株・師匠(プロ)の教訓 9:分からないときはチャートに従う

株・師匠(プロ)の教訓 9:分からないときはチャートに従う

株式投資をしていると、ある銘柄に投資していて手仕舞いしたときや、揉み合い相場になって方向感が掴めないとき、さらには好材料と悪材料が出てどう判断していいのか分からないときなど、相場に迷うときはいくらでもあります。

そんなときに、中途半端な気持ちでポジションを取ると、「負け癖がつく」と師匠は言いました。

勝っても負けても「負け癖」がつく

「もしも分からないまま、中途半端な気持ちでポジションを取るとします。ありがちですけど」

「いつもそんな感じでした」

「勝負ですから、勝つときもあれば負ける時もあります。当然ですけど」

「はい・・・」

「勝ったらどうなります?」

恐らく当事者は、そういうことを意識していない場合が多いと思いますね。ですから、勝ったら普通に嬉しいし、また分からないまま投資を繰り返してゆきます。勝てば当たり前とは言いませんけど、ついてると思うでしょうし、次にはまた勝つことしか考えませんね。

怖いのは、2度、3度、続いて勝ってしまうこと。こうなってくると妙な自信がついてしまって、合理的な投資行動が出来なくなってしまう・・・。

それで負けが来た時、よくわからずに従来の投資行動をとるしかないです。その結果、ズルズルと負けてしまうのですね。師匠と出会う以前の自分のことです。

「では負けらどうでしょう?」

中途半端な気持ちで建てたポジションは、負けることのほうが多いかもしれません。しかも、ポジションを建てたら建てたで、非常に不安な気持ちに襲われ、その結果負けなくてもいい場面で、大きなロスカットをしてしまったり。

その時のメンタルの裏付けがないからですね。

「中途半端な気持ちで勝負をすると、勝とうが負けようが、結果的には負け癖になるんです。勝負ですから勝ちにいかないとダメです。最初から不安を抱えてたら、勝負になりません」

普段は温和な師匠は、時として眼光鋭いプロの表情になります。そういうときの会話はとても印象に残っているわけです。

ポジションを我慢する

「迷った時に、一日ポジションを我慢してみることが重要ですよ」

「よくそう言いますよね?」

「何故だかわかりますか?」

師匠が何か大切なことを言うときは、必ず吸いかけのショートホープを灰皿にもみ消して、決まって新しいショートホープに火を付けました。何度となく師匠の仕草を観ているうちに気がつくようになったわけです。

「たとえば、一日我慢するというとこは、前日は迷って分からなかったわけですが、翌日はその迷いの答えが必ず出るでしょう?」

言われてみれば確かにその通りです。前日は相場が下げて迷ったけれど、翌日は続落か反転か、必ず結果となって現れます。そして、相場はまた新たな条件を提示してくるわけです。

昨日と今日と、何が違うのか?を考えると、今の相場は何によって動くかというのが見当つくと言うわけですね。

「そういう見方を習慣づけるといいと思います」

これは確かに重要なヒントだな、と思いました。当たり前のこと、と言えばそれまでなのですが、株式投資をやっているとこの「当たり前のこと」を簡単に見失ってしまいます。

また見失うどころか、気付かない場合さえあるんですね。

時間は調査に使ってください

迷ったらポジションは取らずに相場を眺めてみることや、いろいろ調べ物をする時間が、株式投資にとってはとても重要ではないか?という気がしています。

考えてもみれば、ポジションを建てて一週間程度のスイングをやるとします。個人投資家はその間の何処くらい株式相場と向き合うでしょう?

専業でなければ、仕事をしながらですから、ザラバを見る時間は限定されますし、帰宅後毎日の相場の振り返りと言う形で見るくらいがせいぜいではないかと思います。ポジションを建てているわけですから値動きは気になるでしょうけど、ポジションに身を任せるという投資家が多い気がします。

しかしこのくらいのスタンスで臨めるのは、比較的小さな投資資金の場合で、大きくなってくるとそうも言っていられなくなりますね。

また専業の場合は、これはもう本来株式投資にどっぷりと浸かっているわけですから、物理的にはいくらでも調査研究ができる環境です。しかし、現実問題としてポジションに夢中でそうしない個人投資家が大半なのだと言われています。

「とにかくいろいろ調べるんですよ。調べることや確認すべきことは山ほどありますから」

「多すぎますよ」

「そうですね。ディーラーは日足を見るよりも情報集めしてますよ。ポジションを建てながらですけど」

「そうなんですか?」

「証券の情報量は個人とは比較になりませんから。クイックの有料契約だけでも見きれないほどですよ」

国内勢でも海外勢でも、プロはそうした情報の洪水のなかでポジションを建てて、それが全体の株価の動きを形成しているのですね。

分からないときはチャートに従う

 

「師匠、個人投資家には限界がありますよ。情報なんか飛んでこないし・・・」

「そうですね。有料情報は飛んでこない。証券もすべての情報をサービスしてません」

「ではどうすれば?」

一口に「地合い」と言ってもその構成要素はあまりに多すぎて、しかも不確定要素のオンパレードときたら、迷ってしまうと、何をどう調べて、どう解釈していいのやら・・・。

「それは曖昧さの解釈なんですよ」

「曖昧さ?」

「そうですよ。だってプロだって分からないんです。なので、判断は地合いの曖昧さをどうみるのか?という勝負になるわけですよ」

その話を聞いて多少安堵しました。その頃の私は、個人投資家の身としてプロという絶対的な存在がある相場で勝つのは、本当に難しいことと思い始めていたからです。

しかし、プロだってわからない中で勝負している、ということは師匠の言った「曖昧さ」の中で相場の流れはできている、と解釈できるからですね。

そのことは裏を返すと「分からなくて、迷って当たり前」ということですから。

「でも、じゃ、どうすれば・・・・」

「分からないときはチャートに従え、と言うことですよ」

師匠はチャート・テクニカルは投資家の拠り処だと言います。プロであっても迷った時こそ、最後に頼るのがチャートだとか。

「チャートは市場の意思ですから」

師匠はそう言ってまた新たなショートホープを燻らせます。

「でも絶対じゃないって・・・・」

「そう、絶対じゃありません。地合いが急変するような出来事があれば、通用しないでしょう。でも、多くの投資家がチャートを頼っていると言う事実は重いんですよ。」

「ですね」

「最終的にはチャート・テクニカルは勝ってしまうんです。それも事実ですよ」

株式投資でテクニカル投資は最終的には勝ってしまう・・・。その師匠の言葉で、チャート・テクニカルをやり直したことを思い出します。

 

チャート・テクニカルの基礎→勝ち組への登竜門