本音で書く相場雑感 その2(7月24日版)
- 2026.07.24
- 放言
その1では、最初なので今の相場の全体感みたいなものを書いてみたけれど、では、どうしてこんな相場、つまりはAIが相場の主役に躍り出たのか。とにかく、コンテンツ生成のためにNVIDIAのGPUがINTELやAMDのCPUよりもはるかに高性能を発揮する、というベンチマークが次々に発表されて世の中に生成AIブームが起きた2024年以来、株式市場は急激に上値追いを始めたわけだよ。
従来のネットコンテンツで行き詰まりを感じていたGAFAMは、AIこそが次代の覇権を握る唯一の道なのだ、と考え始め、アップル以外のビッグテックが一斉にAI投資を表明した途端に株式市場の様相はがらりと変わり始めた。
AIの性能を維持・発展するカギは、莫大なデータ量を確保することが重要であり、ありとあらゆるデータを集積するために巨大なデータセンター投資を始めたことで、先端GPUや先端メモリに大量の注文が殺到し、積層コンデンサ等に電子部品や光ファイバーに波及して、巨大なAI・半導体・データセンターの経済圏が形成された。
とにかく従来の常識、企業活動や投資活動の常識をはるかに凌駕した、莫大な資金を投資してデータセンターを建設し、AI開発に莫大な資金を投入して、GAFAMと言われるビッグテックが次代の覇権を握るべく一斉に動き出した。
そして唯一無二のNVIDIA GPUを10万個、100万個単位で争うように発注し、元来10万円もすれば高性能なGPUと言われていた製品価格は50倍、70倍、100倍に跳ね上がった。それだけの巨費を投じてもNVIDIA GPUを確保することがAI覇権への第一歩だという認識・・・。
その結果莫大な収益を得るに至ったNVIDIAは、自らAI投資を促進するようにAI各社に出資し、新たなデータセンター建設に出資をした。出資を受けたビッグテック各社やAI各社はその資金でさらにNVIDIAに対し大量に発注をかけるという、悪魔の資金循環取引までが当たり前の世界になった。
一般企業の投資資金が、日本の国家予算の数年分にも達するという、米国予算も凌駕するというとてつもない規模のAI投資。そのためにGAFAMではなくていつしかハイパースケーラーと呼ばれるようになったグーグル、アマゾン、メタ、マイクロソフト。そこにオラクル、スペースXが名を連ねる。
そして肝心のAIはOpenAI、アンソロピック、グーグル、xAI(スペースX)などで、先端GPUの生産はTSMC(台湾)、そして先端メモリはHBMがSKハイニクス(韓国)サムソン電子(韓国)マイクロン(米国)、NAND(フラッシュメモリ)は、キオクシア(日本)とマイクロン(米国)が爆発的な売り上げと受注を記録している。
けれどもそれらの中核に位置するのは言うまでもなくNVIDIAで、他の半導体メーカーは行列計算の技術が足りない。したがってCPUの数千倍の単純演算をこなせるGPUこそがAIには最適と言う結論で、グラフィクス専門だったNVIDIAに注文が殺到した。
また冷却技術、電気周りの装置関連、送電、発電等々、データセンター建設に関してた莫大な経済効果を生むだろうし、経済的には一つの新たな産業が誕生したようなもので、だからこそ株式市場全体の底上げ効果が大きいんだね。
けれども現時点での最大の懸念は、莫大なAI投資に対して、投資に見合うだけのマネタイズができるのか、収益が本当に上がるものなのか、ということ。これをはき違えてとらえると大きなミスをすることになる。
すでにハイパースケーラー達はあまりにも過大な投資のせいで今年のフリーキャッシュフローが底をつきかけているし、アマゾンは完全にマイナスになることが見えていて、オラクルはマイナス領域で企業存続の危機に陥っているということ。
だが全体としてはまだ十分持ちこたえられるという希望的観測を株式市場は持っているのだが・・・ここに最大の落とし穴が存在する。ハイパースケーラー各社はこれまでの莫大な投資資金を確保するためにこれも前代未聞と言える社債発行を行っているという点だ。足りない分は、と言うよりも大多数の分は社債発行で市場から資金調達をすればよい、というモデルが今までは懸念を孕みながらもなんとか機能してきた。
株価に考慮してて手元資金はまだあります、というドレッシングを決算で施している。けれどもどうやら各社の社債はこの2,3カ月下落が止まらない状況に直面しているのだ。先日上場のスペースXに関しても、社債下落の影響が株価に現れ始めたし、他のハイパースケーラーも同様傾向にある。
言ってみれば債券市場ではすでにハイパースケーラーの社債は投げ売り状態になっているわけで、と言うことは今後の資金調達は社債では賄えない可能性が濃厚となっているわけだから、ここに至ってAIは、まずは莫大なデータセンター投資が完全に行き詰まりを見せていると言っても過言ではない。
なので結論から言えば、いまはまだ株価はAI熱狂が醒めていないので何とか、と言うことだけど、債券市場ではとっくに熱は冷めていると言えるわけで、債券バブルは現時点で崩壊しているわけだ。
個人的に株価は天井を打って、完全にこれから本格的な調整局面を迎えると思うのは、債券(社債)が暴落して株価が無傷であるということは、有り得ないから。
近いうちに一気に、と言うのではなくても結構ドラスティックにハイパースケーラーの株は売られる局面になるはずと考えている。蛇足だけど、FRBが0.25Pでも利上げをすれば、一気に暴落に発展することは薄々分かっていると思うので、利上げはできないと個人的には考えているけれどね。
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