおまじないのようなもの。気がつくと現実のカネの世界にどっぷりと引き戻されてしまうのです。
勝てばいい気持ちになれるけど、負けたら悔しくて、冷静さは何処へやら。しかし、裏を返すとそれが株式投資のモチベーションになっているというのは、紛れもない事実ですね。
メンタルが弱くても負けたくない!
恐らく突出した強いメンタルを持った投資家はごくごく少数しかいないと思います。しかし、同じ人間である以上それほど精神構造に差があるとも思えない。もちろん、資産の背景によってもメンタルは大きく左右されるでしょう。たとえ50万円でもそれが全財産であるとしたら、動揺するなというほうが無理です。しかし100億円の資産家であったら100万円の投資では動揺はしません。
これを突き詰めてみれば、メンタルの強弱は同じだとしても、それを表面化させない状況があるかどうか?なのではないか、と考えました。
メンタルの弱さを補う

100億円の資産家が100万円の投資で動揺することがないのは、メンタルが強いのではなく資産家にとって投資金額が1万分の1であるという背景があるからです。
つまりメンタルというのは、何らかの方法で補えるものですね。市場に参加する投資家よりも秀でた株式投資の知識があれば、メンタルの弱さを多少補うことができます。
負けても大丈夫な生活に影響のない投資資金であれば、メンタルは補強されます。
株式投資にテクニカル技術のバックボーンがあれば、少しは冷静な判断ができるはずです。
100億円という大資産家でない以上、他の方法で少しでもアドバンテージのある状況を作ることしかできません。しかし自分はメンタルが弱い人間だということを自覚するからこそ、出来る努力があるはずです。
9割の投資家が負けるなら反対行動をとればいい
おそらくメンタルが強くなければ、反対行動など容易に取れるはずがありませんが、まずは投資に対する視点を変えてみることはとても重要なのではないか、と思います。
視点を変えてみるといままで見えなかった現実が見えてきます。特別な理由がない限り、株価は上昇すれば必ず下落し、下落すれば必ず反発します。
他の投資家が買うならば空売りしようという発想。皆が投げ売りするなら、自分は買いのチャンスをうかがおうと考えてみることが、非常に重要であることに気がついたりします。
まとめ
メンタルが弱いことは株式投資をするうえで、致命的かと言えば、私はそうは考えません。単純にメンタルだけを比較して株式投資を論じてもあまり意味がないからです。
確かに投資家は自らのメンタルがより強ければ、と望みますが、逆説的にメンタルが強ければ勝てるのか?といえば、それも恐らく自信ある回答は望めないでしょう。
株価の変動に対してメンタルが強ければ有利であることは事実です。ですがメンタルの弱さは敗因にはなっても致命的な欠点ではないと思います。
弱さを自覚してそれを補う技術と知識を身につけること、余裕資金を運用すること、投資の視点を変えることでメンタルの弱さは十分に補えます。
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