孤立する韓国(文在寅):北朝鮮(金正恩)は親米スタンス
- 2019.08.11
- 海外情勢
「北朝鮮との経済協力で平和経済が実現すれば、一気に日本の優位に追い付くことができる」
韓国の文在寅大統領は日本の韓国ホワイト国除外の閣議決定に対し会議でこのように発言して自身の最終目標である「朝鮮半島の統一」をアピールした。
「朝鮮半島統一」は表面上、文在寅大統領の悲願であり、そのためにはあらゆる犠牲も厭わないと宣言したに等しい。
文在寅大統領の狙い
「南北統一は朝鮮民族の悲願」と文在寅大統領は、大統領就任前に中心政策として掲げています。それは文大統領の両親が脱北者であったことも、少なからず関係していると言われています。
しかし韓国国内には反対派も根強く存在しているために、「反日」を利用して世論をまとめようとしていることは明らかです。
半島統一効果
日韓の対立感情が日に日に拡大し、日本は韓国をホワイト国除外の閣議決定をすると、文大統領は「日本経済が韓国よりも優位にあるのは経済規模と内需市場だ」とし、北朝鮮と経済協力できれば「経済強国として新しい未来を開いていく」とぶち上げています。
南北統一が実現した場合、確かに輸出では同規模になり、軍事勢力は日本の自衛隊の約8倍の兵員と圧倒的に有利になり、同時に核保有国に成るわけです。
しかしGDPでは1/3以下であり、朝鮮日報は文大統領の発言に対して
北朝鮮を「技術も資源も市場もない世界最悪の貧困国家」とし、「低賃金労働力の利用以外に何ができるのか。そんな国と経済協力して世界最高の技術大国(日本)に一気に追い付くとはどんな魔法か」(zakzakより引用)
と文大統領の演説を氏を批判しました。
しかし文大統領の狙いは北朝鮮に埋蔵される豊富な地下資源にあります。
狙いは北朝鮮の豊富な地下資源
北朝鮮の地下資源に対する統計はすべて韓国のものなので、信頼性には疑問との声もあるが、現時点でも鉱業は北朝鮮の主要産業です。
ちなみに韓国の統計によれば
北朝鮮には200種類の鉱物資源が埋蔵されている。開発価値のある資源としては金、銀、銅、鉄、亜鉛、マグネサイト、石炭、石灰石、黒鉛、チタン、ニッケル、タングステン、モリブデン、コバルト、マンガン、クローム、ウランなどがある。このうち、世界10位に入る鉱物だけで7種類もある。(コリア・レポート編集長 辺真一)
ということで、韓国統計庁では2010年12月時点で6,983兆ウォン(日本円で約600兆円)とその潜在価値を見積もっている。
そのほかに大規模なレアアース鉱床や原油油床なのもあると言われています。
「日本に追いつく」発言は文在寅の本心
文在寅大統領の発言の根拠は、こうした北朝鮮の地下資源を抜きにしては考えられないものですが、仮に朝鮮半島統一が実現したとして現在の韓国の経済力と北朝鮮の地下資源があれば、朝鮮日報が報じたような批判は成り立たなくなります。
単純に経済的側面だけを考えると、韓国の技術力と北朝鮮の豊富な地下資源、そして軍事的に核保有国となれば、日本経済を脅かす存在と成る可能性は十分にあります。
従って現在の反日・抗日を煽る政治スタンスは、韓国国民の支持を集めるための、十分に意図的な姿勢であることはまず、間違いありません。
そうした韓国大統領による手法は建国以来の伝統なのです。
北朝鮮は親米スタンス
一方北朝鮮の金正恩総書記は、2018年の米朝首脳会談以前は、繰り返し核実験と弾道ミサイル発射実権を繰り返し、遂には都合11もの国連制裁決議を受けるという荒くれぶりでした。
そうした北朝鮮に対し、米国は軍事的圧力をかけて軍事介入の姿勢を見せました。
しかし2018年6月、シンガポールで歴史的な米朝首脳会談が開催され、米国は安全を保障する代わりに北朝鮮は完全なる非核化に前向きに取り組む、というあいまいな内容の共同声明を発表しました。
2019年2月にベトナムのハノイで行われた2度目の会談では、北朝鮮側が米国に対し「全面的な制裁解除」を要求したことで決裂した。これによって米朝関係は振り出しに戻ったと思われましたが、G20大阪終了直後に訪韓したトランプ大統領が板門店での電撃的な米朝会談を行うに至りました。
米国の事情の変化
そうした一連の経緯のなかで、米国は2018年から対中国政策を全面的に転換し、米中関税戦争が勃発するとともに、2018年9月のペンス副大統領演説で、米国は対中国制裁の方針を鮮明にしました。
米国にとって北朝鮮問題よりも米中対立が重要であることは言うまでもなく、これが対北朝鮮政策に微妙な変化をもたらしました。
