株式投資でも平和ボケ:今年の下期相場は甘くない

株式投資でも平和ボケ:今年の下期相場は甘くない

米中対立が休戦状態になって、さらにFRB利下げ期待もあって米国市場は史上最高値を更新した。それを好感して、日経平均も底値からの戻りを経て高値(現行水準)を維持する状況だが・・・。

投資家は相場の状況(世界情勢)が一変していると言うことに気が付くべきだ。

日本市場は今後、米国ダウとは切り離されるように独自の動きをする可能性が高いと見る。いま少々楽観過ぎる評論家やアナリストの意見が多いので、書いておくべき、と思った次第。

今年の下期相場は甘くはないと思う。加えて、米国市場が上昇するから連動して上値を追う、というのは言ってみれば株式投資における平和ボケなのかもしれない。

日米関係の真実

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安倍首相は「日米関係はかつてなく親密かつ良好」と宣伝している。確かに安倍首相とトランプ大統領は親密な関係になったと思うし、その努力は認められるだろう。

しかしそれは首相と大統領の個人的な関係のことであって、それをそのまま国家の関係に言いかえるとこは危険だと思う。

親中派が多い日本

日本の政治家には親米派もいれば親中派もいる。議員でさえそうなのだから国民のレベルでも同様だろう。しかし安倍首相は自民党が政権与党であるから日米関係は良好と言えるだけであって、現実には自民党内には親中派がゴロゴロいる。

それは財界でも同じで、トヨタを筆頭として、米中双方で(漁夫の利を得るかの如く)事業展開をすることが、企業の繁栄に繋がるとして行動する企業は山ほどある。

親日派は少数の米国

一方米国も日本に対する見方は様々だ。日米同盟と言いながら、有事の際に実戦に参加しない日本をトランプ大統領は揶揄したが、それはそのまま共和党の意見でもある。また、日米間の貿易に関してもそれを良しと考えている勢力は少ないだろう。

日本バッシングこそ起ってはいないが、日米同盟を盾にして有事には何もせず貿易で金儲けだけする国と思われても仕方ない状況にあると言うことを、日本の政治家は自覚する必要がある。

安倍首相とトランプ大統領の社交は上手く行っているだろう。しかし、外交とは別次元の問題だと思う。

今米国は日本をどう見ているのか?

このとこを考えずして、日本市場の先行きは語れるはずがない。

韓国制裁は米国の要請?

日本が韓国に対して輸出を規制した、フッ化水素、レジスト、フッ化ポリイミドだが、フッ化水素はウラン濃縮の吸着剤として極めて危険かつ重要な軍事転用可能は材料であることは分かる。

しかし、なぜレジストやフッ化ポリイミドが抱き合わせになったのか?

レジストは転写した半導体回路の保護膜、フッ化ポリイミドは汎用性の高いエンジニアリングプラスティックで、どちらも半導体やハイテク製品の製造に欠かせないものではあるものの、安全保障上問題があるとすることにいささか違和感が拭えない。

つまり、フッ化水素以外の2種の化学物質は、半導体や有機ELを狙い撃ちした化学物質であることがわかり、それはすなわち、韓国のサムソン潰しはもちろんだが、中国への第三国輸出を防止する目的があるのは言うまでもないだろう。

ということは、韓国が輸入管理を怠ったことで、規制するのだ、というのが日本政府の見解で、決して一連の韓国の反日行動に対する制裁処置ではないというのが建前だ。

だが日本政府は韓国に対し制裁したいと思っていて、また米国はサムソンを弱体化させ、中国への半導体輸出にダメージを与えたい、という思惑が一致した結果なのだろう。

トランプ大統領が利下げを強く要求する理由

トランプ大統領はFRBに対し、これでもか!という程の利下げプレッシャーをかけ続けている。

そして何故か、ここにきてパウエル議長の論調がにわかに利下げに傾いた。今月10日、11日の米国上下院での議会証言では、ほぼ7月の利下げを明言する証言を行った。

しかし米国経済は雇用統計が好調であったことから、FRBが利下げを急ぐことに懐疑的な見方も出てきている。実際、今すぐ利下げが必要な経済状況でないのは分かっていることなのだ。

予防的利下げ

パウエル議長は「予防的利下げ」という表現で示唆している。

つまり、何かが起きた時の予防を前もってやっておく、という意味に受け取るのが自然だ。

それは、8月からいよいよ本格化する対中国制裁のことであるのは、想像に難くない。ファーウェイのアンドロイド使用期限を8月14日まで、としている。以降ファーウェイはアンドロイドを使用できなくなる。

