日本株を読め!【6.24~28】G20前、楽観できない緊迫した週

日本株を読め!【6.24~28】G20前、楽観できない緊迫した週

6月21日(金)日経平均引値 ¥21,258(前週予想¥20,800)日経平均CFD ¥21,212

相場・地合い概況

目まぐるしく様々な出来事がFOMC前後に勃発、投資家のセンチメントが揺れた一週間でもあった。だが、株式市場の基本的な動きは日米ともに、FRBの金融政策転換に焦点が合わされていて、総じて上昇基調。

この時期、利下げ基調となれば、踊り場に差し掛かっている米国経済が持ち直す、との期待が大きい。大きな資金は、強気に米国株を押し上げ、日経平均も木曜までは追従する動きになったわけだが・・・。

「トランプ大統領がイラン攻撃を指示した後、数時間後に撤回した」というニュースが流れ金曜後場から急落するという、後味の悪い週末となった。

FOMCは年内利下げを示唆

ミネアポリス連銀のカシュカリ総裁は0.5ポイントの利下げを主張

期待のFOMCは「年内の利下げを示唆する内容」だった。続いて各地の連銀総裁が次々と利下げの必要性を主張し始め、「場合によっては7月利下げも」という機運になっている。

しかし同時に、利下げの必要性をFRB関係者が主張すればするほどに、米国経済悪化懸念も拡大する。

従って史上最高値更新目前で徐々にリスクを意識する展開になりつつあるのも事実で、もろ手を挙げて利下げを歓迎する相場展開にはならないと見る。

イラン情勢は緊迫

イラン側は「米国の哨戒機とドローンのうち哨戒機は標的にしなかった」とし、トランプ大統領は「150名の人命をドローンと引き換えにできない」としてイラン国内3か所の軍事施設に対する攻撃を作戦実行中に中止した。

つまり、米国とイランは既に戦闘状態に突入していた、と言うことになる。

ただし米国はイランに対して報復攻撃の警告を出してはいなかった。

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中国はG20で折衷案を出す?

G20での米中会談を前に北朝鮮を訪問した習近平だが、イランの核合意問題のキーは北朝鮮であることは間違いなく、北に釘をさすことで米国との交渉の手土産としたい意向がアリアリだ。

しかし、4月に合意した米中協議の内容に完全復帰することが米国の条件であって、それを中国は絶対にできない。

従って折衷案を用意して臨む可能性が高い。

しかし、米国は関税以外の要求が通らない限り妥協はしないと思われる。つまり、中国側の提案に対し、関税の追加適用は先延ばしの可能性もあるが、基本的に中国経済は回復することは不可能だと思われる。

消費税で内需は壊滅

  1. 入管法改正(4月施行:賃金上昇抑制)
  2. 働き方改革(4月施行:収入減)
  3. 令和10連休(収入減)
  4. 自動車税納付(5月消費抑制要因)
  5. 老後2000万円問題(消費減少要因)
  6. 消費税増税(消費減)
  7. 五輪チケット(消費の偏り)

以上この4月から消費に対しダメージのある政策やイベントが矢継ぎ早で、国内消費は非常にダメージを受けている。しかし、現時点では統計に表れてこないので実感できないことが、大問題である。

日本はGDPの6割以上を内需に依存するわけで、内需のダメージはデフレ化を促進し、日本経済の命取りになるわけだが・・・。

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米国ダウ日足チャート・テクニカル

引け値ベースでの史上最高値は一瞬上回ったものの、ザラバ高値($26,951)は上回れなかった金曜の米国ダウ。大引け前に売られて結局上髭を伴った陰線で終了となったわけだが、メジャーSQの出来高増を考慮しても、戻り天井の可能性は否めない。

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来週の米国ダウは週の前半は調整含みで推移し、サプライズ的なニュースでもない限り、調整に入ると思われる。

ただし、週末にはG20での米中会談が予定されているために、期待感が盛り上がれば$26,000は割るような動きにはならないと予想。

日経平均日足チャート・テクニカル

一方の日経平均は、イラン懸念と円高によって上値の重い展開を強いられることは確実。結果的に大陰線となって75日線割れの形は再び空売り比率が47.3まで高まっていることを考えると、極めて厳しいと言わざるを得ない。

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下落の戻り局面で75日線に頭を抑えられる格好となった場合、日経平均は急落のリスクがあるとの記事があったが、まさにその通りの日足の形となってしまった。

ブルームバーグには「来週の日本市場は上昇」という記事もあるが、少々楽観的すぎる内容だ。

来週の日米地合い予想

トランプ大統領はイランに対してオマーンを通じて「攻撃が近いので交渉を望む」との警告を発した。これをイラン側が拒否すれば、米国による軍事行動の可能性が高まると思う。

今回の軍事作戦は政権急進派のボルトン補佐官の主導であると言われ、ポンペイオ国務長官も賛同したという。つまり、それを攻撃10分前に中止させたことで、トランプ政権内部には不満も高まっている。

となると、ここ数日のイラン側の対応しだいで攻撃もあり得るだろう。その場合、米国株はさほど影響はないにしてもホルムズ海峡云々で日経平均は急落も覚悟しなければならない。

また米国は中国企業への制裁をまったく緩めていないことから、徐々に米中会談への楽観が剥落することもあり得る。

また来週半ばには消費税増税が閣議決定されることから、日本株の来週は厳しい値動きになるかもしれない。

6月28日(金)日経平均予想

G20に向けて期待感はあるものの、リスクも台頭してくる局面ということで、

日経平均株価¥20,600 ドル円¥106.50

を予想する。

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