株・それでも日本市場は暴落する
- 2019.09.21
- 国内情勢
8月以降順調に反転上昇を続ける日本株だが・・・このトレンドは、米国以外に軒並み経済減速している日本の貿易相手国の事情や、世界的な中銀の金融緩和傾向の中、消費税増税を敢行するということを、海外投資家がネガティブ視した結果、前例のない売り玉を積み上げてしまったことへの、一部巻き返しが発生していることが原因だ。
特に消費税増税という金融引き締め政策を行う日本政府を、クレージーと批判している声も大いに聞かれ、需給の極端な偏りに対し、一部修正が発生していると見るべきだ。
戻りは最長でも10月即位礼正殿の儀まで
現在の株式市場の懸念要因は、国内要因は当然消費税増税による消費の落ち込みとなるが、海外要因では、イラン情勢と米中対立、と言うことに尽きる。
イランがサウジアラビアの石油施設を攻撃したことで、原油価格は急騰した後、早期復旧と備蓄放出宣言によって落ち着きを取り戻したものの、攻撃前よりも10%上昇したまま、今後の懸念を織り込みつつある。
これによって日本経済は消費税増税にもましてガソリン価格の高騰や、冬に向かっては灯油の高騰など、そして石油製品の値上がり等、非常に懸念すべき状況となっている。消費税増税プラス石油製品の値上がりは国内経済にとって大打撃を与えかねない。
また、中国や韓国の経済先行きを考慮すれば、この先日本株が順調に上昇することなど、単に夢物語にすぎないのではないか?と思われる。従って日本市場の上昇は、そろそろ限界に近付いていて、もみ合いに突入し消費税増税後の消費を織り込む形になるのではないか?ということで、この先10月22日の即位礼正殿の儀まではまず持たないだろう。
米中対立本格化
現在中国経済は米中貿易戦争の影響もあって、極めて深刻な状況に陥っている。概略で言えば、豚コレラと飼料不足の影響で、主要食材である豚肉がすでに15%程度値上がりを見せる半面、他部門は軒並みマイナスで推移するというスタグフレーションの状況に陥っている。
しかも、外貨準備の急激な低下とドル調達コストの上昇によって、国際収支の悪化に歯止めがかからず、また多量の在庫を抱え、雇用は急激に悪化している。そして中国の主要銀行の経営悪化が表面化しつつあり、7月以降経済状況は急激に悪化し始めている。
そんな中、一部の報道では米中交渉の一部合意、暫定合意に対する期待感も出たが、トランプ大統領は、オーストラリア首相との共同会見で「貿易を巡り対立する中国と部分的な合意を結びたいとは考えていない」と発言し、米中対立が来年の大統領選挙に影響しないと判断し、いよいよ安全保障問題での本格制裁に腹を固めたと思われる。
中東(イラン ー サウジ・イスラエル)紛争
日本経済にとって、本来最も懸念すべきは、中東での紛争が油断に繋がるか、という問題のはずで、現実にホルムズ海峡で日本のタンカーが攻撃を受けていることを考えると、もっとも懸念すべき事項だ。
そしてイランは、巡航ミサイル20数発と自爆型ドローンによってサウジアラムコの石油施設を攻撃した。これに使われた巡航ミサイルとドローンはイラン製であることが既に判明していて、イランが主張するようにイエメンのフーシ派の仕業(犯行声明を出した)であっても、革命防衛隊の支援を受けている以上、国際社会はイラン関与を断定する。
そして、現時点での情報では、これらの発射起点はサウジ北側のイランとイラクの国境付近のイラン領内であるということで、イランは言い訳の余地がないし、当然米国はこの情報を確定しているだろう。
これに対し、トランプ大統領は、イラン中銀と政府系ファンドに前例のない厳しい経済制裁をおこなったわけで、一連の経緯から中東が紛争状態に突入する可能性は極めて高まった。
韓国崩壊
韓国の文在寅政権のよる、反日を隠れ蓑にした社会主義化・共産主義化が着々と進められていて、既に政府機関の主要ポストはそうした左派勢力によって占められている。そして、そうした勢力は地方議会にまで逡巡いSていて、日本製品の不買条例や戦犯企業指定とエスカレートし始めた。
これに唯一抵抗している国家権力が検察で、チョ・グクの法相任命と合わせて、反共の最後の戦いが繰り広げられている。しかし、既に統治機構そのものが完全に左派によって占められている現状を考えると、韓国の社会主義化・共産主義化は止められない可能性が濃厚となった。
仮にそうなれば、在韓米軍の撤退や海外資本のキャピタルフライトが起り、韓国経済は壊滅的となるはずで、日本企業はそうした事態を想定した行動が必要になる。
内需を無視した経済政策
海外の情勢が極めて厳しい状況になりつつあるにも関わらず、安倍政権は経済的な対策をほとんど実行していない。日本経済の貿易依存度は27%あまりで、63%は内需に依存している。従って海外有事となれば、内需頼りとならざるを得ないわけで、その内需に対して「消費税増税」という引き締め策を行うこと自体、異常である。
消費税増税
いよいよ10月1日より、消費税率が10%となるが、これに対し財務省は「増税の悪影響はない」と正式にコメントしている。政治がこれを鵜呑みにしたのかどうかは分からないが、原油価格高騰の可能性を秘めた時期、今回の増税は極めて不適当な選択となる可能性が極めて高い。
日銀は無策の権化
こうした世界情勢下で消費税増税が行われることに対し、日銀は9月の政策決定会合で従来政策の継続を発表した。これに先立ちEUはマイナス金利の深押しと量的緩和を発表し、好景気で独走状態のFRBでさえ、連続して利下げを行っているにもかかわらず、無策な日銀が通用するはずがない。
しかし残念なことに現在の審議委員からそうした声は聞かれなかった。このことはつまり、日銀が財務省と同調したスタンスを取っているということを意味する。
円高の嵐が来る
日本市場の最大要因である為替(ドル円)は、¥105台を一瞬付けた後に反転し、¥108をクリアした水準にある。しかし、トランプ大統領の「中国と部分合意をするつもりはない」という発言で、米中合意期待が剥落した。
そうなると今後はドルーユーロー円の金融政策の違いによるレート是正へと回帰することは確実で、日銀が現状維持を表明したことが仇になって再び円高方向となるのは、容易に想像できる。
しかし一旦そうなれば、前回の¥105台を軽く突破する確率は非常に高い。
夢を見れない日本株
こうした状況を考えれば、今後の日本株で夢を見ることは無理そうだ。そして余りにも安倍政権の経済無策が、日本経済を追い込むことはほぼ確実である。
現在のポジション訂正が終了すれば、日本株が上昇する要素はほとんど見いだせない。
そもそも日本の貿易相手国は中国21%、米国15%、ASEAN15%、EU12%、そして韓国6%、香港5%であって、現時点で健全と思われるのは米国とASEAN諸国だけである。
そして内需の引き締め策ということで、現時点での日本株はこうした状況を全く織り込んではいないのだ。
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