株式市場、4月以降は業績相場本番になるだろう

株式市場、4月以降は業績相場本番になるだろう

FRBは金融環境の悪化にもかかわらず、3月FOMCで0.250pの利上げを断行し、政策金利を4.750ー5.000%とした。そしてそれ以降マーケットが見ているのは引き続き年内ピーク(ターミナルレート)は5.100%であって、とりあえず5月3日は据え置きとするだろうと。そのことは米国債10年物金利が大きく低下したことからも伺えるよね。週末時点で10年物金利は1月18日の水準に並んでいるけれど、取引時間中では下方にブレイクしたこと、期待インフレ率の低下と合わせてさらに金利低下に拍車が掛かる可能性がある。

これを先取りした動きがNASDAQ高、日本では半導体関連株高となって表れてるのだろうけど、それも決算が意識され始める4月半ばまでの動きではないかと思うけれどね。こうなってくるとこれ以降本格的な業績相場に回帰するしかないわけで、これまで以上に景気指数とかの材料に反応しやすくなるんじゃないかと思ってる。

で、業績相場と言う観点で見ると、株式市場が無視というか積極的に材料視してこなかった「企業業績の今後の見通し」が重要になるのは言うまでもないし、そういう意味では株価を上昇させるエンジンって何かあるかな?って思うよね。今後しばらくはこの高い金利水準が続くわけだし、この状況は企業にとっては厳しいと言わざるを得ないし、これから金利急上昇の本格的な影響が出てくるということを考えると、なかなか厳しくなるよ。

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そんな中で日本株はどうなんだ?ということだけど、前から書いてきたことと同じだけど、前期や今期の日本企業の好業績というのは、あくまでも日銀の金融緩和と円安に依存したものだって思ってて、特別に個々の日本企業が秀でてるというものじゃない。設備投資やM&Aも結構やったけれど、とにかく日本の経済規模からすればボリュームなさ過ぎ。本来ならばこれだけ財務状況が良くて、内部留保も積み上がる一方という状況にあって、増配とか自社株買いしか使い道を思いつかない経営者ってのはどうなの?って感じがする。

世界的に見ても今の日本企業ってもっともっと攻めてなきゃいけないと思うけど、そうしないのは今の経営者連中がバブル崩壊とその後のトラウマをいつまでも抱えてるからだよ。主力企業をざっと見渡しても、ほとんどの企業経営者は銀行と付き合うのはまっぴら御免、みたいな感覚。だったら社債発行でもなんでもすればいいと思うんだけど、とにかく内部留保がたんまりあるのでそんな必要がないから、日本では国債以外債券市場もろくに出来ないという有様。その上日銀がいまだにETFを買ってたりするっていうのは、はっきり言って異常だよ。

だから日本企業の業績なんて結局はドル円と海外の経済状況に依存すると考えるしかないし。どうせ経営者達もそう思ってやってるんだろうし。なので個人的には株価上昇にはあまり期待できないんだよね。

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さて、今後は景気が悪くなる。これはもうどうやっても覆せないと思うので、ソフト・ランディングというシナリオはあくまで大口ロングのポジショントークだと思ってる。だいたいリーマンの時もそうだけど、予兆って言うのが必ずあるものだと思ってるけど、その予兆が出ても株式市場というのは、最初は個別事案として片付けてしまうもの。今回の米銀の破綻劇とかクレディの問題とかは、あくまでも金融システムが脆弱だから起きたのではなくて、個別の経営問題なのだという議論だよね。

でもそうじゃないんじゃないかな?そういうのはみな、景気悪化の一つの表れなんだと思うけどね。企業経営の内容なんてみんなばらついているわけで、好景気の時にはどれもが上手く行く。けれども環境が厳しくなるにつれて偏差してる悪い企業から順番に影響が出始めるものじゃないか!?だからこれらはみな景気悪化の予兆と捉えるべきだと個人的には思ってる。なので、米銀の破綻劇と言うのは単純に債券価格が下落したとか取り付けで預金が逃げたとか考えるよりも、それだけ厳しくなってると言うことだよ。個人も企業もだけどね。

そんなことが起こったにも関わらず「利上げはもう御終いなので景気は回復する」という楽観を持てるはずがないし、むしろより悲観を強めたという方が真っ当だと思うけどなぁ・・・。

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その上で今、米国よりもはるかに危険なのが欧州経済だと思う。EUはちょっとダメだろ。先日のECB理事会でラガルド総裁は0.500pの利上げをやったけれど、それでも政策金利は3.5%でしかない。それでいて域内の平均は前年同月比で8%台となっていてコアインフレが下がる状況にはない。まぁこうなってしまうと、経済が崩壊するのは時間の問題かもしれない。いまはウクライナ戦争のこともあるので、なんとか我慢しているといった状況だけど、すでにフランスでは暴動に次ぐ暴動が起きてる。きっかけは年金改革と言うことだけど、インフレでなければこうはならなかったかもしれないしね。

それと東欧は最もヤバくてチェコ、スロバキアはすでにハイパーインフレに突入してるし、このままでは統一通貨ユーロが持たないかもしれない。なので利上げは止められないし、その過程でまた金融機関がおかしく成ることも十分にあり得る。

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ならば中国は?と言えば、経済はほぼ壊滅してると言ってもいい状況。経済のことなんかまったく気にしない習近平はサウジとイランの国交を回復したり、プーチンに会ってウクライナ戦争をなんとか停戦に持って行こうとしたり、バイデン外交がダメダメの中、要は世界のなかの地位を何とか引き上げようとしてる。

欧州経済が如何に厳しいことになってるか、中国経済がどうにもならないほど悪化していると言った情報は、それこそ断片的にしか報じられないけれど、その影響は確実に企業業績に表れるのも時間の問題かも。なので、どう転んでも日本株だけ独歩高なんてことは考えられないよ。なので、まずは為替次第。今、日経平均¥27,400ー¥130.700なので権利落ち後、¥27,150近辺でのドル円がこのくらいになってるか、見ておく必要がありそう。