空売りは本当に危険なのか?

空売りは本当に危険なのか?

巷間個人投資家の9割は「負け組」または「負け組予備軍」と言われています。そのことについては様々な意見がありますが、デイトトレード、ワンナイト、スイングトレード等短期投資の場合には、非常に確かなことがあります。

それは「負け組比率」と「買いだけ(空売りしない)の投資家の比率」が、ほぼピッタリと一致すると思われることです。つまり8割~9割の個人投資家が「負け組」で、個人投資家の8割が買いだけで株式投資をしているという事実がほぼ一致しているということですね。

少なくともこのことから、空売りしなければ勝てないと十分に主張できるのです。

しかし、なぜか「空売りは危険」という意見が絶えません。

本当に空売りは危険なのか?

空売りは危険という意見

「空売りは危険」という記事を読んでみると「空売りしたら材料が出て4回連続ストップ高を喰らって退場」という実にくだらない意見でした。そして必ず「理論的に株価には下限(株価¥0-)があるけれど、上限はないから」という珍妙な言い訳がついてます。

まったく論理破綻してますよ。買いだって4回連続ストップ安することもあるわけですから。

¥1000の株を100株買った場合と空売りした場合を考えましょうか。もちろん上昇でも下落でも利益率は変わりません。では何が変わるか?というと、株価が+100%(2倍)になる確率と-100%(ゼロ)になる確率に違いがある。

つまり株価はゼロになることはほぼ有り得ないことですが、2倍になるのは容易だ、という理屈です。一見すると(株価が2倍になることのほうが容易であることから)凄く怖いことのようですが、そもそも投資家はそうなる前に行動します。

このように滅多に有り得ないことを誇張して主張するのですね。

買いは家まで売りは命まで

上記のように理論的に「買い」はリスクが限定的だけれど、「空売り」は無限大であることからして、こうした言いまわしが格言のようになったわけですね。

しかし、空売りには空売りの作法がありますから、その作法に従って空売りを仕掛ければ、こんなことはまず起こり得ないわけです。

株式市場が現在のように近代化する以前、投機市場であった頃に通用した格言かもしれませんが、空売りしてはいけない銘柄を心得ていれば、決して起こらないとこですね。

危険の根拠がわからない

買いであっても、薄い銘柄を買い上がったりすると、手も足も出せないポジションを建ててしまうこともあるわけですから、空売りが買いと比べて危険な行為という根拠は、説得力に欠けるのです。

従って「空売りは危険である」と解説した記事に、説得力がある合理的な説明はほとんど見られないわけです。

それはつまり、空売りは特段危険な投資法ではない、ということを物語っています。

リスクという観点では買いも売りも同じ

現実的なリスクという観点では、買い建てと売り建てのリスクは同じと言ってもいいわけです。そして実際に株式投資に臨む個人投資家のレベルも年々上がってきていますので、「空売りは危険」という主張は、陳腐なものになりつつあるのではないでしょうか?

そしてリスクは同じと書きましたが、空売りには有利な点もあります。たとえば個別銘柄の取引シグナルとしての日経平均先物との連動性の良さのお陰で、少しでも安く買いたいという買いでのエントリーよりも、格段にエントリーがしやすいという部分など、その一例だと思います。

相場の主導権を握る海外勢は、先物連動で現物を売ってくるからですね。

また、需給の変わりめを捉えやすいと言うのも魅力の一つです。

以上の点から、空売りリスクが買いよりも高いとする根拠はありません。

なぜ空売りは賛否両論なのか?

「空売り」は昔からあるれっきとした投資手法なのです。にもかかわらず、空売りに対しては今も昔も否定的な雰囲気を作り出されています。

空売りさせたくない勢力の存在

株式投資のアナリストや評論家は、基本的には「買い」がベースとなった理論や解説を展開しています。買いベースでのエントリーポイントや、株価の位置によって利食いポイントを解説したり、株価の推移で需給の解説をしますが、「空売りベース」での解説はほとんどしません。

基本的に株式投資とは、経済成長に比例した右肩上がりの性質のものだから、という理由付けもされていますが、中・長期での投資の理論であって、現在の主流である短期投資には、まったく当てはまりません。

にもかかわらず、株式投資全般に「買いベース」の情報が溢れているわけです。

空売りは個人投資家にとってブルーオーシャン

個人投資家で空売りを実践している投資家は約2割程度と言われていますが、国内の機関投資家やファンド、企業などもほとんど買いだけの投資法です。

しかし、市場のボラティリティを担う内外短期投資筋(ヘッジファンドはもちろんですが、証券のディーラーや投資銀行のディーリングなど)は、ロング(買)/ショート(空売)手法を駆使して利益を叩きだしています。

その場合、値動きが読みやすく、ポジションの立てやすい空売りは、大事な「飯の種」なのですね。かつて長い間野村証券をはじめ中堅証券に籍を置いていた師匠は、

「プロは空売りで利益の8割を叩きだす」

と言っていました。

リーマンショック時のゴールドマンサックスの伝説

100年に1度の金融危機と言われたリーマンショックが起こったのは2008年9月でした。そしてそれから株価の暴落がはじまり、ほぼすべての機関投資家、金融機関、投資銀行が莫大な損失を出しました。

しかしその中にあって、米国のゴールドマン・サックスは、2009年当初から膨大なショートポジションを建てたことで、唯一リーマンショックの株式ディーリングで無傷であったことが、約1年後に分かったわけです。

米国最大の投資銀行であるわけですから、株式の保有も莫大な金額でした。しかし、一気に売りポジションに展開し損失をすべてカバーしてしまったのです。

空売りはプロの手法?

恐らく、株式市場では空売りは昔も今も、プロがディーリングで利益を出すための、極めて有効な手法なのだと思います。

ですから意図的ではないのかもしれませんが、「プロの仕事場を荒されたくない」という意識があるのかもしれません。事実、現代の空売り手法は、先物や為替をかませて裁定取引で差額を儲ける手法や個別銘柄で値幅を取る手法が主流だからです。

その場合、ノイズ(個人投資家の取引)は少ない方が断然やりやすいわけですね。

現代の株式投資に空売りは不可欠

個人投資家も空売りすべき

株式投資である以上、リスクを取ることは当たり前です。そしてそのリスクが非常にまれな極端に振れるケースは、そうそう起きるものではありません。あのリーマンショックという金融危機でさえ、元FRB議長のグリーンスパンは「100年に1度」と形容しました。

上昇トレンドであれ下落トレンドであれ、株価は上下を繰り返すもの。投資家は株価が大きく上昇すれば売って利益を出すし、大きく下落すれば買い戻して利益を出します。

従って「買い」だけで差額を狙う手法に加え、投資機会が2倍になる空売りをすることは、個人投資家が勝ち組に回るための必須の投資手法だと思います。

ロング/ショートは合理的戦法

プロが勝てて個人投資家が負ける・・・これを考えると最も合理的な判断はつまり・・・

「プロは勝てる手法を使い個人投資家は負ける手法を使っている」

という結論に到達します。

もちろん情報量や資金量の差というアドバンテージがプロにはあるのだと思いますが、それでも個人投資家は比率的に負け過ぎで他に説明がつかないのです。

空売りは、しっかりと銘柄を選び、作法通りにやればリスクは買いと同等です。

 

現代の株式投資に空売りは不可避です!勝ち組に回るという強い意志があるなら、迷わず短時間で効率よく身につく方法を選択すべきです。

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