FOMCカーニバル(祭り)絶賛開催中!だが・・・
- 2022.05.05
- トレード雑感
FOMCの政策発表を受け、というよりもパウエル議長の会見の内容をポジティブと捉えた買いが一斉に集まってきて、マーケットはさながら「FOMCカーニバル(祭り)」の様相になった。これを弱気相場にありがちな「綾戻し」と捉えるか否かは各人のスタンスだけれども、まるで「底打ちは完了」と言いたげな大幅上昇になったのは事実だよね。
ダウ:△$932(△2.81%)
NASDAQ:△401p(△3.19%)
S&P500:△124p(△2.99%)
SOX:△118p(△3.90%)
日経平均CFD:¥27,431(△¥613)
米国市場の習性というかパターンとして、イベントまでは懸念で下押しするけれど、相当悪い状況であってもイベント通過をポジティブと捉える。最悪の想定に届かなければ、すべてポジティブというわけだ。実際、FOMCの内容は、
0.500pの利上げを今後も継続
6月475億ドルのQT開始、7月、8月、9月と徐々に増額し950億ドル(9月?)にする
という金融引き締めスケジュールを正式に示唆するもので、内容からすると決して甘いものではないはずなのだが、6月0.750pの利上げを否定したこと、ここにきて究極のフォワードガイダンス的な見通しを示したことが、ポジティブサプライズだったらしい。
そうした流れは、まさに米国市場のパターンにのっとった動きと言えて、そうなるとたちまち「カーニバル(祭り)」になるのが米国市場、と言うことかもしれないね。
FRBはさらに後手を打つのか?
2021年を思い出すと、この時期から(6月)インフレの兆候が出始めて、月を追うごとに加速して行ったという経緯の中、「インフレは(新型コロナの影響でサプライチェーンの混乱による)一時的なもの」として、利上げも緩和のテーパリングもしなかった。
しかし労働市場がタイトになってしまった上に、待てど暮らせどサプライチェーンの混乱は収まらず、年末までには収束としていた予想を全否定しなければならない状況に陥った。それでも今年の3月まで、インフレが(前年同月比)8.5%になってようやく最後の緩和を終了したという有様。2月にはロシアによるウクライナ侵攻が開始されていたにも関わらず、である。
2021年6月以降2022年3月までの10カ月間の油断が、どう見ても致命的であることは否定できないし、容易には取り返しのつかない状況をもたらしたという事実をして、マーケットは6月0.750pの利上げ見通しを90%以上見込んでいたわけだが・・・。
今の状況と今回のFOMCでの政策発表を受けて、イエレン財務長官は「ソフトランディングは可能」として、FRBを擁護した。FRBもまた、ある程度自信をもって今回のFOMCに臨んだと思われる。その根拠は、オミクロンを脅威とはみなさず、通常の社会生活に急激に回帰しつつある米国の国内経済だと思われる。すでに欧米では新型コロナに関するあらゆる規制は撤廃されているわけで、ここにきてほぼコロナ禍以前の社会状況に戻ってきた。このことが高インフレ下にもかかわらず、活発な消費を生みつつあるのは明らかで、このタイミングで一気に利上げとBSの縮小が出来るという思惑。これから夏に向かって消費が経済を支えるという見込みの上で、積極的なフォワードガイダンスを行ったのだろう。
イエレン財務長官はこの米国経済の状況を「幸運」と形容した。
だが、仮にインフレが8.5%という高水準で高止まりするとすれば、今回のFOMCで打ち出した利上げと金融引き締めでは、インフレ鎮静化には遠く及ばない。それどころか、これまでFRBが想定していなかった出来事が次々に発生し目論見を打破してきたように、今後もまた想定外の出来事を加味する必要があるのではないか?
雇用コストの急上昇に加え、消費の活発化となると、これらはインフレ上昇圧力になる。また強まる対ロ制裁の影響で、エネルギー価格やコモディティのさらなる急上昇も十分にあり得るし、穀物に至っては来年の作付けさえままならぬ状況で、食品価格はさらに上昇の兆しが見えている。
片やそのような状況の中で、「巧妙」にインフレを制御できるのか?という疑問は払しょくできないし、FRBはさらにこの期に及んで後手を打つのか?という懸念はいささかも消えていない。
なので、楽観主義者ばかりでない株式市場では、今後も厳しい展開が続くと考える。FOMC後の株式市場を取り巻く懸念はいささかも払拭されていない。
ますます難しい日本市場の動向
米国市場のFOMCカーニバルを受けて日経平均CFDも大きく上昇し、明日の日本市場では大幅GUで寄り付きそうな気配になってきた。ただし今夜の米国市場で、意外に厳しかったFOMCを見直す動きが出る可能性もあるので、GU幅は縮小するかもしれないが・・・。
FOMCを受けて米国10年債金利は低下し、ドル円は¥128台まで突っ込んでいるけれど、今夜次第では再度円安方向に回帰する可能性も十分にある。
となると、ひとまず地合いが落ち着いたということで、このタイミングで決算期待相場に突入するということ。これは、GW前までの決算に対する見方が変わるという要素もあり、かなり厄介な相場になるのではないか?と思う。
米国市場ではほぼ決算発表を終了し、明日の雇用統計とか、11日のCPI、12日のPPIに向かう相場になるわけだが、日本市場では、決算相場の真っ最中となる・・・。
その間にEUのロシア産原油の禁輸や9日にはロシアが戦勝記念日に新たな発表をするのではないかという報道もあり、世界情勢は全く落ち着きを見せてはいないのも相場を難しくしている要因となる。
だが今後の日本株に資金流入の動きを異変として書いたけれど、この流れが継続するのか?というのも大きなポイントになってくるわけで、あまりにも変化の激しい相場を取り巻く環境の変化に、下手なポジションを建てられなくなった、と感じている。
2日に建てた売りポジはとりあえず昨夜のカーニバルで勝負がついてしまった感じがするので、明日はロスカットしてリセットしなければならないと思っています。
けれども明日1日だけで、どうこう判断できる相場でもないと思うので・・・今夜の相場展開を見てじっくりと考えることにします。
-
前の記事
金融引き締め下で見えてきた二つの異変! 2022.05.04
-
次の記事
今夜の米国市場は祭りの余韻が残るのだろうか? 2022.05.05