FBリブラ(仮想通貨)の圧倒的優位性

FBリブラ(仮想通貨)の圧倒的優位性

FB(フェイスブック)は全世界で20億人のユーザを抱える最大級のSNSで、広告ビジネスによって数千万のカード情報や口座情報をすでに獲得しています。

そのFBが「リブラ」という仮想通貨を発行すると発表して、米国政府やFRBはもとより、世界中の中銀が懸念を表明(猛反対!?)しています。

リブラの衝撃:圧倒的優位性

米国FB(フェイスブック)を中心とした28社が仮想通貨(暗号化通貨)リブラを2020年に発行すると発表しました。

しかし、全世界で20億人のユーザーを持つ世界最大のSNSであるFBが仮想通貨を発行してしまうと、人口20億人を抱える国家並みの影響力を発揮する可能性があり、世界各国に激震が走りました。

そして御膝元の米国ではトランプ大統領が「ほとんど信頼性がない」と反意を示し、FRBパウエル議長は先日の米国議会証言で「極めて慎重で万全な検討を重ねる必要があり、(検討には)12ヵ月以上かかるだろう」と難色を示しました。

ドルを通貨の裏付けとする

従来の仮想通貨は強固なブロックチェーンが通貨の裏付けとしていて、商品や通貨との兌換が可能なことを信用の裏付けとすることに失敗しています。

なので、現行通貨との兌換レートは相場によって決まり、それを生業とした事業者が独自に兌換に応じるというシステムです。しかし、投機の対象になり変動が激しく、また兌換が100%保証されていないことが欠点でした。

しかしリブラは、基本的にFB自身が兌換に応じることから、ドル兌換性を信用の裏付けとする、と発表しています。

仮想通貨リブラはドル本位制を模したもの、と言えるわけです。

発行量・兌換レートを自ら決める

当然のことながら発行量やドル兌換レートはFB自身に決定権があります。

つまり10兆ドル分のリブラを1リブラ10ドルで発行すると決めたら、基本的には1兆ドルのドル(約106兆円)をFBは手にすることになるわけです。

また他国通貨での兌換を認めると、リブラ兌換レートが為替市場に大きな影響を与えることになります。

そしてそれだけの資金を手にしたら、運用益だけで莫大な利益を得ることになるのです。

債務のないリブラの信頼性は高い

FBは基本的に無借金なために、兌換後のドルは運用資金としてFBに温存されることになり、リブラの信頼性は非常に高いと予想されます。

また対ドル兌換レートを固定すると言うことになれば、理論的にドルの供給量が増えることになり、一気にドル安に傾く可能性もあります。

取引所の開設の必要がない

リブラに関してFBが取引所を開設する必要はなく、一種の中銀のような役割を担うと考えるべきです。従って各国通貨の為替変動は、独自資本で参入する取引所が担う可能性が高いです。

たとえば、現行の金融機関などがリブラと自国通貨の兌換を開始する可能性があります。

そうしたリブラの広がりを考えると、世界の基軸通貨にとって代わる可能性すら、否定できません。

人口20億人の国家規模

FBのユーザーは全世界で20億人とされていて、当然のことながら中国を凌駕する国家が、経済的には誕生するのと等しいと考えるべきです。

そしてFB内に口座を設けると、各国の法規制の枠外にて自由に自国通貨との兌換ができるとなると、世界の資金が集中する可能性があります。

仮にリブラを変動相場制で運用するとなると、一気に資金集中が起こり、前代未聞の投機バブルさえ予想されます。

なので現時点では兌換レートを固定すると思われますが、その権限はFBに集中するわけで、途方もない規模の仮想中銀が誕生することになります。

世界的な送金・兌換の自由度

たとえばドル交換に10%近い手数料を取られ、さらに海外送金手数料を10%近く支払う・・・。こうした資金移動の仕組みに風穴を開けたのがビットコインをはじめとする仮想通貨ですが、投機的な側面が強いことが普及に歯止めをかける結果となりました。

仮に交換レートが安定していたなら、仮想通貨の現実的な普及度は遥かに高かったと思われます。

しかし、リブラのような圧倒的なユーザー数を背景にして、ドル兌換をほぼ固定レートで保証するような仮想通貨が誕生するとすれば、誰でもが使用することになるでしょう。

そしてユーザーが増えれば増えるほど、リブラの流通量が増えれば増えるほど、FBの権限は絶大になってゆきます。

なぜならこのシステムではFBはリブラを必要に応じて無限の発行可能だからです。

金融の在り方が変わる可能性

リブラが登場し、固定レートでドル兌換を宣言した場合、現在の変動相場制に異変が生じることは確実で、また国家間の資金移動が規制できなくなるために、現行の金融の在り方は大きく変わる可能性があります。

そうなると、低コストなリブラに企業資金は集中するでしょうし、また各国中銀の金利操作による金融政策の効果が失われることも十分にあり得ます。

そうなると、FBは世界最大の金融当局となり、世界中の資金が米国に集中することになりますが・・・。

犯罪企業を人々は認知するか?

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仮にこのままリブラが発行されるとなると、マネーロンダリングという概念が崩壊してしまいます。送金に際して暗号化される仮想通貨は、兌換レートの変動でしか、流動性を確認する手段がなく、従ってアングラマネーの追及手段が失われます。

また、各国ではこのような仮想通貨を規制する法律の枠組みは構築されておらず、手も足も出なくなります。

しかし、問題はFBに対する信頼度です。

いままでFBは収集した個人情報をプライバシーポリシーに反して様々な企業に供与していた事実が発覚しているだけでなく、自身のメディアを通じた情報操作や選挙への介入を繰り返してきた企業です。

従って20億人のユーザーの信認を得られずに、従来の仮想通貨の一種とみなされた場合、マネーロンダリングの温床になってしまいます。

リブラの成否は、自身の抱えるユーザーの信認に掛っているわけです。

成功すれば世界を制する

リブラが成功すると、FBは世界最大の中銀と成る可能性があり、またドルを超えた基軸通貨となることも十分にあり得ます。

企業が国家以上の存在になる・・・。少なくとも金融的には十分にその可能性を秘めていると言っても過言ではありません。

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