米国の主眼は中国政策であって、北朝鮮の出方次第では対中国戦略における重要なパートナーに成り得るとトランプ政権は軌道修正したと思われます。
こうした変化が、拉致問題を含む中国・韓国・北朝鮮に対する日米共同作戦へと発展させたと考えられます。
G20で米朝最終合意
日米は中国への制裁という点で、韓国経由での中国半導体産業への輸出を制限するという共同作戦に出ています。それがG20直後の経産省による軍事転用可能な3化合物(フッ化水素、レジスト、フッ化ポリイミド)の韓国への輸出制限に繋がると同時に、トランプ大統領は電撃的に板門店で金正恩と韓国・文在寅大統領抜きで会談しています。
この席で恐らく米朝双方のスタンスを確認したものと思われます。
つまり米国は北朝鮮が核技術の全面放棄を要求しない代わりに、段階的に制裁を緩和して米国資本主導の経済発展を実現すると言うものでしょう。そして拉致問題も解決する代わりに地下資源開発で日本も協力するというディールを行ったものと見られます。
金正恩は韓国と統一して韓国経済に主導権を握られるなら、独自の資本主義的発展を得らんだと思われます。その後の米朝関係を見れば、ほぼこの通りの推移であったと考えるのが妥当です。
北朝鮮のミサイル発射実験
今月に入り開始された米韓合同軍事演習に対し、抗議の名目で北朝鮮は連日のようにミサイル発射を繰り返しています。従来の米朝関係ではとても容認されない北朝鮮の行動ですが、トランプ大統領は「米国に届かないものは干渉しない」という方針を打ち出しました。
しかしトランプ大統領にあてた金正恩の親書で「軍事演習が終了すれば止める」と謝罪しています。
孤立する韓国
既に北朝鮮・金正恩総書記は米国寄りのスタンスを決めたと言っても過言ではありませんが、依然として韓国の文在寅大統領は、反日・抗日的言動を繰り返し、北との経済協力を打ちだしています。
しかし徐々にこの愚行に、韓国の国民も気付き始めているのです。
GSOMIA破棄なら破滅
韓国は2016年、日韓で締結したGSOMIA(軍事情報包括保護協定)の破棄を、日本の貿易管理変更に対する報復措置として持ち出しています。
しかしこの協定は、実質的には日米韓の軍事情報協定であって、日本が米国とGSOMIAを締結している以上、韓国は実質的に米韓同盟の破棄に等しい結果をもたらすことを米国から警告を受けることになりました。
つまり、感情的になって日韓GSOMIAを一方的に破棄するようなことになれば、韓国は完全に日米韓の同盟関係から孤立すると言うことになり、韓国国内に投資された海外資本のキャピタルフライトを引き起こすでしょう。
現時点で韓国ウォンが1200を上回る水準を維持している状況は、この懸念によってもたらされていると考えうべきです。
日韓和解以外に韓国の選択肢はない
日本が韓国に輸出制限に等しい管理を決断したことは、明らかに日米の共同作戦の一環です。なので、仮に文在寅大統領がそのことを無視して、半島統一に突き進む様なことになれば、韓国経済は破綻に等しい状況に陥ると思われます。
従って韓国の現状は、半島統一は金正恩が拒否し、日韓関係は反日・抗日で悪化し、中国もまた全面的に頼れない状況になって、国際的には完全に孤立した状況です。
この状況を打開する手段は唯一、日本に対する日韓基本条約・日韓請求権協定順守の誓約をするしかないのです。
北朝鮮は統一を望んでいない
自国経済の立ち遅れを自覚する金正恩が、経済で太刀打ちできない韓国主体で統一することを望む可能性は限りなくゼロに等しいわけです。
にもかかわらず文在寅大統領は、自らの理想を追い求める現代のドン・キ・ホーテです。
仮に南北統一へ向けて合意したとしても、その瞬間から内戦状態に突入するという専門家も少なくありません。
光復節演説で韓国の運命が決まる
8月15日は韓国では日本の統治が終了し、独立を果たしたとされる光復節です。ここで文在寅大統領は、南北経済協力により打倒日本という自身の夢を強調した演説を行うものと思われます。
しかし、恐らくこの日を境にして韓国の世論は分断されるのではないか、と思います。そして次第に文在寅大統領は追い込まれてゆくのではないか?と予想します。
韓国国民とて、今の韓国が危機的状況であり、国際的に孤立しているということを薄々感じているはずです。
それでもなお、文在寅大統領は韓国を完全に孤立させ、破滅に追い込むような政策を続けるかどうか・・・光復節の演説次第ということになりそうです。
-
前の記事
【あいちトリエンナーレ2019】の根本的問題点を指摘する 2019.08.11
-
次の記事
なぜ北朝鮮(金正恩)は次々にミサイル発射するのか? 2019.08.12