韓国はGSOMIA破棄で自滅の道を選んだ
- 2019.08.22
- 海外情勢
韓国は8月24日が期限となっていた日本とのGSOMIA(軍事情報包括保護協定)の破棄を決定し、自滅の道を選んだ。
GSOMIA(軍事情報包括保護協定)とは、2国間または複数の同盟関係において秘密軍事情報を提供し合う際に、第三国への漏洩を禁じる協定で、日本は米国、NATO、英国、フランス、オーストラリア、インド、韓国の7カ国と協定を結んでいるが、8月22日韓国は日韓GSOMIAの破棄を発表した。
日韓GSOMIAは1年自動更新の協定で、破棄する際には3ヵ月前の通告が義務付けられていて、その通告期限が8月24日に迫っている。
GSOMIAは包括協定
GSOMIAは軍事技術だけでなく包括的な戦術データ、暗号情報、高度システム統合技術等有事の際の共同作戦に必要な情報を網羅する包括協定である。
協定について韓国が情報提供に応じたのは2016年の協定締結後僅かに26件と韓国側は発表している。しかし、2018年12月の韓国海軍による海上自衛隊P1哨戒機に火器管制レーダーを照射した事件は、すでに日韓GSOMIAが形骸化していたことを物語っている。
韓国は、日韓GSOMIA提携後も自衛隊の開示要求にほとんど応じていないし、情報提供は日米韓で共有できる情報に限定されていた。
韓国は条約の意味を分かっていない
そもそも協定とは国際法上の条約である。
広義では,当事者間において成立する特殊の合意。狭義では,(1) 独占禁止法上は,自由かつ公正な競争を排除または制限する目的で同業者の間に成立する特殊の合意を意味する,(2) 国際法上では,国家,国際機構,交戦団体などの国際法主体の間の文書による合意の一形式を意味し,広義の条約に含まれるが,狭義の条約とその性質や効力は異ならない。(ブリタニカ国際大百科事典より引用)
つまり今回の日韓GSOMIA破棄は、日韓基本条約(日韓請求権並びに経済協力協定)に違反し、解決済みの請求権協定を無視した(徴用工問題などの)事実を認めず、反日姿勢を強めるために行われたとみて正解だ。
韓国は国際法の順守という基本的な国家姿勢が欠如していて、その事実(日韓基本条約違反)を決して問題化せず、国家の安全保障のための条約を「反日」という理由でいとも簡単に破棄してくる国家だった。
韓国の真意は在韓米軍の排除
韓国大統領府発表全文
韓日間の「軍事秘密情報の保護に関する協定」、すなわちGSOMIAの延長可否に関する政府の決定について発表する。
政府は韓日間GSOMIAを終了することを決定し、協定に基づき、延長の通告期限内に外交経路を通じて日本政府に通告する予定だ。
政府は、日本政府が8月2日、明確な根拠を提示せず、韓日間の信頼が損なわれ、安保上の問題が発生したという理由で「輸出貿易管理令の別表の第三国群(いわゆる「ホワイト国」リスト)」から韓国を除外したことで、両国間の安保協力環境に重大な変化を招いたと評価した。
このような状況で、政府は安保上、敏感な軍事情報交流を目的に締結した協定を継続することが、われわれの国益に合致しないと判断した。(韓国大統領府)
今回の発表では日韓GSOMIA破棄の理由を、日本の韓国ホワイト国除外としている。しかし、韓国の真の狙いは日本に対する報復だけではない。
韓国の真意は在韓米軍の排除
日韓GSOMIAが機能しなくなると言うことは、在韓米軍の軍事的行動を著しく制限する結果になる。
現在の在韓米軍の勢力は28500名で、十分な軍事作戦のためには日本からの補給が必須であって、日本からの補給を得るためには、日韓GSOMIAによって軍事情報を共有することが不可欠である。
つまり韓国は日韓GSOMIAを破棄することで、在韓米軍を孤立化させ、最終的には韓国から撤収させる意図がある。
そうすることで、中国が要求しているTHAADの撤廃を実現し、中韓関係を改善するとともに、朝鮮半島の統一を目論んでいるのは間違いない。
それが文在寅大統領の真意である。
韓国は戦勝国ではない
第二次大戦で日本がポツダム宣言を受諾し、連合国側に無条件降伏した1945年8月14日から降伏文書に署名した9月2日まで、韓国は朝鮮総督府統治下であった。
日本がポツダム宣言を受諾した後、連合国側から朝鮮総督府の業務停止命令を受け、9月6日に朝鮮独立回復運動家の呂運亨との会談で、朝鮮建国準備委員会に行政権が譲渡された。
しかし米軍司令部は9月7日に軍政移行を宣言し、朝鮮建国準備委員会への行政権譲渡を否定した。
つまり、歴史上韓国は日本の統治下にあったわけで、第二次大戦では敗戦国である。にもかかわらず、日本統治下において建設されたインフラ等すべてを日本が正式に破棄すると言う日韓基本条約は、日本にとって不平等条約そのものであった。
しかるに韓国はいつの間にか戦勝国の立場をとり、常に日本に対して過大な要求を突きつけてきた。その正当な歴史的事実および解釈は、歴代の韓国政府によって完全に否定されている。
韓国経済は瀕死の重傷
韓国は米軍のTHAAD配備による対中関係の悪化、そして米中貿易戦争によって経済的に最も影響を受けている国家であり、経済は完全に行き詰まっている。
今回のGSOMIA破棄によって1ドル1200ウォン水準まで巻き戻していた韓国ウォンは1210ウォンを超え下落した。
その背景は言うまでもなく、日本が韓国をホワイト国から除外する期限が8月27日で、28日に閣議決定された政令が施行されることだ。
つまり、それまでに韓国は、日本に対して国際法の順守を申し出る必要があった。しかし、日米韓の軍事協力の要であるGSOMIA破棄という、有り得ない方向に舵を切ってしまった。
これで、28日からのホワイト国除外は決定的になったが、さらに日本は韓国の対応次第で信用保証の解除等を行う準備を既に終えている。
韓国は日韓GSOMIA破棄で自滅の道を選んだ
韓国は、今回のGSOMIA破棄によって、日韓関係修復の糸口を完全に失うとともに、軍事的にも暗に米韓同盟関係を否定して見せた。
その結果、貿易比率が40%を超える韓国経済は、日本からの1000品目以上の輸入品に制限がかかり壊滅的な打撃を受けることになる。
また、日米韓の軍事協力を否定して見せたことで、北朝鮮および中国への対応が根本から崩れかねない状況を生み出した。
GSOMIA破棄で急落した韓国ウォンは、日本によるホワイト国除外によって暴落の危機を迎えた。
韓国は日韓GSOMIA破棄で自滅の道を歩み始めたことは確実だ。
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