昨夜の米国市場を見て感じること。日本株の今後は?

昨夜の米国市場を見て感じること。日本株の今後は?

昨夜の米国市場は大幅高のぶっ飛び模様。何故こんな上昇になったか?と言うと、これはもう明らかにショートカバー主導だったということ以外にないよね。商いのボリュームも出ないなかで、こうして大幅上昇してその値位置が崩れないっていうのは、当日買があまりなくて、買戻し主導で上げてるから、最後まで利食いがあまり出なかったということになる。

なので些細な変化でここまで上げなくても、なんて最初は思ったけど、こうした所作は機械的なシステムトレードなので、期待インフレ率が0.1p下がったから、ということに反応するように組まれていたということだよ。そうでなければ、小売り売上高とかはこんなに動くような指標ではないし、数値は予想を上回ったけれど、これはインフレの影響かもしれないとブルームでさえ書いてるからね。

なので、今の時代は売買のセンチメントを読む、と言ってもある意味大衆心理の変化を読むというよりも、大口のファンドマネージャがどう感じてどういうセッティングでシステムを動かすか、なんだろうと思う。だからこそ、買い仕掛け、売り仕掛け、という言葉を使いたくなるような値動きばかりするんだよ。そして実際「買い仕掛け・売り仕掛け」はその通りなんだろうと思うしね。

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そこにいくつものシステムがぶつかり合うし、個人投資家の参戦もあるから、ノイズが大きいと思うようには動かなかったりもするけれど、商いが細ると当然システムは動きやすくなるからね。後は、特に夏場のトレードは、これから相場をどうしてゆこうか?とデザインしている数人、数十人の考え方で決まってくると思うし、下げ過ぎたから戻そうとか、市場のコアな動きはデザインされるという感じ。

なので、今の時代、相場を予想すると言っても昔と比べて相当に変化してると思うので、なかなか難しいよね。

その難しさに拍車を掛けているのが、インデックス取引が全盛になったから。日本でも昔は日経平均株価というと、構成銘柄の値動きの反映でしか過ぎなかったらあくまでも主体は個別銘柄だった。なので、個別を徹底して弄って仕手化するとか、10倍株、50倍株、なんていうのが年に1,2本は出てきてたけど、今はせいぜい10~20倍くらいがいいところ(小型株は別だけど)。そういう動きにならないのは、インデックス投資が主流になりつつあるから、日経平均そのものを積極的に動かすというか個別株は日経平均を参考にしながら売買されるという傾向が非常に強まったからなんだよね。

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例えば昨日なんかはファストリが単独で日経平均を何と¥214も引っ張り上げた実質的な下落相場だったけれど、意外にプラス銘柄が多いのは、ファストリの影響で日経平均が凄く強く見えちゃって、当然ETFとかが強く動くわけで、また先物とかも反応してくるからね。結果的に気が付くとINDEX系が先導してる値動きとなるんだよね。

この傾向って米国の方がより強く出るので、米国市場のセンチメントを注視するという考え方はとても重要だと思う。なので、昨夜のような大幅上昇になったときのセンチメントの変化を記憶しておかないとね。もっと言うと、ミシガン大学消費者信頼感指数の中の期待インフレ率の変化とか、PCEデフレータ(個人消費支出)とかは滅茶滅茶重要で、昨夜の小売売上高って月末のPCEに直結してる。

 

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この辺のことを予想のベースにしながら、センチメントを考えてポジションを取るってことになるんだけど、それもこれも日本市場が米国市場と連動するという前提があってこそ通用するんだよね。いまは日本株が強くて米国株が弱いなんて言われてるけど、昨夜はダウが2.15%上昇なのに日経CFDは0.82%にとどまった。俺としては踏まれ方が浅くなって良かったんだけど・・・日本株にはドル円というもう一つの変動要素があるからね。

さて、今はドル円が¥140は目前で、¥150、¥160、なんて意見も相当に出ているけれど、俺はこの辺りが良いところなんじゃないかって思ってる。こればかりは需給もあるので何とも言えないけれど、いくら岸田政権といっても、昨日この冬に向かって原発を9基稼働すると決断し発表したよね。日本にとってあの福一の事故以来原発は鬼門なのは確かで、それでもエネルギー事情を考えると、原発が必要という決断をせざるを得なかった。これって結構重大な政治決断だよ。

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これ以上インフレになると、明らかに日本は大変なことになるというメッセージなわけだし、そういう意味ではやはり、27日の金融政策決定会合では日銀も何らかの動きをしないわけには行かないと思う。なので、日本株を支えている円安もそろそろ限界なんじゃないか?って思うけどね。

なので俺は現時点で、日本株の大幅な戻りを想定することには無理があるかなって思うんだ。米国はこれから企業決算が出始めると、楽観は悲観に変わるかも。同じくらいの時期に日本は今度は急激な円高方向の動きに見舞われるかもしれない。

要するに、日本株が独歩高するということは、安倍元首相亡き後岸田首相がどういう決断をして、日銀黒田総裁とどう打ち合わせをするかと言う意味で、現状の金融政策維持となるということ。もっと言えばこのまま米国に対して貢ぎ続けるか、という選択だよね。その場合株高になるって、何とも皮肉な話だけど。