また米国政府機関でのファーウェイ機器の全面排除期限が8月14日でもある。

つまり、現在小康状態に突入している米中対立は8月中旬に再開される可能性が極めて高い。

ファーウェイはバックドアを使っていた

そのファーウェイは各国にに対し「バックドアを使用しない誓約書を提出する用意がある」というとんでもない表明を行った。

自らバックドアを用いて情報収集を行っていたことを認めたのだ。さらにファーウェイの幹部に人民解放軍が多数いることも暴露されている。

となると、中止されているペンス副大統領の演説をきっかけに、米中対立は再開されるのは確定的なのだ。

そしてそのことをFRBパウエル議長は、トランプ政権から知らされている可能性が高い。FRBが予防的利下げをしなければならないほどの影響が出る対中制裁になるという意味だろう。

米中は戦争状態、そして日韓もまた・・・

株式投資をする上で忘れてはならないことは、現在米中はほぼ戦争状態にあるということだ。しかも極めて緊張状態にあるのは間違いない。

電磁パルス攻撃の脅威

米国は、経済戦争もさることながら、その一環としてもっとも恐れていることの一つに中国、イラン、ロシア、北朝鮮が保有すると言われている電磁パルス兵器(EMP兵器)戦略だ。特に中国はEMPの専門部隊を保有しているために、米国は極めて高い危機感を有している。

電磁パルス(EMP)は、空中で核爆発が起こったときに発生する大量の電磁パルスが、陸上の送電網やあらゆる電気製品が、破壊されてしまうというもので、北朝鮮が弾道ミサイル実験で示唆していた。しかし、メディアはこのことを真摯に取り上げることはなかった。

昨年米国のトランプ大統領が金正恩と会談をもったのは、EMP攻撃の防止に他ならず、交戦することなく甚大な被害を相手国に与えることができるために、トランプ大統領は地上で核実験は絶対にさせないと条件を付けている。

そもそも、現代の核兵器は血を流すために使うものではない非殺傷兵器なのだ。

通信網の破壊防止

また中国は、ファーウェイのバックドアを使って通信網を麻痺させる技術を開発しつつあり、単に5Gの覇権争いというのは表面上の理由に他ならない。

従って米国は、単純に貿易問題だけで中国に制裁を課していると言うよりも、そうした中国のハイテク兵器を使用させないようにするための戦略を実行していると見るべきなのだ。

だからこそ、中国のハイテク技術の息の根を止めるために、本格的な半導体制裁を行うわけで、貿易や経済問題は正直二の次だろう。

そうなると、日本の韓国制裁も簡単には終結するはずがない。米国がファーウェイを徹底的に潰すならば、日本もサムソンを徹底的に潰すのではないか?

有事の株式投資

誇大妄想だ、と言われたらそれまでだと思っている。しかし、客観的に情報を集め分析していると、現状はまさに有事の只中にいると理解せざるを得ない。

そして、トランプ大統領は日米同盟の運用の見直しを頑強に求めている。

安倍首相は衆参同日選挙を回避し、消費税増税を断行すると決めた。仮に消費税を延期し衆参同日選挙を行えば、圧勝しただろう。しかしそうなると、憲法改正は米国の要求によって、今以上の改正が必要になる。そのことを意図的に避けたのではないか、と思う。

しかし、8月以降、米中対立の激化と日韓対立に激化によって極めて深刻な経済に対する影響がでるのはほぼ間違いなく、その時には増税は中止されるだろう。

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今後の株式投資見通し

現時点での見通しでは、米国市場はFRB利下げ以降一週間程度は順調に上値を獲りつずけると思われる。しかし、利下げ直後であってもペンス副大統領が演説を行えば、臨戦態勢に入るだろう。

米国株が史上最高値を更新したことで、トランプ大統領の目的は達成される。同時に、新たな展開の下落でも相当のバッファーができたと言える。

大統領選に向かって株価は下げたくないが、また中国叩きを止めるわけにもいかないということだ。

一方日本市場は、FRBの利下げが確実でこのまま円高が進むはずだ。そして米中対立が再開すればますます円高傾向に拍車がかかる可能性があり、8月¥100を切る展開もあるのではないか、と予想している。

もちろん日韓関係の影響も受け続けるだろうし、米中対立の激化の影響が加わる。

となると・・・

いみじくも安倍首相が言い続けた「リーマンショック級」というのは、実は8月、9月にやってくる可能性が高いと思う。そして年末にかけて上昇を、と目論む投資家を大きく裏切ることになる、と現時点では想定せざるを得ないと思う。

これからの相場、「買い」だけでは勝ち抜けない!?ロング/ショートで獲る以外になし!