9月の日米株式市場、このままでは終わらない!

9月の日米株式市場、このままでは終わらない!

日銀はいずれ利上げせざるを得ない状況に追い込まれる。一方FRBは利下げせざるを得ない状況に追い込まれている。今の株式市場を語るうえではこれだけをシンプルに考えるべきなんじゃないか?と思えてきた。米国にしてもこれだけM2マネー(マネーストック)が増加してくると、その資金はレバレッジを効かせて市場に投入されている。おまけに円キャリーでFRBの金融政策外の資金流入も続いていた。

つまりそれらの資金の多くがインデックスやETFなどでパッシブ運用されていて、それが株式市場を下支えていると見える。その上AIに対する将来的な期待感は一向に衰えないから、株価は天井知らずで上昇してきた。日米の株式市場はすでに青天井相場に突入してる。

一方消費はどうか?と言えば、米国の実態はほぼほぼ危機的状況にあって、将来不安は雇用統計を見ても分かる通り急上昇中なのだ。実際米国の消費は、CPIは小売売上高を見るとそれほど悪化しているようには見えないものの、インフレを差し引いた実質では、横這いがせいぜいで低下している月もある。というかすでに下落傾向入りしていると見える。

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サブプライム自動車ローン会社が破綻したけれど、規模が大きくないので、市場は単なる事故と認識して無視した。これについては、「炭鉱のカナリヤ」と見る意見も出たけれど、上昇相場ではそんなネガティブな見方はすぐに消し飛んでしまう。けれどもよく考えると、これから利下げになるという局面で破綻したということからして、0.250pの利下げは消費マインドの低下に対し効果は期待できない。

今、米国の消費者はトランプ関税の影響が小売価格に出始めることを恐れてる。アップルがiphone17を発表したけれど、価格転嫁は抑え込まれた。これはマーケティングにおいて価格転嫁できる状況ではないと判断したから、コスト上昇分を自社で吸収するという選択をした結果だと思う。

景気が悪く無ければ、トランプ関税は容赦なく価格に転嫁されるだろう。けれどもここでCPIの数字だけを見て景気は後退しない、インフレは気にする必要がないと判断するのは結構危険なことだと思う。YOUTUBEで様々な米国経済の実態をレポートする動画を見たけれど、とてもその状況が持続できるとは思えないものばかりだった。

もちろん、日本に居ればインバウンドの増加を知っているので、海外の景気が悪いとは思えないだろう。今のインバウンドの増加は個人的にもかなり不思議と映る。けれど旅行は思い付きでするものではなくて皆、何カ月も前から計画的に準備しているのだろうから、遅行指数を見るように考えなくてはいけない。

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けれどもトランプ関税はとにかく数字がでかすぎて、これが企業業績に影響しないはずがないし、やがては物価にも反映されざるを得ないと思う。これからトランプ大統領が何をしようが、景気の悪化とともに支持率は低下してゆくはず。トランプ大統領はFRBに対して利下げ圧力をかけ続けているけれど、ここまでインフレと雇用の数字を盾に利下げに応じなかったFRBがいよいよ利下げを開始するとなると、当然のこととして景気減速開始を認めたという証なのだと市場は捉えるかもしれない。

そして多分、その判断は正解で、AI関連には資金が集中する可能性があるけれど、それ以外の企業に対しては警戒感が強まるに違いない。それがここ数日、米国ダウ下落、NASDAQ上昇という株価の動きに現れてるのだと思う。

そうした株価の動きが、反映されるのが日経平均と言うことになり、SBG、アドバンテストが急激に買われ、指数全体を押し上げたのは言うまでもない。ある時はファストリとエレク、また今回はSBGとアドバンテスト、と言うように日経平均を押し上げる手段を海外勢は心得ているからね。

けれども連日のように日経平均EPSが上昇するのは違和感がある。加重平均で見れば、ウエイトの偏りが激し過ぎのが以前から指摘されていた欠点でもあるわけで、ここに今の日経平均の強さの秘密があるのは間違いないし、本来弱いとされる、9月相場がここまで強烈な上昇を続けてきたのは、MSQの影響だけではないかもしれない。

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さて、そう考えると、やはり9月波乱説を引っ込めるわけには行かないかな?と思ってる。もちろんバブル相場であることは間違いない状況で、インフレ下でもあるわけで此の先さらなる上昇があると考えるのは自然かもしれないけれど、これ以上上値を獲りに行くのであれば、一旦は大き目な調整をして需給を整えないと無理なんじゃないか?と思う。

それに、何度も書いてきた、最大の懸念、つまりは円キャリーの巻き戻しも決して忘れたわけじゃない。あれからもいろいろ調べてはいるけれど、目安となる10年国債金利差で言うと、2.500p割れで要注意水準、2.300p割れると巻き戻し開始水準、そして2.200p割れたら本格的に始まるだろうと見てる。

ただしFRBの利下げで米国10年国債の金利が下がらずに、むしろ上昇することもあり得る。その場合は円キャリー巻き戻しと言うよりも、米国景気後退入りで下がる確率が高くなるだろう。

 

いずれにしても9月の日米株式市場、このままでは終わらないと思う。