トヨタ:全店全車種併売の裏にある知られたくない真実

トヨタ:全店全車種併売の裏にある知られたくない真実

日本のトップ企業であるトヨタ自動車は、「全店全車種併売」とする前代未聞のディーラー粛清に乗り出しました。

昨年11月に発表した従来の計画では2022年~2025年までと、ある程度の準備期間を設定して「全店全車種併売」へ舵を切るとする、比較的マイルドな言い回しでしたが、これを2020年春に前倒しをして行うことを決定しました。

国内自動車販売台数

日経ビジネスより引用

国内の自動車販売総数は1998年に600万台を割り込み、以来一度も回復することなく2019年にはさらに減少して数年後には恒常的に500万台を割り込む水準になると予想されています。

こうした中、国内自動車各社は販売価格の値上げを続けていて、この30年間で同クラス車種で約70%もの値上げを行っています。

しかし一方では、軽自動車の販売数量と輸入車台数が伸び、国内市場は2極分化となっています。

30年間で4割減のトヨタ

トヨタ自動車も例外ではなく、この30年間で販売台数は約40%減少しました。そして販売数量の減少を高付加価値化(値上げ)と政府のエコカー補助金によって賄ってきました。

トヨタのハイブリッドカーは初代プリウス発表以来、常に高額な補助金を受けて赤字を補てんしてきたわけですが、実際には他車種(ガソリン車)の値上げで消費者も高額負担をしているというのが実態です。

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今後さらに減少は明らか

今後国内市場は人口動態から、さらに減少することは明らかです。

自動車の対応年数を10年と仮定すると、現在45歳前後の団塊ジュニア世代の需要が、最後で以降は劇的に減少してゆきます。

トヨタの場合も団塊の世代の需要期であった1990年がピークであったにも関わらず、同年代となった団塊ジュニア世代には売れません。

その理由は、この30年間日本経済(GDP)がまったく拡大しなかったにも関わらず、高価格戦略を続けていたことに起因するのは明白なのです。

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世界自動車販売台数

一方世界の自動車需要はリーマンショック後、順調に拡大を続けてきましたが、その主要因が中国の需要の伸びであることは明白で、それに伴ってアジア諸国でも販売数量は伸びています。

しかし、欧州や米国ではすでに自動車販売は頭打ちとなっていて、大きな販売数量の伸びは期待できません。

2019年に急減速?

2018年中頃から米中貿易戦争が勃発し、2019年には世界で大幅な販売数の低下が予想されています。

中国では既に昨年比で二桁に迫る販売数量の減少が見られていますが、世界的にも約5%~7%の販売減少になるという予想が出ています。

中国経済の影響が過大

米中貿易戦争は、米国の中国に対する構造改革要求でさらに激しさを増しています。2019年に入ってから中国では輸入比率の高いガソリン車の販売を意図的に減少させ、自国生産が可能なEVの販売促進を加速しています。

しかし、自治体の政策的な購入のために、中国は世界のEV需要の80%を占めると言われていて、日本メーカーも無視できない市場であると言うことで、米中対立のリスクを覚悟しながらさらに中国投資を拡大しているというのが実態です。

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つまり、日本の自動車メーカーは、たとえどのような環境の変化があろうと、中国へ売るしか生き残る道は残されていないわけです。

しかし、中国経済は米中対立の激化によって急激に衰えており、膨大な債務のために事実上は崩壊していると言われています。にもかかわらずトヨタは、中国のEV投資を加速させているわけです。

トヨタのみならず年々中国比率を引き上げている日本のメーカーは、極めて危険な状況に陥る可能性が高いわけです。

トヨタ流の販売店粛清

そんな中、トヨタは現在約280社、5000店舗ある国内販売店網の前代未聞のリストラに乗り出しました。この販売店の9割以上が地場資本の独立系販売会社です。

従来は過当競争を防止する目的で「販売チャネルを切り分ける手法」を取ってきました。「販売のトヨタ」と言われる切り分け手法は他社にまで影響を及ぼして来たわけですが、そのトヨタが「全店全車種併売」に乗り出して、従来手法を180度転換するということは、つまり、他社に広がることは確実です。

トヨタは「直営の東京都下の4系列を一本化した結果、販売台数が伸びたので大丈夫」と各販売店向けに説明をしています。

しかし、過当競争になれば、力のある販売店が勝つという弱肉強食の競争原理が働くわけで、トヨタが労せずして販売店の淘汰が起こります。

その結果数年後には、淘汰が本格化して販売店は想像以上に集約されてしまいます。

これは販売店の経営を根本から変えてしまう程の、極めて強引な粛清です。ミサワホーム吸収で見せたような卑劣な手法をトヨタは遠慮なく使う企業なのです。

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消費税率が上昇すると国内販売しない方が儲かる?

実際にこうした極めて強引な手法を使っても、恐らくトヨタ自体にはほとんど傷がつくことはないのです。その理由こそ、今議論されている消費税増税にあるわけです。

言うまでもなく輸出企業は、その輸出額に応じて輸出還付を受けています。

トヨタは日本最大の輸出還付受け取り企業で、消費税が8%の現状水準で3633億円(2015年度)を還付されていますが、10%になると5000億円を超えると言われています。

この額は2019年3月期の純利益(1兆8828億円)ですから、そのうちの5000億円と考えると消費税還付だけで26.5%を占めると言う膨大な金額になります。

国内の販売数量が伸びなければ、輸出に回す。それだけで、純利益率6%台の決算ですから、増益に転化することが可能です。

その陰で、何人の正規労働者が職を失うのでしょうね。

日本経済は圧倒的速度で衰退へ

日本のリーディングカンパニーであるトヨタでさえ、この有り様なのですから他社は推して知るべきでしょう。

消費税増税は某国の悪行と書いてきましたが、まさにこの部分だけを抽出しても十分に証明することができます。しかるに経団連の主要企業であるトヨタは、こうした事情から消費税増税に反対しないのです。

もしも、今年消費税増税が引き上げられたなら、日本経済は世界に類を見ない程の圧倒的加速で衰退へ向かい始めるでしょう。

少なくとも東京五輪が開催される2020年の前半までは、ヨロヨロとしながらも堪えるかもしれません。しかし、その後は・・・。

いや、このまま米中対立が本格化すれば、日本企業はそこまで業績を維持することは不可能でしょう。

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株式投資で資産形成?

先日、金融庁は「年金の他に老後2000万円必要」とする報告書を出しました。

その目的は資産形成のためにNISAを活用させることでした。

しかし、こうした日本経済の状況を考えるに、NISAで資産形成がいかに根拠のないことかが分かります。個人投資家は皆、株式投資で資産形成することがいかに難しいことであるか、すでに実感しているわけです。

この日本のトップ企業であるトヨタのやろうとしていることを見ても、少なくとも国内経済は衰退に向かうのは明らかです。ならば、世界的な自動車販売減速のなか、中国に突っ込んでゆく輸出企業が買えるのか?ということになります。

だからこそ、短期投資での資産形成をテーマにこのサイトを立ち上げているのです。

株式投資で効率よく短期間で資産形成をすることがいかに重要か、またロング/ショートの手法がいかに有効であるか、これからも記事にしてゆくつもりです。

 

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