関電役員の金品受領問題に見る電力事業の暗部

関電役員の金品受領問題に見る電力事業の暗部

いまさら関電の金品受領問題を騒いでいるというのも、いかにも日本らしいというか・・・。すでに原子力発電が開始されて以来、「地元のコンセンサスはカネ」という公式はなかば常識となっているわけだが、それを政治絡みとして見逃してきた、国税庁にも大きな問題がある。

そもそも、原発には毎年国費が約1兆円投入されてきた。様々な補助金であったり、研究開発費の名目だったりする補助事業に約5000億円、そして施設費補助の名目で約5000億円が湯水のように投入されてきたわけだが、その使途が追及されることはまずなかった。

そうした背景があり、もちろん新聞やTV等のメディアはそれを十分に承知していて常に事実を隠蔽してきた歴史がある。言わば原発とカネの問題はアンタッチャブルなのだ。

原発立地の自治体や原発関連の業者等々、日本中カネにまみれてる。とにかく原発は電力会社も地元もカネになるのだ。

関電と森山元助役

関西電力は、同社の役員が高浜原発の立地する福井県高浜町の森山元助役から、合計3億2千万円の金品を受領していたと発表した。これは約1年前に国税庁から指摘された案件で「違法性がない」と自主的に判断し公表を見送っていた、と言い訳をしていた。

しかし、違法性のあるなしにかかわらず贈与税納税の義務は生じる。そして納税すれば金品の受領を認めることになり、公表されると「職務に関し、不正の請託(せいたく)を受けて、財産上の利益を収受したり、要求したりした場合に処罰する」-と規定する会社法の収賄罪に問われる可能性や、株主代表訴訟さらには特別背任罪に発展する可能性もあるために、自ら公表するに至ったという解釈で正解だろう。

関電は昨年国税庁の税務調査が入ったとき、内部調査委員会を立ち上げ対応しているが、国税側も一部所得と認定し、一部の幹部は納税の修正申告を済ませている。結局公表することはなかったが、既にこれら金品の受領を所得と認めているのだ。

一方高浜長の森山栄治元助役に関して当時の同町の町長は「どちらが町長か分からない」ととぼけた発言をしていたが、助役の任命権は町長にある以上、一蓮托生の部分があることは確実と見るべき。

その森山元助役は今年3月に死去しているため「死人に口なし」なのだ。

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ただの老人が関電に経営に影響力?

森山元助役は当然のことながら高浜原発の改修工事等の発注に口添えをして、さらに自身や親族の関連会社へ原発マネーを自在に還流させ、暴利を得ていた。

しかし、自身の財産を増やすと言うよりは、それら原発マネーの流れを差配できる地元の大物、という名誉を欲していたと言われる。

だがそれにしても、これまでに口利きによって以来業者に100億円以上の工事が発注されていたとされ、地元では「天皇」と呼ばれていた森山元助役は、なぜそこまで関電に対して強い影響力を持ったのか?

森山元助役は以前同和問題の運動家であったとされる。電力会社は特に同和対応に関し苦心してきたという背景があり、さらに原発建設ともなれば、それこそ地元のコンセンサスは唯では得られない。

そうした機会では必ず同和問題や、反社会勢力等への対応に迫られ、政治家や地元の権力者などを巻きこむという表面化されることのない背景が存在する。

そして結果は、湯水のごとく湧きでるかのような原発補助金による懐柔工作ということになる。

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原発立地地域に足を踏み入れると町の景色が一変する。日本中の原発立地を来るまで走ると、他の市町村とは景色が変わるのだ。しかし地元自治体への配慮?は住民を納得させるための表面上の配慮の一部に過ぎない。

3.11原発事故以来商売繁盛?

2011年の3.11東北大震災によって東京電力福島第一原発が、未曾有の事故を引き起こした。そして同時に日本中の原発が稼働を停止し、原子力安全委員会によって新たな耐震基準が示され、電力各社は原発の再稼働に向かって邁進している。

これだけで、日本中の原発立地地域が、原発マネーによってカネにまみれている姿は想像に難くない。

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原発は、「反対すればカネになる」と言われる。しかし、これは原発に限った話でもなく、高度成長によって日本が戦後復興から立ち直るプロセスでは、あらゆる公共事業に関して「反対すればカネになる」図式が繰り広げられてきた。

現在でも、沖縄の米軍基地問題もそうした側面があることは否めないし、また新たな同和問題とされるアイヌ問題も出てきた。

安倍政権は米軍基地問題でさらなる利益誘導を目論む沖縄に対し苦慮しているし、第二の同和問題化を防止するために早々の新法を立法をアイヌ問題を封じ込めたとされる。

ここ数年、日本中の原発立地地域では裏でジャブジャブの原発マネーがうごめいている。しかし、これからはそれどころではない状況が、訪れようとしている。

原発テロ対策と北朝鮮ミサイル

夏前に再稼働と廃炉で揺れる東京電力柏崎刈羽原発を見た。広大な敷地には二重に高圧電力の流れるフェンスが有刺鉄線とともに張り巡らされ、無数の監視カメラとスピーカが設置されていた。外部侵入を防ぐためである。

しかし、ドローンによる侵入などに対しては無防備であり、また本質的に北朝鮮のミサイル攻撃に関しては打つ手がない状況で、日本を取り巻く情勢を考慮すれば、今後本格的に対策を講じなければならない課題であることは明白だ。

そしてそのことが、また新たな利権を生み出し、対策マネーが湯水のごとく還流することになる。

不謹慎ではあるが、3.11福島第一原発の事故によって、ほくそ笑んでいる所謂原発ゴロは日本中に存在するわけで、関電の不祥事はとてつもなく大きな氷山のごく一部が表面化したに過ぎない。

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電力各社の姿勢が問われている

国費であるがゆえに、また電力会社は電力料金に乗せればよいという安易な経営を行うがゆえに、さらには太陽光発電など再生可能エネルギーを電力料金で負担するという大いなる矛盾が正当化されるような、極めて不公正な電力行政であるがゆえに、この問題は延々に続くだろう。

真夏の猛暑で、政府やTVでは熱中症対策を連日喧騒している。年金で細々と暮らす老人に対し、エアコンを切らないように、とメッセージを出すのだが、その裏で電力料金の値上げを何度繰り返していることか。

熱中症で亡くなる老人の中には、電力料金が支払えないと言って、あえてエアコンを付けないで我慢している人が多いという実態を全く考慮していない。

真夏に地球温暖化と称して猛暑日になるのだとすれば、老人に対し熱中症対策費を支給するか、電力会社が老人世帯を指定して割引制度を設定すれば、回避できるはず。

片やジャブジャブの原発マネーが乱舞する一方で、電力料金の高騰は弱者の生活を直撃しているのだ。

そうした社会情勢からしても今回の関電金品受領問題は、電力各社はこうした不祥事を断固見直し、拒否する姿勢が問われる案件である。

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