上昇しても米国市場の状況はあまり良くない!
- 2025.03.08
- トレード雑感

昨夜の米国株式市場は、2月雇用統計に対してネガティブ感を持った投資家の売りで一旦は大きく突っ込んだものの、プーチン大統領が「条件付き停戦に合意の用意がある」という発言報道で底を打ち、パウエル議長のイベントでの講演内容を好感して上昇、米国三市場ともにプラス圏で値を伸ばし、米国債10年金利上昇に伴ってドル円も底打ち反転し、¥148に乗せた。
結果、日経CFDは¥36,468まで突っ込んで反転し、¥37,202と取引時間中で¥734の大幅な戻りとなった。
個人的な感想を一言で言えば、パウエル議長は「まだそれほど経済は悪化していない」ということでしばらくは景気の動向を注視する慎重な姿勢を示したということ、そしてプーチン大統領は「東ウクライナ(ドネツク、ルガンスク、そしてクリミアに至る地域)を割譲または独立」を条件に国境線を引くことで停戦合意を示したとなる。
プーチン大統領の発言は経済的な影響は軽微だけれど、パウエル議長の発言もほとんど何も言っていないので、本来的な意味で言えば相場が反転する材料でもないのだけれど、恐らく投資家が買いを待っていたところに安心感というトリガーなったという事かも。
けれども、こういう株価の反発はある意味、今の相場が極めて投機的に動いているという証明でもあると思う。市場は雇用状況から先行き懸念を持ったけれど、楽観的な姿勢の発言をしたパウエル議長のニュースで、180度様相が変わるというのは、短期資金の値幅取りが中心の動きだということ。きっかけ一つでショートカバーに向かうというのはよくある相場模様だけど、「きっかけ」とする内容にもよる。昨夜の場合、遣り過ぎてる相場が垣間見えるだけであまり良い相場、堅調な相場とはいえないのではないか。
そもそも、米国債10年金利が上昇し、株価も上昇する、というのは株式市場にとってはあまり良い状態とは言えないしね。消費が弱っているときに金利が上昇して何もいいことはないわけで、むしろパウエル議長が3月の政策金利据え置きを示唆したことはネガティブと捉えてもいい話。見方を変えれば昨夜の株価上昇は、米経済の現状に逆行していると言える。
またインフレ懸念も全く払拭されておらずむしろ高止まりの様相となるわけで、これも個人消費にとってはネガティブ。となると、長期金利上昇と株価上昇が同時に起きるのは一時的なものであって、所謂無理筋的動きなんじゃないかと感じた。
なので、来週からは、米国債10年金利が4.300~4.350でホバリングする中で、株価が押した場所が現在の居場所であって、そこから物価や個人消費、トランプ関税を改めて織り込む格好になるかもね。
逆に日本国債10年金利は1.510までストンと落ちたけれど、これはこれで「どうなの?」という感じ。トランプ政権は日本に対し「円安政策をするな」と言っていて、これに対して日本側は「そんなことはしてません」という姿勢だけど、直接的に米国政府に言っているわけでもない。それはある意味、現在の水準を是正しないのなら相互関税を要求してくることに繋がる。
財務省はの水準で為替介入など出来るはずもないし、その場合日銀が利上げの判断をするかどうかがポイントかもしれない。日銀会合は3月19日、FOMCは3月20日となる。
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