ウクライナゲートとソフトバンクGショック:日本株を読め!【9.30~10.4】
- 2019.09.29
- トレード予想
9月27日(金)日経平均引値 ¥21,878(前週予想・ナシ)日経平均CFD ¥21,760
現在の日米相場地合
ウクライナゲート
トランプ政権が揺れている。政権の内部告発によって表面化したウクライナ・ゼレンスキー大統領に対するトランプ大統領の圧力ともとれる電話会談の内容に、民主党が噛みついた格好。
トランプ大統領はコメディアンから突如大統領に当選してしまったゼレンスキーに対し、民主党のバイデン(元副大統領)の息子がウクライナのガス会社の役員に名を連ねた問題に付き、米国の支援の条件として、バイデン親子の関与を調査するように依頼したとされる。
民主党のバイデンは、米国のチョ・グクと言われるほど叩けば埃の出る人で、対立候補がバイデンならば楽勝とトランプ大統領は考えた。そして早々にバイデン潰しの材料を収拾しようとしていたことは間違いない。
しかしこれは明らかに大統領権限の乱用によって、他国の選挙介入を示唆する行為ということで、米国ではウクライナゲートに発展してしまった。
これに民主党ペロシ下院議長としては、2020年大統領選挙でバイデンを民主党候補にはしたくなかったという事情が絡む。当然、バイデンになれば(数々のスキャンダルや親中関係のために)勝ち目はないわけで、ならばウォーレンで行きたかったという思惑。
とにかく左派であっても親中候補となれば、厳しい対中政策を要求している民主党としてダブルスタンダードに成らざるを得ないからだ。
トランプ大統領の弱気
5月から始まった北朝鮮の中距離弾頭ミサイル発射、そしてイランによるサイジ石油施設攻撃に対し、トランプ大統領は経済制裁によって対応するとした姿勢は、政権のボルトン国家安全保障担当補佐官と対立し、遂にはタカ派のボルトンを解任してしまった。
これが対立する各国に「武力を行使できない米国」という確信的な印象をもたらしたことは否めない。つまり、外交や2国間交渉において軍事力を背景とする強気の交渉が出来なくなってしまったと受け取られた可能性がある。
このことは、さらにミサイル発射を行った北朝鮮や、国連総会で交渉のテーブルに付かなかったイラン、そしてますます尖閣周辺で威嚇行動をとる人民解放軍を見ても明らかで、さらにイランは再度サウジまたはUAEに対する攻撃の可能性が非常に高い。
トランプ大統領は、外交交渉における米国のプレゼンスを急速に弱めてしまった。
さらには、来年の大統領選挙を気にするあまり、株価に対してネガティブな政策を打てなくなっていることも問題で、イランの軍事施設、石油施設を報復攻撃すれば、イラン原油の依存度が極めて高い中国を一気に追い詰めることができるという米中対立最大のチャンスを見逃しつつある。
消費税増税の混乱
そうした状況のなかで、日本は10月1日から消費税増税を強行することになるわけだが、軽減是率を巡る混乱は日に日に広がりつつあり、すでに消費に対する悪影響が出始めている。
今回の増税に対し、安倍政権はキャッシュレス化の推進を目標に掲げているが、このことは中小事業者に対し、また地方に対し、極めて厳しいもので、格差は拡大するばかりだ。そして軽減税率、キャッシュレス化によるポイント還元は、CPIの上昇を頭から抑え込んでしまう。
そうした状況下で、中東有事となれば、日本経済は壊滅的とも言える打撃を受けかねない。現在の日本は、原油輸入に対して余りにも無防備そのもので、イランによる中東有事だけでなく、シーレーンを完全に中国に押さえられつつある状況に対しても全く対応できていない。
現在の安倍政権はまさに無策そのものなのだ。
ソフトバンクG・ショック?
さて米国は、対中政策においていよいよ第二フェイズ突入の準備を着々と進めている。まず中国に人権・宗教弾圧に関して、10月上旬と言われているペンス副大統領演説で徹底的に批判すると思われ、それが第二フェイズ突入の合図となるだろう。
そうしたなか、国防権限法の発動準備の一環として、米上場の中国株廃止を検討し始めた。これによって最も影響を受けるのは日本のソフトバンクGであることは明らかだ。
日米の株式市場の楽観が、週明けにどこまで反応するのかは未知数だが、通常こうした流れは、株価急落を誘発するものだが・・・。
米国ダウ日足チャート・テクニカル
米国ダウの株価の推移は、米中貿易戦争の緊張が和らぎ、暫定的な合意に向かうとの期待で上昇し、イラン問題や米国内の景気の頭打ち感から揉み合いに突入したというもの。
結局ダウは、新値を取れずに揉み合い、さらには新たな懸念によって利食いが出る、という格好になりつつある。
需給的にはさほど悪化しておらず、75日線と25日線はGCしていて、なお株価は両線上に位置している。しかし、この先新値を取るような反発する展開になるには、懸念材料が多すぎる。
もっとも懸念されるのは、ウクライナゲートとペンス演説で、それでもなお、上昇と言うことになるのであれば、株価予想の範疇を逸脱するとしか考えられない。
日経平均日足チャート・テクニカル
米国市場以上に違和感のある上昇を見せた日経平均。テクニカルでは75日線と25日線のGCが非常に強い形で実現して、調整があっても株価は上昇継続を示唆している。
主力銘柄の取り組みは依然として、株価上昇を示唆していて、一向に売り方の買い戻しが進まない状況であって、海外投資家が日本株を「割安」と認識している間は、大崩はないかもしれないと思っていた。
しかし、ここにきてソフトバンクGの状況次第では、大崩の可能性も出てきたと言える。そうした難解な要素が絡み合ってどのように消化してゆくのかは、未知数だ。
来週の日米市場
常識的に考えたら、これだけの懸念材料が米国で出たとなれば、株価は上昇のしようがないはずだ。なので、調整入りと考えるのが妥当だと・・・。
それよりも今の株式市場は、突発的な出来事に対し、余りに無防備なのでは?と感じる。そこが最も怖い部分で、ドスンと来ると一気に需給が悪化する懸念がある。
なので、持ち合い、または調整を現時点では予測せざるを得ないが、ソフトバンクG関連の銘柄には要注意だ。仮に米国で国防権限法、輸出管理改革法の影がちらつくようだと、下げても押し目買いはできない。
10月4日(金)日経平均予想
日経平均株価 ¥21,200 ドル円 ¥107.50
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